トコブシ/ナガレコ<貝:生態や特徴と産地や旬

トコブシ/ナガレコ/とこぶし/流れ子

●生態や特徴

◆トコブシとは

分類:動物界 - 軟体動物門 - 腹足綱 - 直腹足亜綱 - 古腹足上目 - ミミガイ上科 - ミミガイ科 - Haliotis属 - フクトコブシ(日本海洋データセンターより)

学名:Haliotis diversicolor aquatilis Reeve, 1846

和名:とこぶし(床臥・常節)

英名:Small abalone

別名:ナガレコ(高知など)、ナガラメ(鹿児島など)、フクダメ/福溜

 トコブシはアワビと同じミミガイ科の仲間で、フクトコブシの日本固有亜種とされています。平たい貝ですが、二枚貝が変化したものではなく、巻貝から変化したものです。

◆名前の由来

 トコブシという名前は(常)に海の底にある岩(床)に張り付き(臥)しているように見えるから「床臥」または「床伏」「常節」となったようです。

 また、高知県などでは「ながれこ」とも呼ばれますが、これは干潮時に岩などを動かすと流れていくように逃げる様から付けられたそうです。

◆トコブシの生態

トコブシ/ナガレコ/とこぶし

 トコブシは北海道南部から九州にかけての日本海沿岸及び太平洋沿岸に分布し、水深10mから潮間帯にかけての岩礁域で褐藻などの海藻を食べて生息しています。

 産卵期は海域によって差があるようですが、長崎県辺りでは9月頃から10月にかけてです。

◆トコブシの特徴

トコブシ/ナガレコ/とこぶし

 トコブシは小さなアワビにそっくりな形ですが、アワビのように大きくはならず殻長7cm程の大きさの貝です。

 貝殻はもともと巻貝だった名残で渦巻きの頂部があり、呼吸孔と呼ばれる穴がいくつもあります。この穴は成長とともに新しく増え、それと共に古いものから閉じていき、常に開いている穴が5〜7個となっています。

 アワビにも同じように穴がありますが、アワビのそれは穴の部分が筒状に隆起しているのに対し、トコブシの穴は隆起せず、単に穴として開いています。

トコブシの貝殻

 殻の色は生息域の餌などによって影響を受け、黒っぽい褐色から緑色を帯びたもの、またそれらが混じっているものなど様々です。殻の内側は綺麗な真珠層に覆われ艶やかな光沢があります。

 殻の上には写真のようによくキクスズメという小さな貝が付いていることが多いです。

●トコブシの主な産地と旬

◆主な産地と生産量

 トコブシは全国各地の岩礁域で獲れますが、市場に出荷されるほどまとまった量が獲れるところは少なく、主な産地は高知県や徳島県などの四国が多いほか、三重県なども産地として知られています。

◆トコブシの漁獲時期と旬

 トコブシは通年市場に出荷されているようですが、旬は春から夏にかけてと言われています。ただ、フクダメ(福溜)という別名から、縁起物としておせち料理に使われることから、その冬の時期も旬に当たるという考え方もあります。

旬のカレンダー
旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
トコブシの旬                        
トコブシ(おせち向け)                        

 
 

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