マツダイ(松鯛):生態や特徴と産地や旬

マツダイ,松鯛,Lobotes surinamensis,Tripletail

●マツダイの生態や特徴

◆マツダイとは

分類:魚類 > 条鰭綱 > スズキ目 > スズキ亜目 > マツダイ科 > マツダイ属(BISMaLより)

学名:Lobotes surinamensis (Bloch, 1790)

和名:まつだい/松鯛

英語:Atlantic tripletail、Tripletail 仏語:Croupia roche

別名:クロダイ、ヒエ(三重)、タカノハ、ハッパ(幼魚)

 マツダイはスズキ亜目の中で国内では単独でマツダイ科マツダイ属をなす(世界ではマツダイ属にもう一種”Lobotes pacificus”があり、マツダイ科にはもう1属、ダトニオイデス属がある。)個性的な魚である。漁獲量が少なく、しかもまとまって獲れないことなどから知名度はかなり低く、「食材魚貝大百科」(平凡社)や「旬の食材」(講談社)でも掲載がない。とは言え、少ないながら市場にも出荷されており、知る人ぞ知る美味しい魚の一つで、状態が良い物は価格も高めである。

 学名の属名”Lobotes”は『垂れ下がっているもの(葉、lobos)のある』という意味のギリシャ語に由来するが、これは幼魚が木の葉のように擬態する様から付けられたと考えられる。種小名”surinamensis”は『(南米北東岸にある)スリナム共和国の』という意味。

 英語では”Tripletail”トリプルテイルと呼ばれるが、これは背ビレ後部と臀ビレ後部がやや大きく後方にせり出した形で、尾ビレ(テイル)が3つ(トリプル)あるように見える事に因む。

◆マツダイの生態

 マツダイは幼魚の間は内湾や汽水域に多く、成長と共に外洋に出て、老成すると深場へ移動する。幼魚から若魚の間は枯れ葉や流木などの漂流物の付近で、枯れ葉条状に擬態しながら海の表層を漂い。近付いてくる小魚などを捕食する。成魚は小魚をはじめ底生の甲殻類などを捕食する。

マツダイ,松鯛,Lobotes surinamensis,Tripletail

 「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は知床半島周辺のオホーツク海沿岸、北海道〜九州南岸の太平洋沿岸、青森県〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、瀬戸内海、琉球列島となっている。海外においては、朝鮮半島南岸、台湾、山東省・福建省・広東省、太平洋・インド洋(紅海含む)・大西洋の温帯から熱帯域(東部太平洋除く)、地中海、エーゲ海に広く分布する。

◆マツダイの特徴

 マツダイは標準体長80cmほどで体形は強く側扁し、第二背ビレと臀ビレがともに尾柄に沿うように後方に広がっており、英名”トリプルテイル”の由来となっている。撮影したマツダは全長50cmほど2.3kgでややスリムな体形だが、本来はもう少し体高が高くなるものが多い。

マツダイ,松鯛,Lobotes surinamensis,Tripletail

 体に対して顔は小さくまとまっており、前鰓蓋骨縁辺に細かく強いのこぎり歯があり、主鰓蓋後方に棘が2本出ている。鋤骨と口蓋骨に歯がないのも特徴。

マツダイ,松鯛,Lobotes surinamensis,Tripletail

 ウロコはやや大きくて硬い櫛鱗で、体色は単調で、個体によって黄褐色からこげ茶色、暗黒色までさまざまな色合いがみられ、若魚までは体側に不明瞭な斑点やまだらがあり、成魚では全体に黒く見えるくらいの暗緑色から黄褐色となる。

●マツダイ(松鯛)の主な産地と旬

◆主な産地と漁獲量

 マツダイは幼魚は日本各地の沿岸でみられるが、ある程度大きなものは南日本に多い。いずれにしてもまとまって漁獲されることはほとんどなく、使いたい時、食べたい時にいつでも手に入る魚ではない。

◆マツダイの漁獲時期と旬

 マツダイは夏から秋にかけて比較的多く獲れ、市場にも時折並んでいますが、身質的に美味しい旬は不明。

旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
マツダイ                        

< 出 典 >

 ※「日本産魚類全種の学名」中坊徹次・平嶋義宏著 東海大出版部 p.176 

 ※「日本産魚類検索全種の同定第三版」中坊徹次編 東海大出版会 p.934

 ※「食材魚貝大百科」平凡社 および、「旬の食材- 夏の食材」 -講談社 ともに掲載なし

 ※ Lobotes surinamensis (Bloch, 1790) FishBase


 
 

UP