カマス(かます):生態や特徴と産地と旬の時期

アカカマス/赤かます/本カマス

■カマス(かます)の生態や特徴

◆アカカマスとは

分類:魚類 > 条鰭綱 > スズキ目 > Sphyraenoidei (カマス亜目)> カマス科 > カマス属(BISMaLより)

学名:Sphyraena pinguis Günther, 1874

和名:あかかます

英名:Red barracuda 仏名:Brochet

別名:ホンカマス(本かます)

 カマスはカマス科カマス属の魚の総称として呼ばれる名前で、分類学上では20種類ほどの種類がいる暖海性の魚です。一般に市場に出ているものには「アカカマス」と「ヤマトカマス」の2種類あり、「アカカマス」の方がやや黄色味を帯びていて味が良く「本かます」とも呼ばれています。

 一方「ヤマトカマス」は別名「ミズカマス」と呼ばれるように水分が「アカカマス」より多く、干物にされることが多いようです。また、同じ仲間に、「オニカマス」という種類がいますが、こちらは体長180cm程にもなり、「バラクーダ」と呼ばれる魚です。

アカカマス/赤かます/本カマス

●カマス「魳」/「梭子魚」の名前の由来

 カマスという名は「叺(かます)」のように口が大きいことから付けられたようです。叺というのは藁蓆(わらむしろ)を二つ折りにして作った、穀物や肥料などを入れるための大きな袋で昔よく使われていました。漢字では「魳」と書きまます。また、「梭子魚(サシギョ)」とも書かれますが、これは機織りで、たて糸の中をくぐらせる、よこ糸を巻いた小さい舟形の梭(さ)に姿が似ているところから付けられたようです。

◆アカカマスの分布

 「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布はオホーツク海沿岸を除く北海道〜九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋沿岸、瀬戸内海、屋久島、奄美大島、沖縄島とされ、さらに海外では朝鮮半島西岸・南岸、済州島、渤海、黄海、中国の東シナ海・南シナ海沿岸、西沙諸島、インド - 西太平洋(ニューギニア島とオーストラリア東岸まで)、ピーター大帝湾(稀)といった海域に広く分布する。

●非常に攻撃的で貪欲

カマスの鋭い歯

 「アカカマス」はサンゴ礁域を除く比較的浅場に多く、イワシなどの魚を捕食する魚食性の魚で、非常に攻撃的な魚としても知られています。大型のバラクーダは人を襲う事もあるそうです。やや受け口の口の中には一度食らいついたら逃がさないようやや内向きに鋭い歯が並び、下層から上層の魚めがけて一気に噛み付き捕食します。釣りでもルアーに激しく喰らい付く魚として知られていますね。

●アカカマスとヤマトカマスの見分け方

 「アカカマス」は体長が40cm程になり、味の良さもあってカマスの中では最も人気があり値段も高いです。一般に市場でカマスと呼ばれているのは「アカカマス」を指すことが多く「ヤマトカマス」と区別するのに「本カマス」とも呼ばれています。

 アカカマスとヤマトカマスは腹ビレの位置で見分けることができる。アカカマスは腹ビレが背ビレ基部よりもかなり前方にある野に対し、ヤマトカマスの腹ビレの位置は第一背ビレの基部よりわずかに後方にあることで判別できる。。

アカカマスとヤマトカマスの見分け方

 更にアカカマスはヤマトカマスに比べウロコが大きく、側線有孔ウロコ数がヤマトカマスが119以上に対して多くても94しかない事でも判別できる。

●ヤマトカマス(大和かます)の特徴

カマスの干物

 「ヤマトカマス」は大きいものでも35cm程で、「ミズカマス」とも呼ばれ、「アカカマス」よりも水っぽく味的に劣り、主に開きの干物にされる事が多い魚です。地方によって「アオカマス」「クロカマス」「イソガマス」などとも呼ばれています。

 「オオヤマトカマス」は第一背ビレと腹ビレがほぼ同じ位置に付いていて、「ヤマトカマス」は腹ビレの起部が第一背ビレ起部よりわずかに後方に位置する。「アカカマス」と比べ鱗が小さく体全体が青グロっぽく見えます。また、鰓耙(さいは)と呼ばれる弓状のエラの内側に出ているヒレが1本しかないのも特徴です。

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■アカカマスの主な産地と旬

●アカカマスの主な産地

市場に並ぶカマス

 カマスは東北以南の太平洋沿岸、新潟県あたりより南の日本海沿岸、瀬戸内海、さらに東シナ海、南シナ海に分布し、関東以南、主に西日本各地で多く漁獲されています。

 日本海側では長崎県や富山湾などが知られています。日本海側では「ヤマトカマス」よりも「アカカマス」の占める割合が大きいようです。

●カマス(かます)が美味しい旬

 「アカカマス」の産卵期は初夏から夏で、水揚げは通年されているようですが、旬は脂がのってくる秋から初冬辺りまでと、活発に捕食し産卵に向けて栄養を蓄える春でしょう。冬場は食性が下がり身も痩せ、漁獲量も少ないようです。富山湾では9月頃から11月頃にかけて「アカカマス」が多く水揚げされているようです。

 「ヤマトカマス」の産卵期は春から初夏にかけてで、夏の終わりごろから秋にかけてが旬となります。

旬カレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
アカカマス                        
ヤマトカマス                        

< 出 典 >

 ※「日本産魚類全種の学名」中坊徹次・平嶋義宏著 東海大出版部 p.259 

 ※「日本産魚類検索全種の同定第三版」中坊徹次編 東海大出版会 p.1638

 ※「食材魚貝大百科④」平凡社 p.68-69

 ※「旬の食材- 秋の食材」 -講談社 p.82

 ※Sphyraena pinguis Günther, 1874 FishBase

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