ツムブリ/つむぶり/錘鰤:生態や特徴と産地や旬
●ツムブリの生態や特徴
◆ツムブリとは
分類:魚類 > 条鰭綱 > スズキ目 > スズキ亜目 > アジ科 > Naucratinae(ブリモドキ)亜科 > ツムブリ属(日本海洋データセンターより)
学名:Elagatis bipinnulata (Quoy & Gaimard, 1825)
和名:つむぶり/錘鰤、紡錘鰤
英名:Rainbow runner
別名:オキブリ(三重・和歌山),キツネ(高知)、ウメキチ(鹿児島)、オモカジ、イダ、オムロなど
ツムブリは外見がブリとよく似ていることから名前にブリと付くがブリ属ではなく本種のみでツムブリ属に分類されている。
世界中の温帯から熱帯海域で獲れる魚だが国内では漁獲量が少ないせいかブリなどに比べると知名度はとても低く価格も安い。しかし、旬の脂がのったものはとても美味しく値段を考えると嬉しくなる魚である。ただ、ブリと同じように小さい若魚は脂が少なく、ツムブリの小さいものは”買い”ではない。
学名の属名”Elagatis”の語源は紡錘(つむ)を意味するギリシャ語”ēlakatē”とされ、紡錘(つむ)は糸を紡ぐ時に糸を巻き取る機具を指す古語。ここから紡錘形という表現が生まれた。種小名”bipinnulata”はラテン語で小鰭を表す”pinnula”に因み、『二つの小鰭がある』という意味を表している。これはツムブリが尾柄に二つの小離鰭を持つことから付けられたのだろう。
英語名では”Rainbow runner(レインボー・ランナー)”というカッコいい名前が付けられているが、これも虹色に光る体側の色合いと海面近くを早く走る様に泳ぎ回る様子から付けられたと思われる。
◆ツムブリの生態
ツムブリは全世界の温帯から熱帯の海域に広く分布する魚で、日本近海では青森県〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、伊豆ー小笠原諸島、青森県〜屋久島の太平洋沿岸、琉球列島、南大東島に分布。海外では千島列島南部の太平洋沿岸、朝鮮半島、済州島、南シナ海全域、台湾、全世界の温帯・熱帯域となっている。
沖合〜沿岸の表層を群れで遊泳しながら小魚や浮遊性の甲殻類などを捕食し生息している。
◆ツムブリの特徴
ツムブリは標準体長1mほどで、体形は紡錘形で背ビレは棘条の前部と軟条の後部に分かれているが、棘条は通常体表に格納され一見無いように見える。ブリ属と同じように側線上に稜鱗(ゼンゴ)はなく、外見はブリとよく似ているがブリよりもスリムで尾柄部の上下にそれぞれ一つブリ属にはない小離鰭があるので見分けられる。
体色は背が暗緑色で中央あたりから黄色っぽくなり腹は白い。吻から尾柄にかけてブルーの縦帯が2本あり、漁獲された時点では虹色に光って見える。
●ツムブリの主な産地と旬
◆主な産地と漁獲量
国内の主な産地は主に南日本で、鹿児島をはじめ宮崎県や和歌山県などとなっている。写真のものも鹿児島県産である。
◆ツムブリの漁獲時期と旬
ツムブリもブリと同じように水温が下がる秋から冬にかけて身に脂がのり美味しくなるようだ。今回撮影した個体も11月下旬に漁獲されたもので、それほど大きなものではなかったが脂はたっぷりとのっていた。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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ツムブリ |