セミエビ(蝉海老):生態や特徴と産地や旬
●セミエビの生態や特徴
◆セミエビとは
分類:ホンエビ上目 > 十脚目 > 抱卵亜目 > Achelata > セミエビ科 > Arctidinae > セミエビ属(日本海洋データセンターより)
学名:Scyllarides squammosus (H. Milne Edwards, 1837)
和名:せみえび/蝉海老
英名:Blunt Slipper Lobster 仏名:Cigale grenue
別名:クツエビ、モンパ、アカテゴザ
セミエビはセミエビ科を代表する種で、コブセミエビとともにセミエビ属に分類されている。セミエビ科には他にウチワエビを含むウチワエビ属、ウチワエビモドキ属、ヒメセミエビ属、ゾウリエビ属が含まれている。
産地によっては和歌山県あたりでは「クツエビ」と呼ばれるほか、奄美大島では「アカテゴザ」、高知県では「モンパ」とも呼ばれている。
セミエビという名はその字のごとくセミ(蝉)を思わせる姿に由来する。またクツエビもクツ(靴)の形に似ているという事からだろう。英名の”Blunt Slipper Lobster”は、”Blunt”=「鈍い、なまくらな」”Slipper”=「スリッパ」”Lobster”=「大型の歩行エビ」、要するにボテッとしたスリッパのような大エビといういみである。
イセエビに比べ認知度が低く、産地以外ではあまり見かけないエビだが、身がたっぷりと詰まっていて歩留まりがよく味もいいことと、伊勢海老ほどは獲れない希少性からイセエビよりも高値で取引されることが多い高級食材である。
◆セミエビの生態
「原色日本大型甲殻類図鑑 (Ⅰ)」によると日本近海では千葉県~九州・沖縄諸島の太平洋岸、海外ではインド西太平洋海域に分布し、外洋性の岩礁に生息する。
セミエビは夜行性で、海底の岩礁域を歩行し、貝類をはじめ多毛類など主に底生の小動物を捕食している。
◆セミエビの特徴
体長は25~30cmほど、重さ600~800gの大型のエビで、全体にずんぐりとした姿をしている。
特徴的なのは第2触角の形状で、一般的なエビのそれが細長く伸びているのに対し、セミエビは第2、第4節が幅広の板状になっており、その前縁、側縁には鋸歯がなく丸くなっている。
頭胸甲は上から見ると長方形で両側縁にウチワエビのような鋸歯はなく、額角はほぼ五角形。身体全体が扁平気味だが、写真で見ても分かるようにウチワエビのようなぺったんこな感じはなく厚みもある。
体色は全体に赤褐色系だが、背の部分に白っぽい帯状の部分があり、第2触覚は朱色で縁どられている。また眼孔から腹節にかけての側縁も同じ色のいぼ状突起で縁どられている。歩脚の先は紫色である。
甲羅は厚みがありとても固く、表面には顆粒状の丸い突起が密生し、その間に短毛がある。
一般に食材として市場に出回るセミエビ科には下の写真尾4種があるが、並べてみるとその違いが分かりやすい。
●セミエビの主な産地と旬
◆主な産地と漁獲量
セミエビは温かい海域を好み、国内の主な産地は沖縄県をはじめ鹿児島県や高知県、和歌山県などとなっている。
関東や関西などの市場へも出荷されているがその数は少なく、主に料理店向けで、産地以外では一般のスーパーや魚屋に並ぶことはほとんどない。
◆セミエビの漁獲時期と旬
筆者が調べた限りではセミエビの産卵期はイセエビと重なり、5月頃から夏の間とされている。そのため、春から初夏にかけては生殖巣が発達しメスであれば内子が入っているものが多い。
このことから、身が充実して美味しい旬の時期は11月頃から内子が入りだす3月頃までと思われる。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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