アユ(鮎/あゆ):生態や特徴と産地と旬の時期

アユ/鮎/あゆ

■アユ(鮎/あゆ)の生態

●アユ(鮎/あゆ)とは

分類:原棘鰭上目キュウリウオ目アユ科アユ属

学名:Plecoglossus altivelis (Temminck & Schlegel, 1846)

英語:Ayu / Ayu sweetfish

●アユ(鮎/あゆ)の生態

 アユは北海道南部から朝鮮半島、ベトナム北部など東アジア一帯に分布し、その多くは日本の河川に遡上します。本来、川と海を回遊する魚で、日本では代表的な川魚となっています。

 秋に河の河口近くで孵化したアユの仔魚は河口から遠くない範囲の海にでてプランクトンや小さなエビなど動物性のものを食べて育ち、春になると5~10cm程の稚魚となり河を遡上しはじめ、食性も主に岩に付いている藻を食べるように変わり、それに合わせて歯の形状や体色なども変化していき成魚となります。

●鮎の友釣り

 河川のアユは、主に川底の石についた藻類を食べています。この餌場を確保するため群れず縄張りを作ることでも知られ、自分のテリトリーに入り込んできた他のアユを体当たりして追い出そうとします。この性質を利用して初夏に解禁されるのが「友釣り」と呼ばれる釣りです。

●琵琶湖の鮎

 琵琶湖に生息するアユは普通のアユのように海には下らず、琵琶湖を海の代わりとして利用しています。春になると琵琶湖に流入している河川へ遡上し、川の苔を食べて大きく成長するものと、遡上せず湖内でミジンコなどプランクトンを餌として大きく成長しないまま一生を終えるコアユの2系統が存在しています。これらのアユは、普通のアユとは違い、海水では生きていけない体質になってしまっているようです。

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 現在、琵琶湖産のアユを他の河川に放流しているケースが多いのですが、これらが、もともとのアユと交雑した場合、その稚魚もまた、海では生きられない性質となる事が分かっており、本来のアユがそれにより激減する危惧が唱えられています。

●アユ(鮎/あゆ)は1年で一生を終える

 秋になると産卵期を迎え、体色も婚姻色へと変わり、1匹のメスの産卵に対し、複数のオスが射精することが知られています。通常アユは1年でその一生を終えますが、中には産卵後も越冬して生き残る雌もいますが、2年目に産卵することはないそうです。

 1年しか生きないことから年魚とも書くのではないでしょうか。ただ、1年で死んでしまうというよりは、鮭と同じように生殖活動が1回しか行えないという性質で、成熟に時間がかかり生殖を行わなければ2年以上生きるとされています。

■アユ(鮎/あゆ)の特徴

●鮎は香魚とも書かれる

アユ(鮎/あゆ)

 アユは香魚(こうぎょ)とも書かれるように水質が良い河川で獲れる稚魚や若アユはスイカのようないい香りがします。そうでない場合はキュウリのような香りで、これは食性による影響が大きいのではないかとされています。養殖物に至ってはこの香りがほとんどなかったり、あってもごくわずかしか感じられません。

●若鮎の特徴

鮎の歯

 若鮎は体長が10~15cm程に成長した初夏のアユです。小アユから体色や歯の形状が変化した状態で、体色は灰緑色で、背ビレの後ろ辺りに黄色い楕円形の斑紋が出てきます。また、歯が櫛のような変わった形になります。

●鮎の成魚

 アユは成熟すると30cm近くになるものもいますが、概ね20~25cm程で、背は黒っぽいですが体全体に黄色味が強く、黄色い斑紋もより明瞭になっています。

 秋に生殖期を迎えると鮭と同じようにさらに体つきや顔つきが変化し、顎から尾の付け根にわたって腹にオレンジ色の帯が出ます。これを婚姻色と言います。背から体側にかけては黒くなり、雌より雄の方が黒く、体表がざらついた感じになります。下の写真は雌の子持ち鮎

■アユ(鮎/あゆ)の主な産地

●天然または稚魚放流による鮎の主な産地

 平成27年産の鮎の漁獲量で見ると、最も多いのは茨城県で、次いで神奈川県、岐阜県となっています。

●主な河川別の鮎の漁獲量

 主な河川ごとに見てみると、神奈川県の相模川が最も多く、次いで栃木県から茨城県にかけて流れる那珂川、そして鵜飼漁で知られる岐阜県から三重県にわたる長良川となっています。

●養殖鮎の収穫量

 アユは各地で養殖も盛んにおこなわれています。主な産地としては愛知県や和歌山県、岐阜県などとなっています。

 滋賀県の琵琶湖は幼魚の産地としても有名で、琵琶湖産を放流している河川も全国に沢山見られます。

■アユの美味しい旬

●アユの遊漁解禁

 アユは先に述べたように友釣りの対象魚として知られ、天然物だけでなく、毎年各地の河川に稚魚が放流されています。そしてそれそれの河川で遊漁解禁日が決められ、その期間だけしか釣る事は出来ないようになっています。

 毎年解禁日は初夏で、河川ごとに決められていますが、年々早まってきています。概ね6月1日前後ですが、兵庫県の闘竜灘、和歌山県の日高川など早いところでは5月1日に解禁されるところもあります。

●アユの旬は初夏から夏

 アユは資源保護のため、11月-5月は禁漁となっているところが多いです。旬は、この禁猟明けの6月から8月頃までで、特に7月の若鮎が骨も柔らかく美味しいです。

 好みにもよりますが、産卵前の落ちアユも子持ちで美味しいという方も多いようです。落ちアユは地域によって少しずれがあり、近畿などは9月~10月にかけてですが、東北などでは8月下旬頃から始まり、九州などでは逆に10月になってからになります。

地域 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
アユ                        
子持ち鮎                        

 
 

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