カツオ/鰹/かつおの寄生虫と食中毒のお話
●カツオ/鰹/かつおの寄生虫 テンタクラリア
◆人体には無害
カツオにはごく当たり前のように付いている寄生虫がいます。それがこのテンタクラリアです。ただ、見た目の気持ち悪さは強烈ですが、人の体内では無害で、食べてしまっても問題はないとされています。
◆近海物の証
テンタクラリアは冷凍されると死滅し透明になって肉眼では判別しにくくなります。一方、近海で獲られたカツオは冷凍されず生鮮の状態で水揚げされ、そのまま店頭に並びます。この生鮮物にはテンタクラリアも生きたままの状態で付いているので、さばくときに目につきやすいのです。
◆筋肉内に潜む
テンタクラリアは、内臓というよりもむしろ筋肉内に寄生しています。特にハラスの部分に多く、気持ちが悪いなら、ハラス部分を切り落として使うか、背身を使いましょう。
◆実際に潜む様子
写真のハラスに数匹のテンタクラリアが潜んでいるのが分かりますか?
一番目につくものを取り出してみます。
テンタクラリアはこんな虫です。
大きさはコメ粒ほどです。
この〇で囲ったところにも潜んでいるのが分かります。
こいつです。
今回入手した一本のカツオにこれだけのテンタクラリアが付いていました。
拡大するとこんな感じ。気持ち悪いですね。ウジのようです。
●カツオ/鰹/かつおの寄生虫 アニサキス
◆サバやサケに多いい寄生虫
アニサキスは主に生さばに多く見られる寄生虫ですが、カツオにもごくまれに付いていることがあり、これが原因での食中毒も発生しています。
◆強烈な腹痛を引き起こす
アニサキスは生きたまま食べた時にその多くはそのまま排泄されますが、時に胃壁などに食いついて穴をあけてしまう事があり、そうなると七転八倒の苦しみを味わう事になります。食後数時間後から十数時間後に発症した場合は急性胃アニサキス症とされ、内視鏡による除去。食後十数時間後から数日後に、激しい下腹部痛、腹膜炎症状がでた場合は急性腸アニサキス症の可能性が高く、そうなると内視鏡が使えず、開腹手術による除去となるようです。
◆冷凍や加熱調理で死滅する
アニサキスによる中毒を予防するにはいくつかの方法があります。
加熱調理・・・60℃で1分、70℃以上で瞬時に死滅する。
冷凍処理・・・-20℃で24時間以上で無害化
新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除く。
●カツオ/鰹/かつおの寄生虫 カツオ糸状虫
◆人体には無害
カツオ糸状虫は別名フィロメトロイデスという線虫で、長いものだと50cmほどにもなります。ただ、テンタクラリアとは違い、極まれに寄生しているものがある程度で、ほとんど見かけず、万が一食べたとしても人体には無害です。