ブリ/鰤/ハマチ:生態や特徴と産地や旬
●ブリの生態や特徴
◆ブリとは
分類:魚類 - 条鰭綱 - 新鰭亜綱 - 真骨下綱 - 棘鰭上目 - スズキ目 - スズキ亜目 - Percoidea(スズキ)上科 - アジ科 - Naucratinae(ブリモドキ)亜科 - ブリ属(日本海洋データセンターより)
学名:Seriola quinqueradiata Temminck & Schlegel, 1845
和名:ぶり/鰤 (出世魚なので大きさにより別名がある)
英名:yellowtail、Japanese amberjack
ブリはアジ科ブリ属の一種で、同じブリ属のヒラマサ、カンパチと共にブリ御三家と呼ばれている。冬に佐渡辺りから能登半島辺りで獲れる脂がのった大物の「寒ブリ」は高級魚として扱われるが、夏などに獲れる小さいものは非常に安い総菜魚として扱われる。
◆ブリは代表的な出世魚
ブリは成長するにつれて呼び名が変わる出世魚の代表格である。ただ、地方によってもその呼び名が違い、対象となるサイズは人によっても多少見解が違ったりするが概ね以下のとおりである。
関東
ワカシ(15~30cm程度)→ イナダ(30~50cm)→ ワラサ(50~60cm)→ ブリ(60cm以上)
関西
ツバス(15~40cm) → ハマチ(40~60cm) → メジロ(60~80cm) → ブリ(80cm~)
能登
ツバイソ(こぞくら) → フクラギ(40~60cm) → ガンド(60~80cm) → ブリ(80cm~)
●養殖ハマチ
ブリは養殖も盛んで市場には通年流通している。もともとハマチとは関西地方のイナダの呼び方だったのだが、西日本で養殖が盛んだったことと、40~50cmほどの大きさの養殖物をハマチとして関東へ出荷していたため、関東では養殖物=ハマチと呼ばれるようになったようだ。
かつては2年物のハマチサイズが主流だったが、今では技術も進歩し、外海で養殖されるようになったことで風味も良くなり、80cm前後、6Kg前後のものも養殖ブリとして出荷されるようになってきた。
◆ブリの生態
ブリはカムチャッカ半島以南の北西太平洋、オホーツク海、日本海、東シナ海まで分布する回遊魚で、多くが群れを成して春から夏にかけて日本海や太平洋の沿岸近くを北上し始め、水温が下がる秋には沖合を南下する。
産卵期は暖かい海域ほど早く、2月頃から初夏にかけてとみられ、孵化した稚魚はモジャコと呼ばれるように、流れ藻などに身を寄せてプランクトンなどを食べるが、成長と共に魚食性へと変わり、主に沿岸近くのイワシやコアジなどを捕食しながら北上する。
◆ブリの特徴
ブリは大きいものだと1.5m程にもなるようだが、冬に漁獲される大きいものでも多くは1m前後。体形は正に紡錘形でヒラマサやカンパチに比べ側扁が弱く断面が楕円形になっている。
体色は背がほんのり緑が混じったような暗青色で腹は白く、その境界となる体側には口元から目を通り、尾の付け根までまっすぐに黄色い縦帯が通っていおり、尾ビレ、腹ビレ、臀(しり)ビレが黄色いのも特徴。
カンパチやヒラマサとの違いは、アゴの上後端が角ばっていることがまず目につく他、胸ビレの長さが腹ビレと同じくらいであることなど。
●ブリの主な産地と旬
◆ブリの漁獲量
農林水産省がまとめた平成27年産の漁獲量を見ると、主な産地は長崎県、石川県、島根県など日本海側が多く、太平洋側では千葉県や茨城県となっている。日本海側では「佐渡ブリ」、「能登ブリ」、富山湾に入ったものは「氷見ブリ」など、寒ブリと呼ばれ冬の特産として有名。
◆養殖ブリの収穫量
世界で最初にブリの養殖に成功したのは香川県。現在の主な養殖産地は鹿児島県、大分県、愛媛県などとなっている。これらの養殖は採卵かや孵化なども含めた完全養殖ではなく、モジャコを漁獲し、それを2~3年間畜養して出荷するというもの。
■ブリの美味しい旬
●ブリの旬は冬。いわゆる「寒ブリ」。
天然の大物、ブリが美味しくなる旬の時期はたっぷりと脂を蓄え南下する12月~2月の冬が旬。この時期のものは「寒ブリ」と呼ばれ非常に人気が高い。この時期は主に日本海側で沢山穫れ、太平洋側では少し遅れ2~3月に多く水揚げされる。
春になるとメスは腹に卵を持ち、その卵は美味しいのだが、その分身質が落ちてしまう。また、天然のハマチ、イナダサイズのものは秋に多く水揚げされている。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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ブリ(鰤) | ||||||||||||
ハマチ、イナダ、ワラサ |