トクビレ/ハッカク:生態や特徴と産地や旬

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●トクビレ/ハッカクの生態や特徴

◆トクビレとは

分類:魚類 - 条鰭綱 - カサゴ目 - カジカ亜目 - トクビレ科 - トクビレ亜科 - トクビレ属(日本海洋データセンターより)

学名:Podothecus sachi (Jordan & Snyder, 1901)

和名:とくびれ/特鰭

英名:sailfin poacher、Snail-fin poacher

別名:オスを「ハッカク(八角)」、サチ、マツヨ、カクヨ、ソビヨ

 トクビレはカサゴ目トクビレ科の一種で、この名前を初めて聞く方も多いのではないだろうか。この魚はオスの容姿に顕著な特徴があり、背ビレと臀(しり)ビレが体に対して非常に大きく、これが特鰭(とくびれ)と呼ばれ和名の由来となっている。一方、市場や料理店では一般的に「ハッカク/八角」と呼ばれることの方が多く、これもオスの身体が角ばった形をしており、断面が八角形になることから。

 また、青森では「サチ」と呼ばれており、これが学名の種小名"Sachi"にあてられている。

◆トクビレの生態

トクビレ(特鰭)/ハッカク(八角)

 トクビレは主に三陸辺りから北の北西太平洋、及び富山県辺りから北、朝鮮半島東岸以北の日本海からオホーツク海に分布し、水深20mから300m以浅の砂泥底に多く、甲殻類やゴカイなどの多毛類といった底生動物を食べて生息している。

 産卵期は10月から11月にかけてで、交尾後に産卵する。

 「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は

北海道全沿岸、武蔵堆、青森県〜富山県の日本海沿岸、兵庫県津居山、島根県隠岐、青森県〜福島県の太平洋沿岸、駿河湾となっている。また、海外においては朝鮮半島東岸中部〜サハリン西岸の日本海沿岸、オホーツク海南部、千島列島に分布する。

◆トクビレの特徴

 トクビレ(特鰭)の名称の由来となっている大きな背ビレは8~10棘12~14軟条からなり、第一背ビレの棘条と第二背ビレ軟条部は分離してる。また尻ビレは13~17軟条かななり、第二背ビレ同様に大きく広がる。

トクビレ(特鰭)/ハッカク(八角)のオス トクビレ(特鰭)/ハッカク(八角)のヒゲ

 トクビレはメスよりオスの方が大きくなり、体長は50cm程になる。体は細長く、頭部から吻にかけてキツネのように尖った形をしているが、突き出ているのは鼻先で、口はその中程の下部にある。その突き出た鼻先と下アゴの腹側に何本も房状にヒゲ状突起が伸びている。

トクビレ(特鰭)/ハッカク(八角)

 体表にウロコは無く、代わりに固い硬い骨質板に覆われ、左右に各4列の角に鋭い棘が並び、さながら鎧をまとっているように見える。

◆トクビレのオスとメスの違い

 オスとメスでは大きさ以外でも様子が少し違い、この鎧のような骨板がオスの方が発達し、体を筒切りにするとその断面が八角形に見えるほどで、それが別名の由来となっている。しかし、メスはそこまで角がはっきりせず丸い。また、背ビレと臀(しり)ビレの大きさがオスとメスでは著しく違い、オスはウチワのように大きく、広げた様子はまるでアゲハ蝶の羽のようだ(初めの写真を参照)。また、体全体にオスの方が黒っぽく、メスは薄い褐色に近い。

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●トクビレ/ハッカクの主な産地と旬

◆主な産地と漁獲量

 トクビレは主に北海道で漁獲されているが、この魚を主とした漁はなく、ホッケなど他の魚を獲る時に混獲されているにすぎず、漁獲量は少ない。そうしたことから、もともとは北海道の産地で安く食べられてきた地魚だったのだが、とても味が良いことと、近年の物流の発達により、今では首都圏や関西などの市場で高級魚として扱われ、産地の方が驚くような値で取引きされている。

◆トクビレの漁獲時期と旬

 トクビレの産卵期は10月から11月にかけてで、漁期は海域によって違いがあり、ほぼ通年水揚げはあるようだ。

 美味しい旬の時期は12月から2月頃までの冬とされるが、年間を通して大きくは違わない。

旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
トクビレ                        

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