モロトゲアカエビ/シマエビ/キジエビ:生態や特徴と産地や旬

モロトゲアカエビ/シマエビ/キジエビ

●モロトゲアカエビ/シマエビの生態や特徴

◆モロトゲアカエビとは

分類:ホンエビ上目 > 十脚目 > 抱卵亜目 > コエビ下目 > タラバエビ上科 > タラバエビ科 > モロトゲエビ属(日本海洋データセンターより)

学名:Pandalopsis japonica Balss, 1914

和名:もろとげあかえび/両棘赤蝦

英名:Morotoge shrimp

別名:シマエビ(縞海老)、キジエビ(雉海老)

 モロトゲアカエビという名はあまり一般には使われておらず、産地や市場では見た目から「シマエビ」または「スジエビ」と呼ばれることが多い。食味がとてもよく獲れる量が少ないことから高値で取引される高級海老となっている。標準和名の「モロトゲアカエビ」は漢字で「両棘赤蝦」と書き、長く突き出た額角の上下両方に鋭い棘が並んでいる赤いエビという意味で付けられている。

 味は、ホッコクアカエビ(甘えび)トヤマエビ(ぼたん海老)を足して割ったような・・・味の好みはあると思うが、ある意味最も上品でバランスが取れた美味しいエビではないだろうか、見た目も美しい。

 このエビは他のタラバエビ科のものよりは生命力が強く、築地や京都の市場でもまだ生きている物を見かける。また、魚屋から聞いたところ鮮度が落ちるのもそれほど早くないと言う事だ。

◆モロトゲアカエビの生態

モロトゲアカエビ/シマエビ/キジエビ

 モロトゲアカエビは島根県以北北海道までの日本海沿岸からサハリンや朝鮮半島頭部の沿岸辺りまで分布し、水深180〜530m程の砂泥質の海底に生息する。

 産卵期は11月~4月にかけてで、メスは産卵後約1年に渡って卵が孵化するまで抱卵し保護する。そのため、産卵は隔年となる。

◆オスからメスへの性転換

モロトゲアカエビ/シマエビ/キジエビ

 同じタラバエビ科のホッコクアカエビやトヤマエビ同様、雄性先熟の性転換を行う。はじめはすべてがオスとして成長し、3歳から4歳にかけて雄から雌に変わっていく。漁獲サイズとなり店頭に並ぶものはほぼメスと考えて良いだろう。

◆モロトゲアカエビの特徴

モロトゲアカエビ/シマエビ/キジエビ モロトゲアカエビ/シマエビ/キジエビ

 モロトゲアカエビは体長13cm程で、大きいものでも15cmほど。額角が反りかえるように長く突き出ており、この上下にギザギザの棘が並んでいるのが特徴。

 体全体に赤く見え、頭胸甲から腹節にかけて赤褐色と薄いピンクの縦縞模様が入っているのが特徴で、「シマエビ/縞蝦」や「スジエビ」の呼び名の由来となっている。

●モロトゲアカエビ/シマエビの主な産地と旬

◆モロトゲアカエビの主な産地と漁獲量

モロトゲアカエビ/シマエビ/キジエビ

 主な産地は北海道をはじめ新潟から福井辺りまでの北陸、丹後などで、ズワイガニ漁やホッコクアカエビなど他のエビに混じって混獲されるが、その量は少なく水揚げの多くが産地で消費される。

 近年は流通が発達し、生きた状態で都市部の市場にも並ぶがホッコクアカエビに比べとても高価。

◆モロトゲアカエビの漁獲時期と旬

 モロトゲアカエビはこのエビだけを目的とした漁ではなく、底曳網やエビ籠漁などで混獲されるため、明確な漁期は決まっていないが、能登や北陸ではカニ漁が終わってからエビ籠漁を始める漁師も多く3月から初夏にかけてが本場となり8月頃まで獲れる。

 一方、北海道近海ではホッコクアカエビのエビ籠漁などで混獲され2月を除き漁は行われている

 産卵期は11月から4月にかけてということを考えると、味の面から最も美味しい時期は産卵を控えた晩秋から冬のような気がするが、その頃はあまり見かけることが無く、春になってから沢山出回り始める。

旬のカレンダー
モロトゲアカエビ 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
能登                        
北海道                        

 
 

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