カラスガレイ(烏鰈):生態や特徴と産地や旬
●カラスガレイの生態や特徴
◆カラスガレイとは
分類:魚類 > 条鰭綱 > カレイ目 > カレイ科 > カレイ亜科 > カラスガレイ属(日本海洋データセンターより)
学名:Reinhardtius hippoglossoides (Walbaum, 1792)
和名:からすがれい/烏鰈
英名:Greenland halibut 仏名:Flétan noir
別名:ギンガレイ(銀鰈)、エゾカラスガレイ、フユガレイ
カラスガレイはカレイ科の中でも大型になる種で、北洋で行われる底引き網漁や延縄漁で多く獲れ、総菜魚として冷凍のドレスなどの状態で輸入もされており、一般のスーパーなどでもよく見かける。店頭での表記ではカラスガレイ以外にもギンガレイと書かれていることも多い。回転寿司で人気がある「エンガワ」は本種のものが多く使われており、回転寿司向けにエンガワだけを冷凍したものも輸入されているそうだ。
脂が多く総菜魚として安くて美味しい魚の一つである。また、近年は延縄などの釣り物を活〆にし、鮮度を保った状態で出荷されるものもあり、こういったものは刺身でもおいしく食べられる。
カラスガレイという和名は、表面が全体に黒く、さらに裏面も黒っぽいことに由来する。
◆カラスガレイの生態
カラスガレイは北方の冷たい海域に棲む魚で、太平洋だけでなく大西洋にも分布する。
「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は北海道全沿岸、東北地方太平洋沿岸、相模湾、そして三重県志摩とされ、世界的には日本海北部、オホーツク海、チュクチ海〜カリフォルニア北部(アラスカ湾以南は少ない)、更に北大西洋に及ぶとされている。
生息する水深は50メートル~2000mと幅があり、通常は他のカレイ類と同じように海底かその近くで有眼側を上にして泳いでいるが、捕食時は時として普通の魚のように体を立てて中層辺りまで活発に泳ぎ回り、タラやゲンゲなどの類などの魚をはじめ、イカや、エビなどの甲殻類も捕食していると考えられている。
本種は成長につれて深い海底へ移動するとみられ、5年で全長30cm、10年で60cm、15年で90cmほどに成長し、寿命は20年以上と考えられている。(※平凡社 食材魚貝大百科より)
産卵期は北部北太平洋での産卵期は9~12月とみられるが、北部北大西洋では4~6月と違いがみられる。
◆カラスガレイの特徴
写真のものは体長60㎝ほどだが、カラスガレイは大きなものだと標準体長1mにもなる大型種で、アブラガレイと共にオヒョウに次いで大きい。
体形は体高があまり高くはなくスラっとしているが、有眼側、無眼側ともに身に厚みがある。
オヒョウやアブラガレイなどと同じように尾ビレの形状は截形に近い湾入型で、鰓孔の上端は胸ビレの上端よりも上にまで及び、口は大きく、両あごの歯は発達し鋭い。
体表は細かいウロコで覆われており、体色は表が黒褐色から黒色で、無眼側も薄墨色が付いている。
近縁種のアブラガレイとよく似るが、見分けるポイントは眼のついている位置。カラスガレイの上眼は下眼とやや離れた頭部側縁にあり、身体を立てて泳ぐ際に丁度真上に位置するところについている。一方、アブラガレイの上眼は下眼に近く、頭部側縁よりも右側に寄っていることで見分けられる。
●カラスガレイの主な産地と旬
◆主な産地と漁獲量
カラスガレイは北洋で獲れる魚で、主に底引き網や延縄で漁獲されている。国内では北海道を中心に青森県などで漁獲されている。
また、ロシアをはじめ北欧の国々やカナダ、アメリカなど太平洋及び大西洋の北洋海域に面した各国で漁獲され、ドレスに加工された冷凍品が輸入されている。
◆カラスガレイの漁獲時期と旬
カラスガレイは冷凍輸入されたものが多く、旬をあまり意識しなくてもいいのかもしれない。
しかし、国内で漁獲され、鮮魚として出荷されたものはやはり旬があるのではないだろうか。北部北太平洋での産卵期は9~12月とされるので、この時期は子持ちである可能性が高い。その分、養分は卵巣に撮られてしまうので身は痩せているだろう。身が美味しい時期は春から夏にかけてと考えられそうだ。もちろん、子持ちのカレイとしては9~10月にかけての秋が旬と言えそうだ。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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カラスガレイ(身質) | ||||||||||||
カラスガレイ(子持ち) |