ウスベニコウイカ:生態や特徴と産地や旬
●ウスベニコウイカの生態や特徴
◆ウスベニコウイカとは
分類:頭足綱 > 鞘形亜綱 > 十腕形上目 > コウイカ目 > コウイカ科 > コウイカ属 > Doratosepion(日本海洋データセンターより)
学名:Sepia (Doratosepion) lorigera Wülker, 1910
和名:うすべにこういか/薄紅甲烏賊
別名:ハリイカ、コウイカ
ウスベニコウイカはコウイカと同じコウイカ科コウイカ属の一種。コウイカ属には一般的によく知られているコウイカやカミナリイカ(紋甲イカ)の他にも20種以上いて、本種などまとまって獲れない珍しいものは市場での扱いもまちまちで、時にとても安く売られていたりするので掘り出し物的存在かもしれない。
味や身質はコウイカとよく似ていてとても美味しいイカなのだが、今回入手したものは甲長20cm程のものが12入り1ケースで1,400円だった。
◆ウスベニコウイカの生態や分布
ウスベニコウイカは東京湾以南の太平洋沿岸、山陰海岸以南の日本海沿岸から東シナ海に分布し、水深100~300m深海にせいそくするようだ。(※1、※2)
◆ウスベニコウイカの特徴
ウスベニコウイカは外套長25cm程になる。外套膜の形状はコウイカよりもスリムで、背側は全体に赤褐色で背中線に沿って中央付近の色が濃く、その外側左右に細い赤い縦筋が見られ、両眼の間から第Ⅰから第Ⅲ腕にかけ6本の同じ赤い線が通っている。
腹側には両側に細い赤褐色の縦線が入っており、その後端が内側に曲がって終わるのが特徴。(※1、※2)
また本種の大きな特徴はオスの第Ⅰ腕が外套長の1.5倍以上(今回のものは2倍以上あった)にも伸びていることで、途中糸状にまで細くなるが先端近くでは柳葉状の薄い保護膜を有し、中央から左右交互に肉中が枝脈状についていて1 列の格子目になっている。(※1、※2)
ウスベニコウイカの甲羅はDoratosepion型と呼ばれるスリムな形状で、甲の背面は淡い桃褐色で、先端の棘は尖る。外円錐は後端部で杯状に広がる。甲羅はもろく簡単に折れる。
●ウスベニコウイカの主な産地と旬
◆主な産地と漁獲量
ウスベニコウイカは主に底引き網で混獲されるが、近縁種との区別もほとんどされていないと思われ、その数は統計がなく不明。
生息海域から、比較的暖かい西日本で主に漁獲されていると思われる。
今回入手したものは5月上旬に福井県小浜港に水揚げされたもので、トロ箱1ケース分だった。操業海域は未確認。
◆ウスベニコウイカの漁獲時期と旬
産卵期や生態などもあまり分かっていない上、まれにしか見ないイカなので旬は不明。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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ウスベニコウイカ |
<出典>
※1 鳥取県立博物館研究報告 Bulletin of the Tottori Prefectural Museum 50: 1-43, March 30, 2013