イソマグロ:生態や特徴と産地や旬
●イソマグロの生態や特徴
◆イソマグロとは
分類:魚類 > 条鰭綱 > スズキ目 > サバ亜目 > サバ科 > Scombrinae(サバ亜科) > Sardini(ハガツオ族) > イソマグロ属(BISMaLより)
学名:Gymnosarda unicolor (Rüppell, 1836)
和名:いそまぐろ/磯鮪
英語:Dogtooth tuna 仏語:Bonite à gros yeux
別名:トカキン(沖縄)、タカキン(奄美地方)、イソゴッポウ(伊豆網代)、イノーシビ
イソマグロは「マグロ」と付くがマグロ属ではなく、ハガツオ族イソマグロ属に分類される魚で、ハガツオに近く、マグロとは少し遠い親戚のようなものである。
熱帯から亜熱帯の海域に多い魚で、沖縄をはじめ南日本では知られているが本州では稀にしか市場にも並ばないため一般には知られておらず、価格も安い。ただ、ある程度大きくなったものは食味は悪くはなく、鮮度が良い物は刺身も美味しい。食材としてよりも、沖縄や小笠原などでは釣りの対象魚としての方が認知度が高いかもしれない。
和名は姿がマグロに似ていて、マグロの類が広い海を回遊するのに対し、本種は比較的浅い岩礁域のまわりを群れで泳ぎ回っていることに因む。
英語圏では”Dogtooth tuna”(犬歯まぐろ)と呼ばれるが、これはイソマグロの鋭い歯並びに因んでいると思われる。フランス語では”Bonite à gros yeux”と呼ばれるが、直訳すると「大目カツオ」となる。
学名の”Gymnosarda”はイソマグロ属を表し、ギリシャ語で『裸の』を意味する”gymnos”とハガツオ属を表す”Sarda”からなり、種小名”unicolor”はラテン語で『単一色の』という意味をもつ。
◆イソマグロの生態
イソマグロは中・西部太平洋およびインド洋の熱帯から亜熱帯海域に分布する暖海性の魚で、その名の通り沿岸の岩礁域やサンゴ礁域を単独や数十尾の群れで回遊し、小魚やイカなどの頭足類などを捕食する。
「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は佐渡島(稀)、長崎県野母崎、相模湾~屋久島の太平洋沿岸、琉球列島、小笠原諸島とされ、海外では インドー西太平洋の熱帯・亜熱帯域に広く分布する。
◆イソマグロの特徴
イソマグロは標準体長2mになる大型の魚だが漁獲されるものは1.5m位までで、1m前後のものが多い。撮影したものは全長64cmほどの若い個体。
体形はマグロ類に似た紡錘形で、下顎がやや厚く顔つきはハガツオにも似るが体側上部に縞模様などはない。上下のアゴには鋭い歯が並んでいる。
イソマグロの大きな特徴は第1背ビレと第2背ビレは近接し、第1背ビレの前端は特に高くはならないこと、体側の側線が後方で著しく波打っていることである。
背ビレは13~15棘、12~14軟条及び6~7小離鰭からなり、臀ビレは12~13軟条+6小離鰭。ウロコはエラ蓋の後方にわずかにあるだけで体側にはない。
●イソマグロの主な産地と旬
◆主な産地と漁獲量
イソマグロは熱帯から亜熱帯海域に分布する魚で、国内で漁獲されるのは主に沖縄県や鹿児島県南部の島嶼の周辺、それに小笠原や伊豆諸島、高知県沖。
漁獲量は少なく、沖縄では比較的知られているようだが、本州の市場には稀にわずかな数が入荷される程度。それも若く小型のものが多い。
◆イソマグロの漁獲時期と旬
イソマグロは暖海性の魚で、産地では年間通して漁獲されている。脂の乗り具合など季節変動がどれくらいあるのかは比べるほど蝕していないため分からないが、季節よりも個体差の方が大きいように思う。
撮影したものは8月初旬に高知県沖で漁獲されたものだが、魚体が小さい割にそこそこ脂が感じられ美味しく感じた。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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イソマグロ |
< 出 典 >
※「日本産魚類全種の学名」中坊徹次・平嶋義宏著 東海大出版部 P.261
※「日本産魚類検索全種の同定第三版」中坊徹次編 東海大出版会 P.1650
※「食材魚貝大百科 ④」平凡社 P.109
※「伊豆の魚の方言」静岡県 水産・海洋技術研究所・伊豆分場
※Gymnosarda unicolor FishBase