バショウカジキ:生態や特徴と産地や旬
●バショウカジキの生態や特徴
◆バショウカジキとは
分類:魚類 > 条鰭綱 > スズキ目 > カジキ亜目 > マカジキ科 > バショウカジキ属(日本海洋データセンターより)
学名:Istiophorus platypterus (Shaw, 1792)
和名:ばしょうかじき/芭蕉梶木
英名:Indo-Pacific sailfish
別名:バレン(山口・福岡・長崎・富山)、ビョウブサシ(富山・石川)、アキタロウ、ゲンバ(鹿児島)、ハイオ(壹岐)、ミノカジキ(神奈川)、スギヤマ(三重・和歌山)、バショウ、バンバ(高知)、ハウオ(長崎)他
バショウカジキはマカジキ科の一種で大きな背ビレが印象的な大型魚で「バショウカジキ」の名称は、この大きな背ビレが芭蕉(ばしょう)=バナナの葉を思わせることに因む。英名は”sailfish”で、やはりこの大きな背ビレを帆船の帆に見立ててつけられている。
学名もやはりこの背ビレに因んで付けられており、属称”Istiophorus”はギリシャ語で『帆』を意味する”histion”と『保持する』という意味の”pherõ”からなり、種小名”platypterus”は『幅広い翼の』をいみするギリシャ語に因む。
◆食材としてのバショウカジキ
バショウカイジキは大きな魚なので、鮮魚店などでも姿のまま並べて売られることはほとんどなく、一般の方は馴染みがないように思うかもしれないが、ほぼ日本の外洋沿岸各地で獲れる比較的身近な魚で、切り身を単に「カジキ」等の名称で売っていることが多いので意識せず食べたことがあるかもしれない。
メカジキやマカジキに比べ脂が少なく食味が劣るとされ市場では大型のものでも比較的安く、体長1mほどの小さなものは安い総菜魚として扱われている。しかし、決して不味い魚ではなく総菜魚としてはコストパフォーマンスに優れた魚だと思う。
日本海沿岸では秋に多く漁獲され、季節感のある魚の一つとなっている。
◆バショウカジキの生態
バショウカジキは主にインド-太平洋の熱帯から亜熱帯に多く、日本の近海では暖流に乗って回遊しカツオなどと同じように春から夏に北上し秋に南下する。
外洋の表層を数尾の群れで遊泳し、小魚類やイカなど小動物を捕食する。大きな背ビレや細長い腹ビレは体内に収納が可能で、獲物めがけて突進する際は畳んでダーツのような姿で水の抵抗を減らし、獲物の群れを追い立てる際には数尾の群れで背ビレを広げ威嚇して囲い込む。
「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は北海道~九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、北海道~九州南岸の太平洋沿岸、屋久島、琉球列島、東シナ海となっています。また海外においては朝鮮半島南岸、済州島、台湾、中国長江口、海南島、インド-太平洋となっている。
◆バショウカジキの特徴
バショウカジキは全長3.5mほどで100kgにもなる大型の魚だが、漁獲されるものは全長2mほどで20~30kgの物が多く、沿岸の定置網にかかるものは1mあまりのものも多い。撮影したものは120cmほどのもの。
体形は細長く、側扁し黒く大きな第一背ビレが本種を印象付ける大きな特徴となっている。カジキ類らしく、吻の先は前上顎骨が針のように前方に伸びている。
腹びれは1棘2軟条だがとても細長く、腹に収納できるようになっている。
●バショウカジキの主な産地と旬
◆主な産地と漁獲量
バショウカジキは主に延縄で漁獲されるが、マカジキ科の中では最も沿岸性が強く日本海沿岸では9~10月にかけて定置網でも良く漁獲されている。
暖海性の魚で、主な産地は鹿児島県など南日本に多い。
◆バショウカジキの漁獲時期と旬
バショウカジキは主な産地の一つ鹿児島県では9月から11月に多く漁獲されることから「秋太郎」の名で親しまれている。また日本海沿岸では福岡から山陰、若狭湾にかけてでは9~10月にかけて数は多くはないが定置網でも漁獲される。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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バショウカジキ |
< 出 典 >
※ 「日本産魚類全種の学名」中坊徹次・平嶋義宏著 東海大出版部
※ 「日本産魚類検索全種の同定第三版」中坊徹次編 東海大出版会
※ 「食材魚貝大百科」平凡社
※ 「旬の食材- 秋の食材」 -講談社
※ Istiophorus platypterus (Shaw, 1792) FishBase
※ 「鹿児島県 秋 秋太郎」 全国のプライドフィッシュ 全国漁業協同組合連合会