アザハタ:生態や特徴と産地や旬

アザハタ Cephalopholis sonnerati 红九棘鲈 Tomato hind

●アザハタの生態や特徴

◆アザハタとは

分類:魚類 > 条鰭綱 > スズキ目 > スズキ亜目 > ハタ科 > ハタ亜科 > ハタ族 > ユカタハタ属(日本海洋データセンターより)

学名:Cephalopholis sonnerati (Valenciennes, 1828)

和名:あざはた/痣羽太

英名:Bluespotted hind、Tomato hind

別名:アカミーバイ

 アザハタはハタ科ユカタハタ属の一種。ハタ類の中では小型の部類で、外見は赤い色がどぎつい感じのものが多く、マッチョな体格をしている。

 沖縄をはじめ暖かい海で獲れる魚で、小魚の群れと共に根に居ついていることが多くダイバーにはよく知られ人気があるが、産地以外では一般のスーパーなどに並ぶことはほとんどなく食材としての認知度はかなり低い。

 食味の良さからサイズや状態が良い物は産地でも主に料理店向けに高級魚として高値で取引されている。

 和名の「あざはた」は漢字で「痣羽太」と書くようだが、頭部を中心に体側にある細かい斑点を痣に見立てたのだろうか。英語圏ではいくつもの呼び名があるが、FAOの公式名として”Bluespotted hind”、”Tomato hind”と二つあり、ともにつく”hind”はユカタハタ類を意味する。”Bluespotted(ブルースポテッド)”は青い斑点を意味するので分かりやすい。面白いのは”Tomato hind(トマト・ハインド)”という呼び名だ。確かにトマトのような赤い色をしている。

◆アザハタの生態

 アザハタは水深10~100mの海底にあるサンゴ礁や岩礁に縄張りを作り小魚など捕食し棲息する。アザハタが棲む根には自身の餌ともなるクロホシイシモチやキンメモドキ、スズメダイ類などの小魚の群れがあつまり、他の捕食者を追い払うアザハタに守られる。

アザハタ Cephalopholis sonnerati 红九棘鲈 Tomato hind

 「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は伊豆諸島(稀)、小笠原諸島、駿河湾〜屋久島の太平洋沿岸(稀)、琉球列島とされ、海外においては台湾、香港、海南島、西沙群島、南沙群島、インドー太平洋となっている。

◆アザハタの特徴

 アザハタは標準体長40cmほどでハタ科の中では小型だが、ユカタハタ属の中では最大種。写真のものは鹿児島市場の(株)タカスイから仕入れた全長55cm3kgの立派な成魚。

アザハタ Cephalopholis sonnerati 红九棘鲈 Tomato hind

 体形は側扁しマハタなど他のハタ類に比べ体高が高く、両眼の間が少しくびれ、そこから背ビレ基部まで筋肉が盛り上がったように付いていてマッチョな姿をしている。背ビレは9棘14~16軟条、臀ビレは3棘9軟条からなる。尾ビレの後縁は丸い。

アザハタ Cephalopholis sonnerati 红九棘鲈 Tomato hind

 ウロコはとても小さく、体色は全体に真っ赤なものが多いが茶褐色や灰褐色など変異も見られる。頬に網目状斑があるのが特徴とされるが、顔面から体側にかけて小さな丸い斑点があり、特に頬辺りは蜜についており、斑点と斑点の間が網目に見えるという事だろう。

●アザハタの主な産地と旬

鹿児島の市場に出荷されたアザハタ
鹿児島の市場に並ぶアザハタ( 株)タカスイ 久保和博氏提供)

◆主な産地と漁獲量

 アザハタは熱帯から亜熱帯海域で多く獲れる魚であり、国内の主な産地は沖縄県をはじめ鹿児島県である。

 アザハタは釣りや刺し網などで漁獲されるが、海底の根と呼ばれる岩礁やサンゴ礁に棲むためまとまって漁獲されることがなく、市場に出回る数は少ない。

◆アザハタの漁獲時期と旬

 暖海の魚という事もあり、年間を通して身質に大きな差はないのではないだろうか。ただ、ハタ科は春から初夏にかけて産卵するため、その前後はできれば避けた方が良さそうだ。お勧めは秋から春先にかけて。

旬のカレンダー
旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
アザハタ                        

●ハタ科の魚



 
 

UP