ヒラ - Ilisha elongata -:生態や特徴と産地や旬
●ヒラの生態や特徴
◆ヒラとは
分類:魚類 > 条鰭綱 > ニシン目 > Pristigasteridae > ヒラ属(BISMaLより)
学名:Ilisha elongata (Bennett, 1830)
和名:ひら
英語:Elongate ilisha 仏語:Alose gracile
中国語:曹白鱼/勒鱼
別名:有明ターポン、バタ、オカヤマ
ヒラはニシン目-Pristigasteridae(もしくはニシン科)-ヒラ属に分類される魚で、”Pristigasteridae”に分類される魚が国内ではヒラしかいないようなので、”Pristigasteridae”に対する国内での分類名はヒラ科とする考えが主流となっている。ただ、以前はヒラ属をニシン科(Clupeidae)の一属として扱われており、現在もそう表記されている文献も多くみられる。
外見がニシンやコノシロに似ているが、それらより大きくなり、小骨が非常に多いことなどから食用にする地域は岡山周辺と限られているので、それ以外の地域では安い。
有明海で多く獲れ、「有明ターポン」と呼ばれ釣りの対象にもなっている。
小さいものは骨も柔らかく、骨切りすれば美味しく食べられるが、大きなものは体側に走る小骨も太く、素人が骨切りしたくらいでは舌に触り食べにくいので、成れた魚屋で処理してもらった方が良いだろう。身自体は脂も感じられ旨味があって美味しい。
学名の属を表す”Ilisha”は、バングラディッシュをはじめミャンマーなどで重要な食材となっているニシン科の「ヒルシャ」(Ilish/Hilsa/Ilisa)という魚に因み、種小名”elongata”は『伸長した』という意味のラテン語に因む。
◆ヒラの生態
ヒラは東シナ海から南シナ海の中国沿岸や台湾、国内では有明海をはじめ南日本に多くみられる。主に内湾に生息し産卵期の4月から7月にかけては河川の汽水域にも侵入する。
食性はプランクトンを大きく口を広げて食べる。
「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると、ヒラは沿岸域で群れをなし汽水域にも入る。日本近海での分布は北海道太平洋沿岸、三浦半島、紀伊水道、瀬戸内海、土佐湾、豊後水道、新潟県糸魚川、富山湾、九州北西岸・南岸とされ、海外においてはピーター大帝湾、朝鮮半島全沿岸、済州島、渤海、黄海、中国東シナ海・南シナ海沿岸、台湾、ジャワ海、オーストラリア北東岸、インド南東岸(希)に分布する。
◆ヒラの特徴
ヒラは標準体長40cmほどの魚で大きいものになると全長55cmを超える。6月中旬に仕入れた写真のものも全長55cmほどあった。
体形は強く側扁し口は下顎が突き出て上向きに付いており、腹部が張り出し、臀ビレの基部が長いのが特徴。ウロコは薄くて大きく、はがれやすい。
上から見ると体高に対して強く側扁し薄いのがよく分かる。
また、腹部は丸くなく、コノシロと同じように硬く尖った形になっている。
背ビレは棘条がなく16~19軟条からなり、臀ビレは42~51軟条と基部の幅が長い。
●ヒラの主な産地と旬
◆主な産地と漁獲量
国内では有明海で特に多く獲れる。また瀬戸内海でも撮れ、岡山県ではプライドフィッシュとなっている。
◆ヒラの漁獲時期と旬
瀬戸内海でとれるのは3月頃から初夏にかけて。産卵に向けて体に脂肪を蓄えるこの時期が旬。初夏から夏にかけて産卵し、産卵後は脂が落ちてしまう。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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ヒラ |
< 出 典 >
※「日本産魚類全種の学名」中坊徹次・平嶋義宏著 東海大出版部 p.76
※「日本産魚類検索全種の同定第三版」中坊徹次編 東海大出版会 p.298
※「食材魚貝大百科 ①」平凡社 p.92
※ Ilisha elongata FishBase
※ 「ニシン目の Pristigasteridae に適用すべき標準和名」畑 晴陵・本村 浩之 Ichthy 4 2021/18
※ 「岡山県 春 ヒラ」 全国のプライドフィッシュ 全国漁業協同組合連合会