タキベラ：目利きと料理

　タキベラを選ぶ際のポイント、目利きや見分け方、さばき方をはじめ、美味しい食べ方と調理方法、主な料理、料理レシピなどを沢山の写真と共に紹介します。

●タキベラの目利きのポイント

　鮮度がよく美味しい魚を選ぶのは素人ではなかなか難しく、一番間違いがないのは信頼できる魚屋を見つけることです。ここでは、素人でもある程度判断できるポイントをいくつか紹介しておきます。

◆眼が澄んでいること

　タキベラの眼は身体に対して小さいが、ふっくらと丸みがあり済んでいるものが新鮮。

◆エラが鮮紅色のもの

　エラブタを開けてみて中のエラの色をチェックする。鮮やかな赤い色をしているものが新鮮。澱んでいたり茶色くなっているものは鮮度が落ちてきている。

◆色が鮮やかで身体に張りがあるもの

　鮮度はまず全体に艶があり体色が鮮やかなもの。そして触ってみてしっかりとした弾力と硬さがあるものが新鮮。ある程度大きい方が歩留まりも良く旨い。

●タキベラのさばき方や調理のポイント

◆タキベラのさばき方

　タキベラのさばき方はマダイやキツネベラなどと同じ要領でいい。

　ウロコは大きくて薄いがはがしにくい。包丁ですき引きした方が早いが、それをすると皮の赤い色もそぎ落とすことになってしまうので、皮色を残したいなら丁寧に落としていくしかない。

　身は白く柔らかいが弾力があり、身割れはしにくい。

キツネベラのさばき方（動画）　→

　煮つけなどにする場合はじっくりと時間をかけて煮る魚なので、骨付きの方が身崩れしにくい。

◆調理のポイント

　身はクセや臭みがない淡白な白身で、脂も比較的少ないが旨味はある。鮮度が良い物は刺身でも食べられるが、加熱調理すると弾力のあるブリンブリンの食感になりやすく、時間をかけてじっくりと火を入れる方がいい。

ゼラチン質を多く含み、皮は厚く加熱調理する時間が短いと著しく縮みゴムのような食感になる。

　今回のものは魚体が痩せており、鮮魚店の店主曰くすり身にするといいとのことだった。

●タキベラの美味しい食べ方と料理

◆タキベラの刺身　焼き切り

　三枚におろしたタキベラを、皮をバーナーで炙ってから急冷し切ったもの。

　今回のものは身痩せしていたせいか食感ははじめ柔らかく感じるが、噛むと弾力があり、厚く切ると噛み切りにくい程であった。噛んでいると甘味が感じられる。

◆タキベラのポワレ

　三枚におろし切り身にして、皮目に切り込みを入れてから、ニンニクとローズマリーを効かせながらオリーブ油で焼き上げる。

　身はぎゅっとしまり、ナイフで切らないと身はほぐれない。強い弾力がある食感だが、甘味はある。骨付きで焼くと身離れが悪く食べにくい魚である。

◆タキベラの唐揚げ

　三枚におろしてから小口に切り、酒、塩胡椒、片栗粉をまぶして唐揚げにしたもの。

　はじめやや低温でじっくりと揚げ、仕上げに温度を上げてカラッと揚げている。じっくり上げることで身は幾分弾力が減り美味しく食べられるようになった。

◆タキベラの塩焼き　かぶと焼き

　タキベラの頭とカマの部分に塩を振り、しばらく馴染ませてから染み出た水分をふき取り、鰭に塩を付けてグリルで焼き上げたもの。

　皮はゴムのように縮み堅くて食べられなかった。身も弾力が強く、身離れがとても悪い。とはいえ、味自体は甘味があって美味しい。

◆タキベラの煮付け　かぶと煮

　タキベラの頭とカマの部分を酒、醤油、みりん、砂糖で煮付けたもの。

　焼いた時にゼラチン質の弾力が強すぎると感じたので、1時間以上時間をかけてじっくりと煮込んでみた。

　結果これが正解だった。皮はとろけるほど柔らかくなり、身離れもよく食感もとてもいい具合になった。このようにじっくりと時間をかけて加熱することでゼラチン質が溶け美味しくなる。

　この煮汁だが、冷蔵庫に入れておいた翌朝にはしっかりとした硬い煮凝りになっていた。

◆タキベラのフライ

　三枚におろし皮を引いた切り身に塩胡椒を振り、小麦粉、卵、パン粉の順にまぶして油で揚げたもの。

　やはり低めの温度でじっくりと火を入れ、仕上げに温度を上げて表面をカラッとさせている。

　これは普通に美味しい白身魚のフライとなった。別の一切れをパンにはさんで食べたのだが、これもとても美味しかった。

◆タキベラの中華風炒め物

　タキベラはあらかじめ片栗粉をまぶして揚げてから、彩野菜と共に炒め、中華の出汁と片栗粉で仕上げたもの。

　タキベラはクセがなく、炒め物にもよく合う。

◆タキベラのすり身　料理

　仕入れた鮮魚店のお勧め通り、タキベラをすり身にしてみた。ほんのり桜色のふんわりしたすり身になる。

　このすり身にパセリのみじん切りを練り込み、赤海老に巻いて2品作ってみた。

　ラップを広げ、そこにすり身を長方形に塗り広げ、そこに胴の部分だけ殻をむいた赤海老をのせてラップごと海老を巻く。

　それを5分ほど蒸しあげる。

　１品は蒸したものにオリーブ油をかけてグリルで表面に焦げ目がつくまで焼き上げたもの。レモン汁を絞って食べる。

　もう一品は焼かずに蒸しあがったものにバジルのクリームソースをかけ、トマトソースの上に盛り付けたもの。

　いずれも歯切れのいい食感で甘味もあり上質の練り物といった感じだった。

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