コブセミエビ:生態や特徴と産地や旬
●コブセミエビの生態や特徴
◆コブセミエビとは
分類:ホンエビ上目 > 十脚目 > 抱卵亜目 > Achelata > セミエビ科 > Arctidinae > セミエビ属(日本海洋データセンターより)
学名:Scyllarides haani (De Haan, 1841)
和名:こぶせみえび/瘤蝉海老
英名:Ridgeback Slipper Lobster
別名:ワラグチャー(沖縄)
「コブセミエビ」は「セミエビ」と同じセミエビ科セミエビ属の一種で、「セミエビ」よりも大型になる。
和名は腹部の第2~第4節の背側に顕著なコブ状の突起があることに因む。
味が良く大型になり、個体数が少なく獲れる数も少ないため超高級品として扱われるが、「ウチワエビ」や「セミエビ」ほど知名度がなく関東や関西の市場に入ってくることはほとんどない。
◆コブセミエビの生態
コブセミエビは暖かい海域に分布し、水深10~30mの外洋性の岩礁に生息する。
夜行性で日中は岩陰などでじっとしており、夜になると活発に動き回り、貝類や小型の甲殻類、死肉などを食べる。
写真で見ても分かるように、ハサミが付いた脚はなく、岩にしがみつきやすいようどの脚も先が尖った形になっており、しっかりと岩にしがみつくだけの力も持っている。
「原色日本大型甲殻類図鑑(Ⅰ)」によると日本近海での分布は南紀から九州・沖縄諸島の太平洋沿岸となっており、海外ではハワイ・ポリネシア・ミクロネシア・オーストラリア・アフリカ東岸を除いたインド西太平洋中央部に分布する。
水槽に入れ、生きて動いている様子を撮った動画がこちら。
◆コブセミエビの特徴
コブセミエビは最大で体長50cmほどにまでなる大型種。写真(手に持っているもの)のものでも全長43cm1.65kgもある。脚が付いている側から見ると長方形に見える。
コブセミエビはセミエビの仲間なので全体の体形はよく似ており、頭胸甲は扁平し上から見ると蝉を思わせる姿をしている。
体色は全体に薄い黄色の地に赤褐色の斑紋があり、セミエビほど全体に赤くはなく、脚に紫色の部分もないため、全体に地味で、紫色なのはアンテナのように伸びる第1触角だけである。
和名の由来にもなっている通り、横から撮った姿をセミエビと並べてみるとセミエビより更に凸凹としており、第4腹節のコブが後方に向けて突き出ているのがよくわかる。
胃域の正中に幅広い隆起稜があり、その両側の縦溝と頸溝との間は著しく隆起している。第二触角の第二節には内側に前方に向けていくつかの角状歯が付いている。
写真のセミエビもそこそこ大きなものだったが、コブセミエビとは実際にこれほど大きさに差があった。
●コブセミエビの主な産地と旬
◆コブセミエビの主な産地と漁獲量
コブセミエビは南紀以南の太平洋沿岸に分布するが、漁獲数は極わずかで、比較的多く獲れるのは沖縄県と鹿児島県である。ただ、正確な漁獲数の記録は不明。
このエビを目的とした漁はなく、イセエビやウチワエビなどを目的とした刺し網などで混獲されるにすぎない。
◆コブセミエビの漁獲時期と旬
コブセミエビはほぼ通年漁獲はあるようで、美味しい旬の時期は不明。鹿児島の市場には4~5月にかけて比較的多く出るとのこと。
撮影試食したものは4月中下旬に鹿児島で漁獲されたもので、大きい方はメスで内子がたっぷりと詰まっていた。その内子も、もう卵の粒がかなり成熟してきていた。産卵期は夏?
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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コブセミエビ |
◆セミエビ科の仲間
< 出 典 >
※「原色日本大型甲殻類図鑑(Ⅰ)」三宅貞祥著 保育社
※「食材魚貝大百科」平凡社
※ 鹿児島魚市場 (株)タカスイ 久保和博氏
※ Scyllarides haanii (De Haan, 1841 [in De Haan, 1833-1850]) WoRMS taxon details