タキベラ:生態や特徴と産地や旬
●タキベラの生態や特徴
◆タキベラとは
分類:魚類 > 条鰭綱 > スズキ目 > ベラ亜目 > ベラ科 > タキベラ属(日本海洋データセンターより)
学名:Bodianus perditio (Quoy & Gaimard 1834)
和名:たきべら/瀧倍良、滝遍羅
英名:Golden-spot hogfish 仏名:Labre de la perdition
タキベラはベラ科の一種で、キツネベラなどと共にタキベラ属を構成する。インド-西太平洋の暖海域に広く生息するが赤道付近の熱帯海域にはいないそうだ。
沖縄あたりでは普通に目にする魚で刺身をはじめ揚げ物などにして食べられているが、本州の市場に出荷されることは少なく、一般のスーパーなどで目にすることはほとんどないだろう。
和名は、本種の幼魚には背ビレ中央付近から体側にかけて流れ落ちる滝のような白い帯が見られる事に因む。ただ、この白い帯は成長するにしたがって黄色く、そして短くなり、やがて判別しにくい位にぼやけていく。
英名では”Golden-spot hogfish”と呼ばれているが、これは頭部にみられる金色(黄色)の斑点=”Golden-spot”のあるベラ=”hogfish”という意味で、英語の”hogfish”とは「豚魚」という意味だが、これは西大西洋に生息する”Lachnolaimus maximus”という種に顕著にみられる、豚に似た口元に因んでいる。ただ、タキベラはあまり似ていない。
学名の属名”Bodianus”はブラジルで大きなベラ類を指す”Bodiano”という名称に因んでおり、種小名”perditio”はラテン語で『地獄に落ちること』『破滅』『破壊』を意味しますが、その理由は不明。「破滅のベラ」あるいは「地獄に落ちたベラ」といった感じでしょうか。
◆タキベラの生態
タキベラは暖海性の魚で、赤道付近の熱帯海域を除くインド-西太平洋沿岸のやや深い岩礁域で甲殻類や小魚など底生の小動物を捕食する。
幼魚はほぼ全て雌で、成長し大きくなると雄になる雌性先熟の性転換をする魚である。
「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は、伊豆諸島、小笠原諸島、硫黄島、静岡県土肥、和歌山県南部、高知県、屋久島、琉球列島、南大東島となっている。また、海外においては、台湾、東沙群島、南アフリカナタール〜モーリシャス(南半球)、オーストラリア東岸〜バヌアツ、ツアモツ諸島に分布する。
◆タキベラの特徴
タキベラはベラ類の中では大型種で標準体長80cmになる。(写真は全長60cm2.8kg)体形は側扁した縦長の楕円形で吻は尖らず尾びれは湾入型で上端と下端の後縁が長く伸びているのが特徴。
成魚の体色は全体に赤く、頭部から胸ビレ付け根辺りにかけて多数の黄色斑がある。背ビレ前半の棘条膜が黒いが尾ビレや臀ビレには黒い斑紋などはない。
背ビレ中央付近の体側に黄色い横帯と、その後方に大きな黒色班があるが、これらは大きくなるにつれぼやけていく。
●タキベラの主な産地と旬
◆主な産地と漁獲量
タキベラは暖海性の魚で、食用となる成魚の主な産地は沖縄県や鹿児島県、それに小笠原である。
産地以外では流通することも少なく、価格的には比較的安い魚である。
◆タキベラの漁獲時期と旬
タキベラが美味しい旬の時期は不明。暖海性で産卵期の前後を除いてあまり多きな差がないのではないかと思われる。
今回撮影試食したものは4月23日に仕入れたものだが、店主から見て痩せているとのことだった。これが時期的なものなのか、個体的なものなのかは判らない。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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タキベラ |
●旬の食材百科で紹介しているベラの仲間
< 出 典 >
※「日本産魚類全種の学名」中坊徹次・平嶋義宏著 東海大出版部
※「日本産魚類検索全種の同定第三版」中坊徹次編 東海大出版会
※「食材魚貝大百科」平凡社
※「旬の食材- 秋の食材」 -講談社
※FishBase Bodianus perditio (Quoy & Gaimard 1834)