ズワイガニ・松葉がに・越前がに・加能ガニ:旬や主な産地
●ズワイガニの生態や特徴
◆ズワイガニとは
分類:ホンエビ上目 > 十脚目 > 抱卵亜目 > 短尾下目 > クモガニ上科 > ケセンガニ科 > ズワイガニ属(BISMaLより)
学名:Chionoecetes opilio (O. Fabricius, 1788)
和名:ずわいがに/楚蟹
英名:Snow crab
別名:松葉がに・越前がに・加能ガニ・芳がに・本ズワイガニ
ズワイガニはベニズワイガニと同じケセンガニ科ズワイガニ属の一種で、漢字では「楚蟹」や「津和井蟹」と書く。
よく似たものに「ベニズワイガニ」と「オオズワイガニ」があり区別するため本種を「本ズワイガニ」と呼ぶことも多い。またオオズワイガニを学名からバルダイ種と呼ぶのに対し、本種はオピリオ種とも呼ばれる。
●オスとメス
ズワイガニはオスとメスで体の大きさが違うことや、メスは内子や外子と呼ばれる卵巣や卵を持っていることなどから、水揚げされる沿岸各地ではオスとメスを別物として扱っている。価格も高価なオスに対してメスは手頃な価格で店頭に並ぶ。
また、ズワイガニは産地によってさまざまな呼称がつけられているが、オスとメスにそれぞれ別の呼び方をするところが多い。詳しくはズワイガニの地域ブランドや呼称を参照して欲しい。
◆ズワイガニの生態
ズワイガニの分布はグリーンランド西海岸~北米メイン州沿岸、Bering海・アリューシャン列島・カムチャッカ両沿岸・日本海・朝鮮半島東海岸となっている。南限は韓国東南端沖及び金華山沖。
水深50~600mの砂泥または泥底に生息し、日本海における最深記録は2223mとされる。漁獲は主に180~360mで行われる。(※1)
◆ズワイガニの特徴
ズワイガニはオスとメスで大きさが倍ほど差があり、雄は通常甲幅10~15cmなのに対し、雌は8cmほどにしかならない。甲羅は丸みのあるやや縦長の三角形で、歩脚が長く、雄では左右に広げると70~80cmにもなる。
甲表の色は赤味を帯びた褐色から灰褐色まで個体差があり、腹側は歩脚も白い。
●甲羅に付いた黒いイボイボ
ズワイガニの甲羅に黒いイボ状のものが付いているのを見かけるが、これはカニビルの卵である。カニビルはその名の通りヒルの一種で、魚などにくっついて体液を吸う生き生物だが、カニに対しては硬い甲羅の上を産卵場所として利用するだけで、カニそのものには寄生しない。また、これが付いているカニをそのまま調理しても問題はない。
また、あくまでも傾向だが、日本海産のものには沢山付いていることが多く、ロシア産などにはあまりついていない傾向にある。
■ズワイガニの主な産地
●ズワイガニの主な水揚げ地
国産のズワイガニは日本海から北海道沖で獲られる他、太平洋側でも少し獲られています。
漁獲量は年々減少傾向にあり、令和元年の時点で最も多く水揚げされているのは北海道で、次いで兵庫県、鳥取県、福井県、石川県と続きます。参考までに平成22年の漁獲量も載せておきます。
■ズワイガニが美味しい旬は
●ズワイガニの解禁日と漁期
ズワイガニは資源保護のため漁期が定められています。よく新聞やテレビのニュースで取り上げられている11月6日というのが富山県から西の海域での解禁日で、雌ガニは年明け1月10日まで、オスは3月20日までとされています。
それに対して新潟から来たの海域ではそれより一足早く10月1日が解禁日となり、雌雄どちらも5月31日までと長くなっています。ただし、甲の大きさに制限を設けていて、幅9cm未満の雄と未熟な雌は漁獲は禁止とされています。
●輸入物のズワイガニ
国産のもの以外にも沢山輸入されており、ロシアからは活けの状態で安く大量に入ってきています。スーパーでも良く見かけるようになりましたね。こちらは日本の解禁日に関係なく流通しています。
●ズワイガニの美味しい食べ頃の旬
国産で、「松葉がに」や「越前がに」「加能ガニ」など各地のブランドが旬となるのは当然漁期の間で、ブランド化されているほとんどは富山より西の地域で11月初旬からとなります。ただ、解禁間もない頃は価格も高めなので、食べ頃の旬はオスが11月中旬から3月上旬くらいまで、メスは1月初旬までとなります。
旬 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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ズワイガニ(雄) | ||||||||||||
ズワイガニ(雌) |
< 出 典 >
※1「原色日本大型甲殻類図鑑(Ⅱ)」三宅貞祥著 保育社
※「食材魚貝大百科 ① エビ・カニ類 魚類」平凡社
※「旬の食材- 冬の魚」 -講談社
※ Chionoecetes opilio (O. Fabricius, 1788) WoRMS