ツムブリ/つむぶり/錘鰤:目利きと料理
●ツムブリの目利きと調理のポイント
◆なるべく大きく、腹が硬いもの
ツムブリは小さい個体は脂がまだ乗っておらず物足りない。なるべく大きい方が美味しい。しっかりと身に脂がまわっているものは腹に独特の硬さがある。
◆目が澄んでいるもの
目はやはり鮮度を見分けるポイントの一つ。透明感があり、黒目が澄んでいるものが新鮮。乾燥しているものや窪んでいるもの、白濁しているものは鮮度が落ちてきている。
また、体色のブルー焼き色が鮮やかなものが新鮮。
◆エラが鮮紅色の物
エラ蓋を開けてみて、中のエラが鮮やかな赤い色をしているものが新鮮。
◆切り身の場合
身は脂が多いと白濁するが、それでも脂のサシの部分以外に透明感がある方が新鮮。鮮度が落ちてくると全体に真っ白になってきて、部分的にクリーム色っぽくなってくる。
◆調理のポイント
ウロコはしっかりと付いているが、バラ引きで取ることができる。ブリやカンパチに比べ頭部とカマの部分は小さく、歩留まりはいい。
基本的にはブリと同じ料理でおいしく食べられる。
●ツムブリの美味しい食べ方と料理
◆ツムブリの刺身
今回のものは11月20日過ぎに仕入れた全長60cmあまり2.1Kgのものだが、写真の通り見事に脂がのっていた。
背身でも多く、腹身は脂で包丁が滑らないほどだった。
食べてみるとしっかりとした食感があるが、筋っぽさはなく、口の中で溶けていく。濃厚な脂の旨みがあり美味しいが、多くは食べられない感じ。
◆ツムブリの塩焼き
グリルすることで程よく脂が落ち、身は少し縮むがいい感じの繊維感がありとても美味しい。
◆ツムブリの照り焼き
これはブリ同様、このための魚といえるほど美味しい。
切り身のツムブリに軽く塩を振りしばらくなじませておく。
フライパンに油を敷き、薄い切り身なら盛り付けるときに上になる側から、写真のような切り身なら皮側から焼き始め、両面焼き色が付いたら薄い切り身の場合はいったん取り出す。写真のような大きな切り身の場合はそのまま続ける。
そのフライパンに酒1:醤油1:みりん1:砂糖好みで適量を加え、煮立て、少しとろみがついてきたくらいで取り出していた場合は戻し、煮汁を全体によく絡めながら更に煮詰めて仕上げる。
食べるときに粉山椒を振るとより美味しい。
◆ツムブリしゃぶ
ツムブリを使った鍋。ブリしゃぶと同じように昆布だしベースに野菜を入れて煮立て、その中で薄く切ったツムブリの身をしゃぶしゃぶしてポン酢で食べる。
表面が白くなったくらいで食べるのがおいしい。この食べ方だと脂がのりまくった腹身もすこぶるおいしく食べられる。
◆ツムブリのみそ煮
ツムブリの切り身をサバの味噌煮と同じ要領で煮たもの。
これも文句無しに美味しい。脂の旨みと味噌のコクが相まってまろやかなふくらみのある味わいとなる。
◆ツムブリのポワレ
比較的脂が少ない尾側の切り身をニンニクを効かせたオリーブで焼き上げたもの。
レモンをきゅっと絞って食べると結構おいしい。
◆ツムブリのキノコ餡かけ
ツムブリに塩を振りしばらくなじませてからキッチンペーパーで表面の水分をふき取り、酒を吹き付けて胡椒を振り、片栗粉をまぶして油でカラッと揚げる。
中華スープまたは和風の出汁にシメジをと醤油と砂糖、酢を加えて煮立て、少し甘酸っぱい味に調えたところに水溶き片栗粉を加えてとろみを付け、先の揚げた切り身にかける。
◆ツムブリのかぶと焼き
ブリなどに比べると頭やカマは小さいが、脂はしっかりとあるので単に塩を振って焼くだけで美味しい。
◆ツムブリ大根
下茹でして大根と食べやすい大きさに切ったツムブリの身(カマなどのアラを加えても美味しい)を加え、酒、醤油、みりん、砂糖と全体がひたひたに浸かる程度の水を加え、落とし蓋かキッチンペーパーをかぶせて煮る。
これも文句無しに旨い。
◆ツムブリのかぶと煮
かぶと焼き同様、普通に美味しい。この部分は魚の最も美味しい部位ではないかと思う。
◆ツムブリのステーキ
2~3cmの厚さに切ったツムブリの切り身に塩胡椒を振り、ステーキの様に両面こんがりと焼き上げ、大根おろしと醤油で食べるのも美味しい。