タイラギ(玉珧)/タイラガイ(平貝)

タイラギ(玉珧) - Atrina pectinata -

●タイラギの生態や特徴

◆タイラギとは

分類:二枚貝綱 < 翼形亜綱 < ウグイスガイ目 < Pinnoidea < ハボウキガイ科 < クロタイラギ属(日本海洋データセンターより)

学名:Atrina pectinata (Linnaeus, 1767)

和名:たいらぎ/玉珧

英名:Wing shell 、Pen shell

別名:タチガイ(立貝)、タイラガイ(平貝)、エボウシガイ(烏帽子貝)

 タイラギはハボウキガイ科の大きな二枚貝で、地方によって「タチガイ」や「タイラガイ(平貝)」などとも呼ばれている二枚貝です。先がとがったほうを海底の砂地に突っ込んで立っているように潜んでいる事から「タチガイ」と呼ばれるようになったようです。標準和名のタイラギはタイラガイが訛ってタイラギになったといわれています。

タイラギ(玉珧) - Atrina pectinata -

 タイラギは内湾の深さ10~50m程の砂泥底に、先が尖った方を差し込むような形で、貝の反対側を少し顔を出すような感じでいます。また、尖った方に近いところにある足の脇から伸びる黒く細い糸状のものを周囲に広げて体を固定しています。

 国内では房総半島以南が生息域とされ、東京湾、伊勢湾、三河湾、瀬戸内海、有明海など大きな湾内に生息していますが、青森県の津軽海峡でも局所的に分布が見られるようです。かつては各地で沢山獲れたようですが、開発を含む環境の変化などによりその数は激減し、2012年には準絶滅危惧種に指定ています。

●タイラギの特徴

 タイラギは長さ30cm以上になるかなり大き目の貝で、片方の先がカラスのくちばしのように尖っており、その反対側は上下の殻が完全にぴったりとは締まらず隙間があります。殻の色は黒から緑褐色で光彩があり、大きさのわりに薄い殻は硬いですが割れやすいです。殻を開くと、真ん中あたりに大きな貝柱があり、尖った殻の付け根辺りに小柱があります。

タイラギ(玉珧) - Atrina pectinata -

 タイラギには厳密にみるといくつかの種類があり、殻の表面に細かい鱗片状突起が見られる有鱗型と、殻の表面がつるっとしている無鱗型、それに大分県佐伯市蒲江町で獲れるそのどちらでもないタイプのもの。更には有鱗型と無鱗型の交雑種があります。有鱗型は「ケンタイラギ」または「リシケタイラギ」と呼ばれ、無鱗型は「タイラギ」または「ズベタイラギ」と呼ばれています。ただ、市場では種類による区別はなく全てタイラギとして扱われています。

タイラギの中に潜むカクレエビ

 大きさと、漁獲量の少なさから価格も非常に高く、1枚700円前後となっています。一般の小売店では見かけることはほとんど無く、主に料理屋、寿司店、高級レストランなどに卸されています。

 活けのタイラギを仕入れると結構な確率で中から小さなカクレエビが出てくることがあります。こいつも美味しく食べることができます。

■タイラギの産地と旬の時期

●タイラギの主な産地は

 北海道南端をはじめ、本州・四国・九州の各地沿岸で獲れ、瀬戸内海や有明海が有名ですが、有明海の諫早湾では干拓事業や水門の影響によりタイラギの大量死が発生して以来、現在でもずっと休漁状態が続いているようです。現在の主要な産地は三河湾をはじめ、瀬戸内海の播磨灘や備讃瀬戸、伊予灘となっています。現在有明海などで養殖の研究がすすめられ、成功したとのニュースも出ていたので、今後養殖によって安定した漁獲ができるようになることを願います。

 タイラギは韓国や中国北東沿岸部でも獲れ、そういったところから貝柱だけの状態で輸入もされています。

●タイラギの旬は

 産地によって多少違いはあるようですが、漁期はおおむね12月から4月にかけて行われ。旬は冬から春にかけてとなります。輸入物は、解凍物を含めて年中出回っています。

旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
タイラギ                        

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