●ハダカイワシの生態や特徴
◆ハダカイワシとは
分類:魚類 - 条鰭綱 - ハダカイワシ目 - ハダカイワシ科 - ハダカイワシ属(BISMaLより)
学名:Diaphus watasei Jordan & Starks, 1904
和名:ハダカイワシ
英名:Watases lanternfish
別名:やけど(高知県)
標準和名「ハダカイワシ」は、ニシン目に属するマイワシやウルメイワシ、カタクチイワシとは異なり、ハダカイワシ目ハダカイワシ科に分類される深海魚である。ハダカイワシ科は本種に代表されるハダカイワシ属の他にも27以上の属、200種以上が含まれる大きなグループで、「ハダカイワシ」はその総称としても使われている。
本来は鱗をもつが、非常にはがれやすく、底引き網で漁獲される際にほとんど失われてしまう。そのため、水揚げされた姿が裸のように見えることから、「裸鰯(はだかいわし)」と呼ばれるようになった。
学名の属部”Diaphus”はギリシャ語で強調を意味する”dia”と「強く光る魚」を意味する”phōs”からなり、強く光る魚という意味。(※1)
英名の”lanternfish”(ランタンフィッシュ)は本種をはじめとするハダカイワシ科の魚は体の表面に沢山の発光器を備え、暗い深海で光る事に因む。
やや深海の底引き網漁が行われる地方では目にすることもあるが、大きな市場に出荷されるずほとんど産地で消費されるため、一般的には知られていない。
外見は冴えないが脂がのっておりクセや臭みがなく美味しい魚で、産地では干物に加工されたものも親しまれている。
◆ハダカイワシの生態
ハダカイワシは水深100〜2005mの深海に生息し、日周鉛直移動する。日中は深い所にいるが、夜間には水深100m以浅まで垂直上昇し、大きな口でプランクトンなどを食べている。
体の表面にみられる発光器は主に下部の腹側に付いている。これは極わずかな日光しかとどかない深海で、その光と同等の光を発することで自身の影を隠し、より深い所にいる捕食者に自身の存在を気付かせないようにするためと考えられている。
「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は青森県〜土佐湾の太平洋沖、島根県浜田、山口県日本海沖、沖縄舟状海盆。海外では台湾東部及び南部、東沙群島、スル海、ティモール海、オーストラリア沿岸(北岸除く)、西インド洋となっている。(※2)
◆ハダカイワシの特徴
ハダカイワシは同科同属の中では大型種で標準体長17cmほどになる。写真のものは全長で14cm。
全身の鱗は漁獲時に全てはがれており、肌色でつるっとしている。体側の腹側に黒く丸い斑点が並ぶが、これが発光器である。また、頭部の眼前にもついている。これらの発光器の大きさや並び方は種によって少しずつ異なり、見分ける要素となる。
本種は両あごの歯が全て小さく柔毛状であること、発光器が鼻部腹側発光器はほぼ三角で、肛門上部発光器と体側後部発光器は側線より明確に下部に並ぶことで他種と見分けられる。
背ビレと臀ビレはいずれも14~16軟条からなる。
●ハダカイワシの主な産地と旬
◆主な産地と漁獲量
ハダカイワシは主に底引き網漁で漁獲される。
主な産地としては愛知県から三重県にかけてと高知県。
高知県では御畳瀬(みませ)を中心に水揚げされ、干物に加工されているようだ。(※3)
◆ハダカイワシの漁獲時期と旬
本種を目的とした漁はなく、底引き網で他の魚貝に混じって漁獲され、まとまった量になりにくいこともあり、ほとんどが産地の市場で地元消費向けに取引される程度である。
旬は夏という説や冬という説など諸説みられる。今回入手したのは春だったが、身はふっくらと脂ものっていて良い状態だった。あまり季節には関係ないのかもしれない。ただ、産地によって底引き網漁の漁期があり、その時期にしか水揚げがないので、産地の漁期次第と言えるかもしれない。今回入手できた三河一色では9月中旬〜5月が底引き網の漁期で、夏は資源保護のため禁漁期間とされているので、夏場は水揚げがない。
| 旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ハダカイワシ |
< 出 典 >
※1「日本産魚類全種の学名」中坊徹次・平嶋義宏著 東海大出版部 p.105
※2「日本産魚類検索全種の同定第三版 Ⅰ」中坊徹次編 東海大出版会 P.466
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