ババガレイ/ナメタガレイ:生態や特徴と産地や旬
●ババガレイの生態や特徴
◆ババガレイとは
分類:魚類 > 条鰭綱 > カレイ目 > カレイ科 > カレイ亜科 > ババガレイ属(日本海洋データセンターより)
学名:Microstomus achne (Jordan & Starks, 1904)
和名:ばばがれい/婆鰈
英名:Slime flounder
別名:ナメタガレイ、ウバガレイ、アワダチ(秋田県)、ダルマガレイ(茨城県、石川県)、ダラリ(千葉県、茨城県)、ビール(福井県)
ババカレイは漢字では「婆鰈」または「母母鰈」と書き、カレイ科ババカレイ属のカレイの中では大型種だ。
大きく肉厚で、産卵期の子持ちは東北から北海道では高級魚として扱われているようだが北陸辺りでは評価が低く安い。
◆様々な地方名
ババカレイは広く各地で取れることもあり、産地によって様々な名称がつけられている。最も良く知られているのは「ナメタガレイ」で、もともとは三陸地方での呼ばれ方だそうだ。ババカレイが体中たくさんの粘液を出し、舐めたようになるからと言われている。関東には三陸から沢山入荷があることからか、関東でもナメタガレイという名の方が認知されているように思う。また、「ウバガレイ」とも呼ばれている。
その他、秋田県南部では「アワダチ」とも呼ばれているそうです。これもこのネバネバから付けられたのでしょう。 茨城周辺や金沢辺りでは「ダルマガレイ」と呼ばれているのも目にします。標準和名で「ダルマガレイ」というのがいるので紛らわしいですね。また、同じく茨城や千葉辺りでは「ダラリ」とも呼ばれています。
◆ババガレイの生態
「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海でのババガレイの分布は北海道全沿岸、青森県~対馬の日本海沿岸、青森県~千葉県外房の太平洋沿岸、神奈川県三崎、愛知県となっており、海外においては朝鮮半島南岸・東岸、黄海、ピーター大帝湾(稀)、サハリン、千島列島南部となっている。
水深50〜450mの砂泥底で、ヨコエビ類やゴカイなどの多毛類、クモヒトデなど底生の小動物を食べて生息する。
秋から春にかけて南下回遊しながら浅いところに移り、3月〜4月に水深100m以浅の海底で産卵するという。成長はあまり早いとは言えず雄雌や海域によって差はあるようだが、20cmサイズになるのに3年はかかるといわれている。寿命は長く15年前後だそうだ。
◆ババガレイの特徴
ババガレイは雄よりも雌の方が大きくなる傾向があり、大きいものだと60cmを超える。体形は他のカレイ類に比べやや長く長楕円形の小判のような形をしている。
体の割に頭や口が小さく尾柄部も短い。背ビレは76~103軟条、臀ビレは61~82軟条からなる。胸ビレは8~11軟条。
体表のウロコは細かい円鱗でやや皮下に埋没しており、眼上にウロコはない。体色は右側(目が付いている方)は緑灰色から茶褐色など個体差があり、不規則に不明瞭な斑点や斑紋がある。左側(目がない方)は白地に淡い桃色が混じったような色合いで両側のヒレは黒い。
また、水揚げされたババガレイは名前の由来にもなっている粘液で体全体が覆われている。
身はカレイの中では厚めで、クセのない白身で古くから煮付け向けの高級魚として扱われてきた。上身の方が黒っぽく肉厚で、下身はやや薄く透明感のあるピンク色をしています。
●ババガレイの主な産地と旬
◆主な産地
ババガレイは主に底びき網や底刺網、底はえ縄などで漁獲されている。
生息分布は広く、各地で水揚げされるが、主産地と言えば北海道の太平洋側から東北の沖合にかけてで、八戸沖には大きな産卵場があることが知られている。
◆ババガレイの漁獲時期と旬
ババガレイの産卵は3月〜4月で、腹に真子(卵)をもったものは人気が高く高級魚として扱われる。特に三陸地方あたりでは子持ちで縁起がいい「歳とり魚」として正月に食べる風習があり、年末には非常に値が上がるそうだ。
食べて美味しい旬の時期は脂がのる晩秋辺りから、腹に子をもち、産卵してしまう前の初夏辺りまで。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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ババガレイ/ナメタガレイ |