ヒゲソリダイ/髭剃鯛:生態や特徴と産地や旬
●ヒゲソリダイの生態や特徴
◆ヒゲソリダイとは
分類:魚類 > 条鰭綱 > スズキ目 > スズキ亜目 > イサキ科 > ヒゲダイ属(日本海洋データセンターより)
学名:Hapalogenys nigripinnis(Temminck & Schlegel, 1843)
和名:ひげそりだい/髭剃鯛
英名:Short barbeled velvetchin、short barbeled grunter
別名:カヤカリ、カヤカレ、トモモリ(コショウダイなどと共に)
ヒゲソリダイはヒゲダイやシマセトダイと同じイサキ科ヒゲダイ属の魚で、アゴ髭が生えているヒゲダイに対し、その髭状の部分が短く剃った後のように見えることから髭剃鯛と呼ばれるようになった。
まとまった漁獲量がないせいか、とても美味しい魚の割りに安値で主に地元消費されている魚。食味の良さを考えると非常にコストパフォーマンスに優れている。
◆ヒゲソリダイの生態
ヒゲソリダイは青森県の下北半島あたりを北限とする日本海及び九州南部に至る太平洋沿岸や瀬戸内海、更に南の東シナ海の温帯域沿岸や大陸棚に分布し、比較的暖かい海を好み水深90m以浅の砂泥底で小魚や甲殻類、多毛類などを捕食し生息している。
産卵期は6~8月の夏とみられている。
「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると水深25~81mの砂泥底に生息し、日本近海での分布は青森県〜熊本県天草の日本海・東シナ海沿岸、有明海、青森県種差、岩手県角の浜、神奈川県藤沢〜九州南岸の太平洋沿岸、瀬戸内海、東シナ海大陸棚域となっている。また、海外においては朝鮮半島西岸・南岸、台湾、遼寧省~広東省の中国沿岸に分布する。
◆ヒゲソリダイの特徴
ヒゲソリダイは大きいものでも50cm程の魚で、体形は体高が高く強く側扁している。個体差が若干みられるようで、口元から背の最も高い部分までが直線的に急角度の物から、マダイに近い少し丸みがある物まで見られる。いずれにしても口は中心より下に付いていて、アゴには髭を剃ったような短いぶつぶつがある。
体色は若い間は銀灰色の地に体側に2本の黒っぽい帯が背から尾に向けて緩やかなカーブを描いているが、大きく成長するにつれ帯が不明瞭になる個体も多い。上の写真は全長50cmを超える老成魚で、体側の帯がぼやけてほとんど分からない。
近縁種のヒゲダイに似るが、ヒゲソリダイは主上顎骨にウロコがあり、下顎のヒゲが痕跡的であるのに対し、ヒゲダイは主上顎骨にウロコガなくヒゲは顕著で密生しているので見分けられる。
●主な産地と旬
◆主な産地
ヒゲソリダイは暖かい海に多いので、主な産地は高知県や愛媛県などの四国や長崎県など西日本で多く水揚げされており、関東でに認知度は低い。
漁獲量は少なく、大半が産地で消費されている。
◆ヒゲソリダイの漁獲時期と旬
ヒゲソリダイは通年漁獲があり、味的にも時期による差はあまりないようだが、産卵期は夏とみられ、また、水温が下がると食性が鈍るようなので、美味しい旬の時期は晩秋ではないだろうか。
4月上旬に仕入れた老成魚の卵巣はまだ未発達だった。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ヒゲソリダイ |