カンパチ/間八/かんぱち:生態や特徴と産地や旬

カンパチ,間八,Seriola dumerili

●カンパチの生態や特徴

◆カンパチとは

分類:魚類 > 条鰭綱 > スズキ目 > スズキ亜目 > アジ科 > Naucratinae > ブリ属(BISMaLより)

学名:Seriola dumerili(Risso, 1810)

和名:かんぱち/間八/勘八

英名:Greater amberjack

別名:アカハナ(関西、高知、九州)、アカバラ(鹿児島)、ヒラソ(鳥取) 若魚の別名:シオ、シオッコ、ショッコ

 カンパチはアジ科ブリ属の一種で、同じブリ属のヒラマサブリと共に「ブリ御三家」と呼ばれるものの一つ。また、同じブリ属で極近縁種にヒレナガカンパチというのもいる。


 カンパチという名前は口元から目を通って背の第一背ビレ辺りまで黄色い(黒っぽく見えることもある)帯状の線が左右対称にあり、カンパチを前方斜め上から見ると八の字に見えるのが由来とされています。

カンパチ,間八,Seriola dumerili

 ほぼ刺身向けと言ってもいい魚で、ブリよりも高級魚として扱われることも多い。

◆ブリと同じく出世魚

 カンパチはブリと同じように成長とともにその呼び名が変わる出世魚でもあり、その呼び名は地方によっても違いがある。

▼ 関東 ▼

10~35㎝ ショッコ

35~60㎝ シオゴ

60~80㎝ アカハナ

80㎝~   カンパチ

▼ 関西 ▼

~60㎝   シオ

60㎝~   カンパチ

▼ 鹿児島 ▼

~70㎝(3㎏) ネイゴ、ネリゴ

70㎝~   カンパチ、アカバラ(天然物)

◆カンパチの生態

 カンパチは世界中の温帯から熱帯の海域に分布する暖海性の魚で、日本近海では北海道の太平洋側辺りまで日本海側は東北辺りまでを北限とし沖縄や小笠原諸島に至る日本中の沿岸に分布している。

カンパチ,間八,Seriola dumerili

 カンパチはカツオなどと同じように回遊魚で、春から夏にかけて北上し、晩秋から冬にはまた南下する。成魚の多くは沿岸に沿って水深20~70m辺りで小魚や甲殻類などを捕食しながら生息する。

 「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は八丈島、小笠原諸島、北海道太平洋沿岸、青森県〜九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋沿岸、屋久島、瀬戸内海、沖縄島、東シナ海大陸棚斜面縁辺〜斜面域となっており、海外においては朝鮮半島南岸・東岸、済州島、山東半島(稀)、台湾、広東省、海南島、西沙群島、千島列島南部の太平洋沿岸、全世界の温帯・熱帯域(東太平洋を除く)に広く分布するとある。

◆カンパチの特徴

 カンパチはアジ科の中でもヒラマサに次いで大きくなる魚で、標準体長1.5m、大きいものでは体長1.9メートル、70kgを超すものも釣りあげられている。

カンパチ/間八/かんぱち

 体形は若いうちはブリよりも少し体高があり側扁しているが成長と共に体高は低くなりスラっとした形になっていく。上の写真は体長60cm未満のシオゴである。

 体色が全体に赤紫を帯びており、背は色が濃く腹は銀白色で、ブリなどと同じように体側には目から尾の付け根にかけて黄色い帯状の縦線が走っている。

カンパチ/間八/かんぱち

 また、名前の由来になっているように口元から目を通って第一背ビレ辺りまで斜めに暗色の帯状の線があるのも特徴。この線は個体によって明瞭なものと不明瞭なものがあり、成長とともに薄れていく。

 近縁種のヒレナガカンパチとは姿が似るが、ヒレナガカンパチの第二背ビレ前部は鎌状になっていること、カンパチの尾ビレ下葉先端は白いのに対し、ヒレナガカンパチは白くないことなどから見分けられる。

カンパチとヒレナガカンパチ

●カンパチの主な産地と旬

◆主な産地

 天然のカンパチは長崎県、鹿児島県、高知県、福岡県などが主な産地である。

全国の養殖カンパチの収穫量

 カンパチは養殖も各地で行われており、市場に占める養殖物の割合は非常に高くなっている。上の表は平成27年産の全国の養殖カンパチの収穫量。最も多いのは鹿児島県で、全国の約半分を占めている。

鹿児島の市場に並ぶカンパチ
鹿児島の市場に並ぶカンパチ(株)タカスイ 久保和博氏提供)

◆カンパチの漁獲時期と旬

 カンパチは通年水揚げされているが、一般にカンパチの旬は夏から秋と言われている。ブリ程季節による味の変動がなく、冬の時期の寒ブリと、夏に旬を迎えるヒラマサの合間を埋めるように使われることも多い。産卵期は春から初夏にかけてとみられるので、その前後は避けた方が良さそうだ。

 また、養殖物に関してはほぼ通年味が安定し、旬は特にないと言える。

旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
養殖カンパチ                        
天然カンパチ(間八)                        
ブリ(鰤)                        
ハマチ、イナダ、ワラサ                        
ヒラマサ(平政)                        

< 出 典 >

 ※「日本産魚類全種の学名」中坊徹次・平嶋義宏著 東海大出版部 p.169

 ※「日本産魚類検索全種の同定第三版」中坊徹次編 東海大出版会 p.880

 ※「食材魚貝大百科」平凡社 p.056

 ※「旬の食材- 夏の食材」 -講談社 p.21

 ※ Seriola dumerili  FishBase


 
 

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