フトミゾエビ/シンチュウエビ

フトミゾエビ/シンチュウエビ

●フトミゾエビ/シンチュウエビの生態や特徴

◆フトミゾエビとは

分類:ホンエビ上目 > 脚十目 > 根鰓亜目 > クルマエビ上科 >クルマエビ科 > Melicertus(メリケルトス)属(BISMaLより)

学名:Melicertus latisulcatus (Kishinouye, 1896)

和名:ふとみぞえび/太溝海老

英名:Western king prawn

別名:シンチュウエビ(真鍮海老)

 フトミゾエビはクルマエビ科メリケルトス属のエビで、クルマエビ(Marsupenaeus属)と似ていますが同科別属に分類されている。 和名は本種は額角の側溝が長く深い事に因むが、体色が全体に黄色味を帯びた単色で真鍮(しんちゅう)の様であることから各地でシンチュウエビとも呼ばれている。

 日本近海では漁獲量が少なく見た目も地味な事もあってか、クルマエビやクマエビに対して知名度はかなり低いが、食味はそれらに引けを取らず美味しいエビである。

 本種は琉球列島以南の台湾からインドー西太平洋の熱帯から亜熱帯海域にかけて多く、サイズも国内産に比べ大きいことから産地では”Western king prawn”と呼ばれ重要な食材となっている。

◆フトミゾエビの生態

 フトミゾエビはクルマエビ漁で混獲されることから、同じような比較的浅い海の砂泥底に多く生息すると思われる。

フトミゾエビ/シンチュウエビ

 暖海性のエビで、インドー西太平洋の熱帯から亜熱帯海域にかけて多く生息し、日本近海での分布は関東以南辺りまでだが、獲れてもサイズが小さい物が多い。

 食性は主にプランクトンや小動物を食べ、繁殖期は初夏から夏にかけてで、その間、複数回に分けて産卵する。

◆フトミゾエビの特徴

 暖かい海域で大きく成長すると体長20cmほどになるが、日本近海で獲れるものは小さいものが多く、せいぜい体長14cm位までである。

フトミゾエビ/シンチュウエビ

 額角は上縁に9~12歯(10歯が多い)と下縁に1歯がある。額角の側溝は額角後隆起と同幅で溝が深く、和名の由来となっている。

フトミゾエビ/シンチュウエビ

 体色は生時は一様に淡黄色で背面にクルマエビのような模様は無い。角腹節の側面には赤褐色の筋が各1本入っており、第三腹節には四角い赤褐色の斑紋がみられるが、死後子の斑紋は薄れて不明瞭となる。

●フトミゾエビの主な産地と旬

フトミゾエビ/シンチュウエビ

◆主な産地と漁獲量

 日本南部の沿岸でわずかに獲れる程度なので主なというほどの産地はない。

 写真は愛知県三河一色に水揚げされたもので、愛知県では時々わずかに水揚げがあるようだ。

◆フトミゾエビの漁獲時期と旬

 本種を種とした漁はなく、もっぱらクルマエビやクマエビ漁で混獲されることや、産卵期が同じ時期であるため、それらと旬の時期は同じだと考えられる。

旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
フトミゾエビ                        

< 出 典 >

 ※「原色日本大型甲殻類図鑑(Ⅰ)」三宅貞祥著 保育社 p.7

 ※「食材魚貝大百科 ①」平凡社 p.010

 ※「旬の食材- 秋の食材」 -講談社 p.90

 ※ Penaeus latisulcatus SeaLifeBase

 ※「種苗生産に関する研究Ⅱ - ABmEAASAも人工飼育下での産卵回数について」諸喜田茂充著 沖縄県

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