エゾボラ属/つぶ貝/ツブガイ

エゾボラ属/つぶ貝/ツブガイ

■ツブガイとは

 「ツブ」または「つぶ貝」と呼ばれているのはエゾバイ科の中で食用にされている種の総称で、そういった種名の貝がいるわけではない。おおむね、エゾバイ科の中でもエゾボラ属を「ツブ」と呼び、それ以外は「バイ」と呼ぶ事が多いが地方によってエゾボラ属のものでも「〇〇バイ」と呼んだりするケースもあり紛らわしい。ここではエゾボラ属の貝類を「ツブ」として紹介する。

●エゾボラ属

分類:軟体動物門 > 腹足綱 > 直腹足亜綱 > 新生腹足上目 > 吸腔目 > Hypsogastropoda亜目 > 新腹足下目 > Buccinoidea上科 > エゾバイ科 > Neptunea(エゾボラ)属(日本海洋データセンターより)

学名:NeptuneaRöding, 1798

 エゾバイ科エゾボラ属には20種を超える種が含まれている。その多くが食用として漁獲されているが、市場では種名で扱われるのはほんの数種で、それ以外は単に「ツブ」として扱われることが多い。

 市場に出荷されるツブ類で多いのは「マツブ」と呼ばれるのは「エゾボラ」という種類で、この貝が最も高値で取引されている。その他、「エゾボラモドキ」や「チヂミエゾボラ」「ウスムラサキエゾボラ」「ウネエゾボラ」などがあるが、これらはエゾボラとは区別され、単に「ツブ」と書かれていることが多く、「マツブ」よりもずっと安く手に入る。味的には価格差程大きな違いは感じられないので、家庭で楽しむにはお勧めだ。

●さざえと並ぶ磯の味

 エゾボラをはじめエゾボラ属の貝の多くは生食でき、コリコリとした食感はサザエと並び、高級な貝として寿司ネタでも人気がある。サザエと比べると磯の香りはあまり強くなく、それがかえって食べやすく感じる人も多い。

●テトラミンの中毒に注意

エゾボラ属/つぶ貝/ツブガイの唾液腺

 エゾボラをはじめエゾボラ属の貝には唾液腺の部分に人の神経を麻痺させる「テトラミン」という有毒成分が含まれている。貝によって個体差があり、また、食べる人の個人差もあるが、数個分を食べると視覚異常、頭痛やふらつきなど酒酔いのような症状を起こすので、調理の時点でこの部分を除去しておく必要がある。

 エゾボラ属の貝をさばく手順はこちら →

■主なツブ貝の種類

 ツブまたはツブガイとして売られている主なものを上げています。それぞれの名称か写真をクリックすると、その貝の詳細ページに移ります。

●エゾボラ/マツブ

エゾボラ/マツブ

●カラフトエゾボラ/シオツブ

カラフトエゾボラ/シオツブ

●エゾボラモドキ

エゾボラモドキ チヂミエゾボラ

●チヂミエゾボラ

エゾボラモドキ チヂミエゾボラ

●アツエゾボラ

アツエゾボラ

●ウスムラサキエゾボラ

ウスムラサキエゾボラ

●ヒメエゾボラ/青ツブ

ヒメエゾボラ/青ツブ

●フジイロエゾボラ

フジイロエゾボラ

■ツブガイ/エゾボラ属の産地と旬の時期

●主な産地

 マツブ(エゾボラ)は主に北海道で水揚げされ、全国各地へ出荷されている。またそれ以外のものは日本海沿岸の各地や、三陸沿岸でも水揚げされているが、やはり全体的に北海道産の物が中心となっている。

●マツブの旬は夏から春先

 エゾボラの産卵期は冬から夏にかけてとのこと。(※日高振興局水産課のホームページ

 エゾボラをはじめエゾボラ属の貝は主にツブ籠(または、バイ籠)漁で周年水揚げされており、ほぼ通年漁獲され市場に流通している。

 旬は獲れる地域によってかなり違いがあるようで、最も多く産している日高地方をはじめ稚内辺りでは春4月頃から9月頃にかけてとされ、十勝辺りでは12月から4月頃にかけて、冬から春にかけて旬と言われている。

地域 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
エゾボラ 日高稚内                        
ツブ 十勝                        

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