クロダイ/黒鯛/チヌ:生態や特徴と産地や旬
●クロダイの生態や特徴
◆クロダイとは
分類:魚類 - 条鰭綱 - スズキ目 - スズキ亜目 - タイ科 - クロダイ属(日本海洋データセンターより)
学名:Acanthopagrus schlegelii (Bleeker, 1854)
和名:くろだい/黒鯛
英名:Blackhead seabream、Black porgy
別名:チヌ、カワダイ(川鯛)、カイズ(30cm足らずの物)
クロダイはタイ科クロダイ属の魚で、文献によりタイ科の中でもヘダイ属と共にヘダイ亜科に分類されるという見方もある。
一般のスーパーなどで売られている食材というよりは釣りの対象魚としての方が知名度が高い。釣りでの呼び名は成長と共に呼び名が変わる出世魚で、地方によって呼び名は色々あるようだが、主なものは幼魚を「チンチン」、中型の物を「カイズ」、「チヌ」、そして大物を「クロダイ」「年無し」などと呼ぶ。ただし、呼び名が変わる分岐点は地域や人によってまちまちではっきりしていない。
学名の”Acanthopagrus”はギリシャ語で「棘」を意味する”akantha”にマダイ属を表す"Pagrus"を合わせたものとされ、種小名の”schlegelii”はドイツの動物学者ヘルマン・シュレーゲル(Herman Schlegel 1804-1884)に因む。
そこそこ美味しい魚ではあるが、やや水分が多く締めてから身が緩むのが早い事と、個体によっては臭みがあることもありマダイに比べ値は格段に安い。
◆クロダイの生態
クロダイは北海道から九州鹿児島にかけての日本沿岸、及び朝鮮半島南部から中国、台湾の沿岸に分布する。
沿岸の水深50m以浅の岩礁域をはじめ内湾も好み、砂泥底や汽水域にも多く、時には河川を1キロ以上遡上することもある。エビなどの甲殻類や貝類、小魚などを捕食する。大型で引きが強く、磯や漁港の波止からも釣れることから釣りの対象魚として人気がある。
クロダイはヘダイなどと同様に雄性先熟型の生態で、1~3歳頃までは全て精巣(白子)が発達したオスで、しかし、その頃から卵巣も少しづつ形成されてくる。その後4~5歳になると多くは精巣が縮み卵巣が発達しメスとなるが、一部の個体は性転換せずオスのまま成長し、オスとメスが完全に分化する。
産卵期は春から初夏にかけてで、その時期には内湾の浅いところにも大型のものが寄って来る。寿命は長いものだと20年前後とみられ、大きさは生育環境や個体によってかなりの差があり、10数年生きていたものでも40cm程にしかならないものもいるようだ。
◆クロダイの特徴
クロダイは老成魚だと全長70cm以上にもなるが市場に流通するものは30~40cm程のものが多い。
体形は側扁しタイ科らしくマダイとよく似た体高のある姿をしているが、マダイに比べやや吻が先に尖っている。背鰭は前半が11本の硬い棘条で、それに途切れず後半の11本の軟条が続く。尻鰭は3本の棘条と8本の軟条からなるが、第二棘条は太く長めで非常に強い。
体色は全体に名前の通り黒っぽくあご下から腹肛門にかけての腹側だけが白く体側は、幼魚のうちは灰銀色の地色に黒い横縞がみられ、大きく成長するにつれて全体に黒っぽくなり縞は目立たなくなる。背ビレをはじめ胸ビレや腹ビレ、臀(しり)ビレ、尾ビレが全て黒っぽいのも特徴でよく似た近縁種のキチヌと見分けられる。
●クロダイの主な産地と旬
◆主な産地と漁獲量
生息域の沿岸各地で釣りや定置網、刺し網などで漁獲され、全国で年間3500~4000tが安定して漁獲されていると言われている。
◆クロダイの漁獲時期と旬
クロダイは定置網などで年間通して水揚げされ市場に出荷されている。食べて美味しい旬に関しては諸説あるが、産卵期が春から初夏にかけてで、その頃によく釣れるのだが産卵前後は身質が落ちる。それ以外の時期はあまり大きな差はないように感じられるが、冬から春先にかけてが美味しい旬だと思う。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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クロダイ |