イヤゴハヤタ - Epinephelus poecilonotus - 特徴や旬

イヤゴハヤタ,Epinephelus poecilonotus,いやごはた

●イヤゴハヤタの生態や特徴

◆イヤゴハヤタとは

分類:魚類 > 条鰭綱 > スズキ目 > スズキ亜目 > ハタ科 > ハタ亜科 > ハタ族 > マハタ属(日本海洋データセンターより)

学名:Epinephelus poecilonotus (Temminck & Schlegel, 1842)

和名:いやごはた

英名:Dot-dash grouper

別名:アオナ、キマス、シマイノコ、カッパマス

 イヤゴハタはハタ科マハタ属の一種で、成魚でも50~70cmほどの中型種で、漁獲量が少なく市場に並ぶことは少ない。

 近縁種のホウキハタやカケハシハタ同様、ハタ科らしい美味しい白身の魚で大きいものは高級魚となる。

 学名の属名”Epinephelus”は『曇った』という意味のギリシャ語に因み、種名”poecilonotus”は『多彩な背の』を意味するギリシャ語に因む。

◆イヤゴハヤタの生態

 イヤゴハタは主に南日本以南の西部太平洋及びインド洋に分布する暖海性の魚で、水深2mほどの浅場から450mまでの岩礁域に生息し、小魚や甲殻類などの動物を捕食する。

イヤゴハヤタ,Epinephelus poecilonotus,いやごはた

 「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は富山湾〜長崎県の日本海沿岸、伊豆諸島、小笠原諸島、相模湾〜九州南岸の太平洋沿岸とされ、海外においては朝鮮半島南岸、台湾、西インド洋、スリランカ、インド東岸、フィジー諸島に分布する4。

◆イヤゴハヤタの特徴

 イヤゴハヤはマハタ属の分類され、標準体長52cmほどの中型。(※写真のものは2.8kgの子持ちの雌)体形はマハタ属らしく胸ビレ、腹びれの基部辺りの体高がピークとなる長楕円系で、上顎より下顎の方が前に出ている。背ビレ棘条は11本。

イヤゴハヤタ,Epinephelus poecilonotus,いやごはた

 尾ビレ後縁は丸みがあり、背ビレ後縁、臀ビレ軟条後縁、押して尾ビレ後縁は透明もしくは白く縁どられているものが多い。

イヤゴハヤタ,Epinephelus poecilonotus,いやごはた

 イヤゴハタとして特徴的なのは体側の斑紋で、全ての斑紋が背ビレ棘条を中心に弧状に連なっている。この斑紋は幼魚で顕著にみられ線状の帯になっているが、成長と共に不明瞭となり、成魚では黒い斑点が並んでいるようになる。英名の”Dot-dash(鎖線)”はドット”・”とダッシュ”ー”が連なるこの斑紋から付けられたのであろう。

●イヤゴハヤタの主な産地と旬

◆イヤゴハヤタの主な産地と漁獲量

 イヤゴハタは暖海性の魚で、和歌山県や三重県、静岡県などでもわずかに漁獲されることもあるようだが、主な産地は鹿児島県や長崎県。

 ハタ科のなかでも漁獲数が少なく一般にはほとんど流通していない。

◆イヤゴハヤタの漁獲時期と旬

 イヤゴハヤタは少ないながらも通年漁獲はあるようだ。美味しい旬の時期は一般的にはマハタと同じように秋から冬にかけてと思われるが、産卵前後を除けばあまり気にすることは無いと思う。出会える機会はそうそうないので、出会えたらその魚の状態を見て悪くなければ買う事をお勧めする。

 撮影した個体は5月8日に仕入れた2.8kgのイヤゴハタとしては大きめのものだったが、腹には発達した卵巣が詰まっていた。身の食味はそれなりに美味しい物だったが、卵巣が発達する前であればさらに美味しかったかもしれない。

旬のカレンダー
旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
イヤゴハヤタ                        

●ハタ科の魚


< 出 典 >

 ※「日本産魚類全種の学名」中坊徹次・平嶋義宏著 東海大出版部 p.157 

 ※「日本産魚類検索全種の同定第三版」中坊徹次編 東海大出版会 p.787

 ※「食材魚貝大百科② p.142」平凡社

 ※「旬の食材- 秋の食材」 -講談社 p.142

 ※ Epinephelus-poecilonotus FishBase


 
 

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