ヤハズアオハタ / コクテンアオハタ:生態や特徴と産地や旬
●ヤハズアオハタ / コクテンアオハタの生態や特徴
◆ヤハズアオハタ とは
分類:魚類 > 条鰭綱 > スズキ目 > スズキ亜目 > ハタ科 > ハタ亜科 > ハタ族 > マハタ属(BISMaLより)
学名:Epinephelus amblycephalus (Bleeker, 1857)
和名:やはずあおはた
英名:Banded grouper
別名:コクテンアオハタ(2020年1月まではこちらの和名とされていた)
「ヤハズアオハタ」は「マハタ」や「アオハタ」などと同じハタ科マハタ属に分類される。
この魚”Epinephelus amblycephalus (Bleeker, 1857)”が「ヤハズアオハタ」と正式に提唱されたのは実は2020年1月25日である。それまでこの魚は「コクテンアオハタ」とされていた。そして、「コクテンアオハタ」の学名は”Epinephelus kupangensis Tucker, Kurniasih and Craig, 2016”に変更されている。
現「コクテンアオハタ」は国内での発見例は数例しかないようで、これまで「コクテンアオハタ」として漁獲されてきたものはおそらくほぼ現「ヤハズアオハタ」であると考えられている。まだ「ヤハズアオハタ」の名称は浸透しておらず、市場などでは「コクテンアオハタ」として扱われることも多いと思われる。
いずれにしても、「ヤハズアオハタ」は漁獲数がとても少なく、マハタ属らしい食味の良さもあって大きなものは高値で取引されている。
◆ヤハズアオハタ / コクテンアオハタの生態
「ヤハズアオハタ」はこれまで「コクテンアオハタ」として扱われて来たため、「日本産魚類検索全種の同定第三版」においても「コクテンアオハタ」として記載されている。
それによると沿岸の水深80~130mの岩礁や砂泥底に生息し、日本近海での分布は和歌山県白浜・印南・串本、土佐湾、九州南岸とされ、海外においては台湾南部、福建省、海南島、南沙群島、東インド洋(東縁)ー西太平洋となっている。
本種は通常、大陸棚上に分布する魚で、離島にはいないとされているが、2020年10月に奄美市笠利沖で漁獲され琉球列島にも少ないながら生息していることが確認された。
◆ヤハズアオハタ / コクテンアオハタの特徴
「ヤハズアオハタ」は「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると標準体長39cmと記されているが、大きいものは全長70cmを超える。
写真は鹿児島の市場に入荷されたものを㈱タカスイさんから仕入れたもので、全長73cm、7.1kgだった。深海から引き上げられと思われ、腹腔内の空気が膨れ胃袋が口から出かかっている状態だった。
体形は側扁し「マハタ」に近いが尻ビレはマハタ属の特徴である3棘8軟条からなる。背ビレは11棘15~16軟条で、尾ビレ後縁は丸みがある。また、体高が高い。
体色は白っぽい淡色の帯と茶色い暗色帯で縞になっており、茶色い暗色帯に黒い斑点がある。
「コクテンアオハタ」との違いは眼の後方の淡色帯が後方から6本目の淡色帯と交わりY字状になっていることで、「コクテンアオハタ」にはこの眼の後方の淡色帯がない。
この淡色の帯は生時から漁獲されてすぐは青白っぽいが死後赤味がさしてくる。
真上から見ると白い帯が7本入っている。
●ヤハズアオハタの主な産地と旬
◆主な産地と漁獲量
「ヤハズアオハタ」は和歌山県以南から鹿児島県本土の近海で主に釣りや延縄で漁獲される。
主な産地は鹿児島県だが、極まれに水揚げされる程度で大都市の市場にはめったに並ばない希少な魚である。
◆ヤハズアオハタの漁獲時期と旬
そもそも獲れる数が極めて少なく、漁獲される時期も一定ではない。
旬は不明。今回入手したのは11月中旬で、生殖巣は発達しておらず、かなり大きな個体だった割に脂はそう多くなかった。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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ヤハズアオハタ |
< 出典 >
※ 「日本産魚類検索全種の同定第三版」