キンメダイ/金目鯛/きんめだい

キンメダイ/金目鯛

■キンメダイ(金目鯛)とは

分類:魚類 > 条鰭綱 > キンメダイ目 > キンメダイ科 > キンメダイ属(日本海洋データセンターより)

学名:Beryx splendens Lowe, 1834

和名:きんめだい/金目鯛

英名:alfonsino 仏名:sebaste

別名:キンメ

 キンメダイ属には3種「キンメダイ」「フウセンキンメ」「ナンヨウキンメ」がおり、太平洋から大西洋、インド洋の熱帯から温帯域の海山および大陸棚縁辺部と、世界的に広く分布しています。金目「鯛」と呼ばれていますが、「マダイ」などの仲間「タイ科」とはまったく別種です。

 ここで紹介するのはその中で日本で食用としてよく知られる「キンメダイ(金目鯛)」です。

 学名の種小名”splendens”はラテン語で「輝いている」という意味を表す”splendeo”の現在分詞がもととなっているそうです。

 関東では古くから煮付け魚として親しまれてきた魚ですが、近年ではその美味しさが全国に広まり高級魚となっています。

キンメダイ/金目鯛の干物

 鮮魚として出荷されるほか、各地で干物にも加工されています。

●キンメダイ(金目鯛)の分布

 キンメダイは日本近海では北海道の釧路以南の太平洋と新潟県以南の日本海の沖合の200-800mの岩礁域に生息し、釣りや底曳き網などで漁獲されています。

 「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は北海道釧路〜土佐湾の太平洋沿岸、新潟県佐渡、富山湾、東シナ海大陸棚縁辺域、九州〜パラオ海嶺となっている。さらに海外でも大西洋、インド-汎太平洋(南米北部より北の東太平洋を除く)と広く分布しているようだ。

●成長スピード

 キンメダイは15年くらい生きる魚と言われており、大きいものだと50cmほどにもなります。

 年齢による成長は尾叉長(上顎の先端から尾ビレの中央部の外縁まで)でみると、おおむね以下のようになります。

 1才で15–17cm、 2才で19–22cm、 3才で25–28cm、 4才で 28–32cm、 5~8才で32–35cm、 10才で38cm前後

●キンメダイ(金目鯛)の特徴

 キンメダイは店頭に姿の状態で並んでいるとひときわ目を引く鮮やかな赤い魚で、それはまるで大きな金魚といった感じです。しかしこれは死後変色した状態で、生きて海底を泳いでいるときはマダイのような桜色なんだそうです。

 キンメダイの姿形は前半身が体高があり、後ろは尾の付け根に向けてすぼまっていきます。腹側の曲線は尾から胸にかけて緩やかに膨らみ、腹から口までが大きくカーブしそのまま受け口となっています。

キンメダイ/金目鯛とナンヨウキンメの比較

 産地によっては近縁種のナンヨウキンメも単にキンメダイとして売られていたりしますが、こうして並べてみると体高が明らかに違い一目瞭然ですね。

●キンメダイ(金目鯛)の目

キンメダイ(金目鯛)の目

 キンメダイという名前の由来は、この魚の大きな目の玉が光の加減で金色に見えるからです。目の玉そのものは無色透明のガラス玉のような感じですが、その奥にわずかな光も感じ取れる反射層があり、光の届かない深海でも獲物を見つけられるようになっているからです。

●味の特徴

キンメダイ/金目鯛

 キンメダイは白身魚ですが、鮮度がいいものは刺身にすると桜色の身質で、時間とともに白っぽくなります。クセは全くなく、上品な脂が甘さを感じさせてくれます。


■キンメダイ(金目鯛)の主な産地

●キンメダイ(金目鯛)の主な産地は

下田市魚市場に並ぶ沢山の金目鯛

 キンメダイは主に関東東沖から小笠原諸島、沖縄までの太平洋沿岸で漁獲されています。中でも房総沖から伊豆半島、伊豆諸島周辺で底立延縄、立縄、樽流し、一本釣り等によって獲れたものが下田港に水揚げされ、水揚げ量では日本一となっています。

 その他高知県室戸岬周辺でも同様の漁獲法で水揚げされている他、小笠原、南西諸島、天皇海山周辺海域など南の海域では底立延縄、底刺網、トロール等によっても漁獲され長崎県などに水揚げされています。

 現在のキンメダイの主な産地は静岡県、神奈川県、千葉県、東京都、高知県の1都4県と長崎県など南洋産のものが加わります。

 漁獲量は年々減少傾向にあり、2019年の全国で4637トンとなっています。これまで最も多く漁獲されていた静岡県では2009年の35%まで減っているそうです。

●キンメダイ(金目鯛)のブランド化

下田市魚市場に並ぶ大きな金目鯛

 水揚げ量日本一をうたう下田港では、大島近辺で獲れた脂がのった上質のものが多く、そこで一本釣りで獲れたキンメダイを「地金目」または「トロ金目」よ呼びブランド化され、高級金目鯛となっています。

 また、同じ静岡県内でも東伊豆町稲取では、立縄釣りによるキンメダイ漁獲量が県内で最も多く、鮮度管理を徹底し「稲取キンメ」として出荷しています。

●キンメダイ(金目鯛)のイベント

 産地ではキンメダイをテーマにしたイベントが毎年行われています。

「下田きんめ祭り」・・・下田港で毎年6月1日から30日に開催。

「きんめだい祭り」・・・千葉県銚子市 11月

「おんじゅく 釣りキンメ祭り」・・・岩和田漁港2017年3月4日(土)

■キンメダイ(金目鯛)が美味しい旬の時期

●キンメダイの産卵期

 キンメダイの産卵期は夏で、海域によって若干の違いはあると思いますが、おおむね6月頃から10月頃にかけてで、7~8月の真夏にピークとなるようです。

●キンメダイが美味しい旬の時期

 キンメダイは1年を通して大きく味は変わらないとされてはいますが、産卵前後は資源保護の面でも避けたいものです。最も美味しい旬の時期は脂がのった冬12月頃から2月にかけてです。

旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
キンメダイ             産         

< 出 典 >

 ※「日本産魚類全種の学名」中坊徹次・平嶋義宏著 東海大出版部 

 ※「日本産魚類検索全種の同定第三版」中坊徹次編 東海大出版会

 ※「食材魚貝大百科」平凡社

 ※「旬の食材- 冬の食材」 -講談社

 ※「キンメダイ太平洋系群 令和2年度資源評価結果

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