ギマ - Triacanthus biaculeatus -:生態や特徴と産地や旬

ギマ - Triacanthus biaculeatus -

●ギマの生態や特徴

◆ギマとは

分類:魚類 > 条鰭綱 > フグ目 > ギマ科 > ギマ属(日本海洋データセンターより)

学名:Triacanthus biaculeatus (Bloch, 1786)

和名:ぎま/擬麻/義万

英名:Short-nosed tripodfish

別名:ツノハゲ、ツノギマ

 ギマはフグ目ギマ科ギマ属に分類されるカワハギに似た魚だが硬い棘状の腹ビレは開くとそこで固定され、関節を外すようにしなければ元のようにたためない仕組みになっているので、魚体を立てた状態で自立した姿がインスタ映えするとしてしばしばSNSに登場する。

ギマ - Triacanthus biaculeatus -

 ギマという名前の由来にはいくつかの説があり、綿糸・綿布などを加工し、麻に似た風合いをもたせたものを「擬麻」というが、この魚のザラっとした肌がこの生地のようだからという説、銀色の体で、馬のような顔つきであることから「銀馬(ぎんま)」と呼ばれるようになり、それが訛ってギマとなったという説などがある。

 もともと三河地方ではカワハギ類のことを総称してギマと呼び、本種を「ツノギマ」、ウマヅラハギのことを「ウマギマ」、カワハギが「ホンギマ」などと呼ばれているようだ。

 ギマは意外に?美味しい魚なのだが値は安く、漁獲されると大量に出す粘液でヌルヌルし、腹ビレと背ビレの棘が釘のように硬く、それが張り出すため網から外すのも厄介な上、うっかり踏んでしまうと軟な長靴の底を貫通する危険があり、漁師からは嫌われている。

◆ギマの生態

 

ギマ - Triacanthus biaculeatus -

 ギマは東京湾でも釣りの外道として目にする。浜名湖あたりから三河湾周辺で多く獲れ食用とされている。

 「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は北海道南部〜九州南岸の太平洋沿岸(鹿島以北では少ない)、新潟県佐渡・富山湾・島根県隠岐・石見、山口県日本海沿岸(日本海沿岸では少ない)、九州北岸、西岸、大阪湾・兵庫県高砂(瀬戸内海では少ない)、屋久島、沖縄(稀)とされ、海外においては朝鮮半島南・東岸南部、台湾、中国渤海・黄海・東シナ海・南シナ海沿岸、インド〜西太平洋(ペルシャ湾~フィリピン諸島・ニューギニア島南岸・オーストラリア北東岸)とその分布は広範囲に及ぶ。

 浅い海の砂泥底でゴカイなどの底生動物を食べて生息する。

 産卵期は6~7月頃で、今回6月20日に入手した物も全て腹に発達途中の卵巣が詰まっていた。 

◆ギマの特徴

 ギマは標準体長25cmほどで、尾柄から後ろ以外は側扁しカワハギに似ているが、尾柄部は細長く、やや縦扁している。また、尾ビレは強く湾入し2叉する。

ギマ - Triacanthus biaculeatus -

 背ビレの第1棘条と左右の腹ビレの1棘は長く、とても固い。また、腹ビレの棘は普段は体側に沿って収納されるようになっているが、開くと簡単には戻らない仕組みになっている。

ギマ - Triacanthus biaculeatus -

 体表は表皮と一体となった細かいウロコで覆われ、触った感じは鮫肌のようにざらついている。背ビレと腹ビレの長い棘の表面も同じようにざらついた表皮が覆っている。

ギマ - Triacanthus biaculeatus -

 体色は背ビレ棘状の基部が黒く、眼の上部辺りから尾柄上半分あたりにかけての背側が灰銀色で、その下から銀色、そして腹が白色のグラデーションとなっている。

 胸ビレ、尾ビレ、第二背ビレ、臀ビレは黄色い。

●ギマの主な産地と旬

◆主な産地と漁獲量

 漁獲が多いのは浜名湖辺りから三河湾沿岸で、当地では食用とされている。値段はカワハギに比べずっと安い。

◆ギマの漁獲時期と旬

 ギマの産卵期は6~7月頃なので身が充実して美味しいのは秋から春にかけてと思われるが、漁獲が多いのは産卵期の前後辺り初夏から秋にかけてである。

旬のカレンダー
旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
ギマ                        

 
 

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