オオズワイガニ/バルダイ種:生態や特徴と産地や旬

オオズワイガニ/バルダイ種 - Chionoecetes bairdi -

●オオズワイガニの生態や特徴

◆オオズワイガニとは

分類:ホンエビ上目 > 十脚目 > 抱卵亜目 > 短尾下目 > クモガニ上科 > ケセンガニ科 > ズワイガニ属(BISMaLより)

学名:Chionoecetes bairdi Rathbun, 1924

和名:おおずわいがに/大楚蟹

英名:Tanner crab, Southern tanner crab, snow crab

別名:バルダイ

 オオズワイガニは一般によく知られているズワイガニと同じケセンガニ科ズワイガニ属に分類されている近縁種である。名前はズワイガニよりも大きくなることに因むが、国内で漁獲されるものはまだ小さいものが多く、大きなものはアラスカやロシア産のものが輸入されているが、その量はズワイガニに比べ多くはなく一般にはあまり認知されていない。

 オオズワイガニはズワイガニと区別されずに扱われることもあるが、ズワイガニがオピリオ種であるのに対し、オオズワイガニはバルダイ種であることから、冷凍品などには「バルダイ」と表記されている。

 オオズワイガニはズワイガニの代用品的な扱いで価格もズワイガニに比べると割安ではあるが、食味はズワイガニと変わらずサイズが同じであれば食べ比べても違いは分からないのではないかとさえ思うのだが・・・。

 2023年6月、北海道の日高地方沿岸でオオズワイガニが異常発生し、カレイ漁に深刻な被害が出ていると報じられている。一般人からすれば、ズワイガニが大量に獲れるなら結構な事なのでは?と思ってしまいそうだが、大量に獲れているのはまだ小さなものが多く、商品としての価値が低いため買い手がないという事で問題となっているのである。実にもったいない話だ。大きくなるまで育てば宝の山となりそうなものだが、この小さなカニは網にかかったものを外すだけでも非常に手間がかかる。

◆オオズワイガニの生態

 オオズワイガニは水深16~474mの泥または砂泥底に多く生息し、その分布は北米のベーリング海、アリューシャン列島・アラスカ半島・ブリティッシュコロンビア沿岸、そして北海道の北見沖、噴火湾に分布する。

オオズワイガニ/バルダイ種 - Chionoecetes bairdi -

 オオズワイガニはアラスカのブリストル湾には多く、西のベーリング海では徐々にズワイガニが増えてオオズワイガニは一気にその数が減るようである。メスは約5歳で成熟し、オスは約6歳で成熟、メスは最後の脱皮(成熟脱皮)の際に初めて成体のオスと交尾するとみられる。また、雌雄は一年のほとんどの間は分離しており、生殖期には同じ地域に移動することが知られている。

◆オオズワイガニの特徴

 オオズワイガニは雄が甲長14cm、甲幅15.2cm、メスはそれより小さく、甲長9.3cm、甲幅10.1cmほど。大きいものだと甲幅18.5cmになる。

オオズワイガニ/バルダイ種 - Chionoecetes bairdi -

 オオズワイガニは一見ズワイガニとそっくりで、見分けがつきにくいが、若いオオズワイガニは全体にズワイガニよりも赤みが強い傾向がある。また、成熟した物は茶色が強い傾向がみられ、脚がズワイガニよりも太く全体にがっしりとした風体となる。写真は北海道産の若い個体。

オオズワイガニの腹/バルダイ種 - Chionoecetes bairdi -

 オオズワイガニはズワイガニに比べ、甲長よりも甲幅の方が大きく甲羅が幅広のが特徴。

オオズワイガニの甲羅/バルダイ種 - Chionoecetes bairdi -

 最も見分けやすいポイントは口に並ぶ歯?の並びで、ズワイガニは横一直線なのに対し、オオズワイガニはM字状になっている。

オオズワイガニ/バルダイ種とズワイガニ/オピリオ種の違い

●オオズワイガニの主な産地と旬

◆主な産地と漁獲量

 オオズワイガニはロシアやアラスカ産の冷凍輸入品が多いが、北海道の北見沖や日高沖でも漁獲されている。ただ、本種を目的とした漁ではなく、他の魚貝に混じって底引き網などで漁獲されるにすぎず、また、サイズも小さいものが多い。

 2023年6月は日高地方で異常発生したものがカレイ漁の網に大量にかかり問題となっている。そうしてとれた若いオオズワイガニが1杯150~200円で売りさばかれている。

◆オオズワイガニの漁獲時期と旬

 旬は不明。本種を目的とした漁が行われているわけではなく、現在異常発生している状態が今後どうなのかによって、安定的に獲れるようになれば時期も決まってくると思われるのだが・・・。

旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
オオズワイガニ                        

< 出 典 >

 ※「原色日本大型甲殻類図鑑(Ⅱ)」三宅貞祥著 保育社 p.32

 ※「食材魚貝大百科①」平凡社 p.041

 ※「Tanner Crab (Chionoecetes bairdi and C. opilio)」Alaska · Department of Fish and Game

 ※Chionoecetes bairdi Rathbun, 1924 WoRMS taxon details

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