カワハギ/皮剥/かわはぎ:生態や特徴と産地と旬

カワハギ,皮剥,かわはぎ,Stephanolepis cirrhifer

●カワハギ/皮剥/かわはぎの生態や特徴

◆カワハギ(皮剥)とは

分類:魚類 > 条鰭綱 > フグ目 > カワハギ科 > カワハギ属(BISMaLより)

学名:Stephanolepis cirrhifer(Temminck & Schlegel, 1850)

和名:かわはぎ/皮剥/鮍

英名:Threadsail filefish

別名:ハゲ(紀州)、マルハゲ(関西)、カクハゲ、バクチウオ(伊豆や島根など各地)、ギッパ、キンチャク、コウグリ、ツノハゲ、ハギなど

 カワハギはフグ目カワハギ科

 カワハギ科は種類も多く国内だけでも約15属29種が知られているが、食用として市場に出回るのは、カワハギとウマヅラハギ、ウスバハギの3種くらいしかない。その中でもカワハギは最も味が良いとされている。

 カワハギはウロコが無く非常に堅くザラザラした皮に包まれている。この皮は切り込みを入れるだけで手で簡単に剥くことができ、そうやって皮を剥いでから料理することからカワハギと呼ばれる。その皮は昭和初期の頃までヤスリとして使われていたとか・・・。また、つるっと丸ごと皮がはがれる様が博打に負けて身ぐるみ剥がされる様を想わせる事から「バクチウオ」と呼ぶ地方も多い。

 和歌山や三重などでは「ハゲ」と呼ぶ人も多いが、関西などでは単に「ハゲ」というとウマヅラハギを指すことが多く、カワハギは「マルハゲ」と呼び区別している。

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 学名の属名部分”Stephanolepis”はギリシャ語で『花輪や冠』を意味する”stephanos”と、『ウロコ』を意味する”lepis”からなり、種名”cirrhifer”はラテン語で『縮れ毛』を意味する”cirrus”と『生じる、作り出す』を意味する”felo”からなる。

 カワハギはきわめて淡白な白身の魚で、その刺身はフグにもたとえられる。また、肝が非常に美味である。

◆カワハギ(皮剥)の生態

 カワハギは北海道辺りから日本海沿岸、太平洋沿岸、瀬戸内海、さらに東シナ海辺りまで分布し、日本では全国の沿岸で見られるポピュラーな魚の一つ。

カワハギ,皮剥,かわはぎ,Stephanolepis cirrhifer

 水深100m以浅の岩礁域付近の砂底に生息し、甲殻類をはじめゴカイなどの多毛類、貝類やウニなど固い殻がある生き物でも強靭な歯と強い顎でかみ砕いて食べてしまう。

 産卵期は初夏から夏にかけて。

 「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は青森県〜九州南岸の太平洋沿岸、青森県〜九州南岸の日本海沿岸、瀬戸内海となっている。また、海外においては朝鮮半島南岸・東岸、鬱陵島、済州島、台湾、遼寧省・山東省煙台、長江河口沖、福建省、香港、フィリピン諸島北端に分布する。

◆カワハギ(皮剥)の特徴

 カワハギは大きいものだと30cm程になり、体形は横から見るとひし形だが、正面や真上から見ると極端に側扁しているのが分かる。

カワハギ/皮剥/かわはぎ

 頭部に鋭く角状に伸びたいる部分があるが、これは背ビレの第一棘条が変化したもので、腹ビレの第一条も硬い棘状になっている。

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 カワハギの体色は青灰色や褐色で、ウリボウ(イノシシの子)のような褐色の斑紋が縦に縞状に入る物が多いが、これは個体差があり、斑紋がほとんどないものや迷彩色のようなものもいる。

 体表は非常にざらざらした皮で覆われているが、どこかに切り込みを入れれば、そこから手で簡単に全体の皮を剥くことができる。

 角の後ろにある背ビレの最初の軟条が糸状に伸びている方がオスで、メスにはこれが無い。

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■カワハギ/皮剥/かわはぎの産地と旬の時期

●カワハギの主な産地

 カワハギはやや暖海系の魚で、日本各地に分布しているが西日本で多く漁獲されている。ウマヅラハギに比べ漁獲量が少なく、高値で取引されている。

 また、静岡県で行われている地下海水を利用した養殖の他、愛媛県の海面養殖など各地で養殖も進められている。

●カワハギが美味しい旬

 カワハギは肝が美味しく、一般的には秋から冬にかけてが旬と言われている。秋頃から冬にかけて肝が大きくなり、肝醤油で食べる刺身やちり鍋などが非常に旨い。

 また、夏が旬とする説も見かける。これはおそらくカワハギが季節を問わず味が良い魚でもあり、フグやヒラメが端境期にあたる夏に代用されてきたからかもしれない。

旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
カワハギ                        
ウマヅラカワハギ                        

●カワハギの主な種類


< 出 典 >

 ※「日本産魚類全種の学名」中坊徹次・平嶋義宏著 東海大出版部 p.271

 ※「日本産魚類検索全種の同定第三版 Ⅱ」中坊徹次編 東海大出版会 p.1720

 ※「食材魚貝大百科 ④」平凡社 p.140

 ※「旬の食材- 秋の食材」 -講談社 p.84

 ※「食材図鑑 魚」永岡書店 p.60

 ※ Stephanolepis cirrhifer (Temminck & Schlegel, 1850) FishBase


 
 

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