スギ - Rachycentron canadum -:生態や特徴と産地や旬

スギ,Cobia,Rachycentron canadum

●スギの生態や特徴

◆スギとは

分類:魚類 > 条鰭綱 > スズキ目 > スズキ亜目 > スギ科 > スギ属(日本海洋データセンターより)

学名:Rachycentron canadum (Linnaeus, 1766)

和名:すぎ/須義 ※「食材魚貝大百科(平凡社)」

英名:Cobia

別名:黒かんぱち、スキサキ、コバンザメノコバンノトレタウオ

 「スギ」はこの一種のみで1科1属を構成する独特な魚で、世界中の温かい海域にみられる。外見はコバンザメとそっくりだが頭に吸盤が無い。

 国内では九州なや沖縄など暖かい地方で獲れるが、群れを作らないためまとまった数が獲れず一般の消費者にはあまり知られていない魚の一つだ。

 身は程よく脂がのっていてそこそこ美味しく、また、暖かい海域では成長が非常に速いこともあり世界中で注目され、東南アジアをはじめ世界の各地で盛んに養殖が行われている。

 国内でも沖縄で養殖され、かつては「クロカンパチ」という名称で出荷されていたこともあった。しかし、この「クロカンパチ」という名称が後に決められた水産庁の「魚介類の名称のガイドラインについて」によって高級魚である「カンパチ」と誤認させる可能性があるいうことで使用が禁止され、現在は「沖縄スギ」あるいは「琉球スギ」として出荷されている。

 天然ものが時折市場にも並ぶが価格はやや安く、使い方によってはコストパフォーマンスが良い魚である。

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◆スギの生態

 「スギ」は東部太平洋を除く世界中の暖かい海域に分布し、主に沿岸〜沖合の表層域を遊泳しながら小魚やイカなどの頭足類を捕食している。

 成長がとても速いことでも知られている。オスは1~2年で性成熟し、メスは2~3年で成熟することが確認されている。※FAOより

スギ,Cobia,Rachycentron canadum

 「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は オホーツク海沿岸を除く北海道〜九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋沿岸、瀬戸内海(稀)、屋久島、伊江島、石垣島、八丈島、小笠原諸島、東シナ海大陸棚域とされ、海外においては朝鮮半島南岸、台湾、遼寧省・山東省〜トンキン湾の中国沿岸、海南島、南沙群島、ピーター大帝湾(稀)、インドー西太平洋、大西洋、地中海(イスラエル)となっている。

◆スギの特徴

 「スギ」は標準体長1.5mほどの魚で、大きいものになると2m、60kgを超える。撮影したスギは鹿児島の市場に入荷されたものを㈱タカスイさんから仕入れたもので、全長74cm、2.7kgの若魚だった。

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 体形は頭部がやや縦扁するが胴の部分は側扁した紡錘形で全体に長く、コバンザメによく似ているが、頭部に吸盤はなく、三角に近い胸ビレを広げ、二叉する尾ビレで泳ぐ姿は鮫にもにている。

 吻は下顎が上顎よりも前に突き出している。体色は暗緑色から黒褐色で体側に白い縦帯が2本あり、これは若い個体ほど明瞭で老成するにつれてぼやけてくるが、繁殖期にはまた明瞭に表れる。

 第一背ビレは7~9本の太く短い棘条からなり、ヒレ膜で連続せずそれぞれ独立している。尾ビレ後端は成魚では二叉から湾入型だが、幼魚のうちは円形をしている。

●スギの主な産地と旬

スギ,Cobia,Rachycentron canadum
 鹿児島の市場に並ぶ13.4キロのスギ( 株)タカスイ 久保和博氏提供)

◆主な産地と漁獲量

 天然のスギは主に定置網や刺し網、釣りなどで漁獲される。沖縄県や鹿児島県で漁獲されているが、群れで行動しない魚であるため一度にまとまった数が水揚げされることはほとんどなく、産地で消費されることが多い。

 国内においての養殖は沖縄県で行われ、最盛期の2002年には500トンを超えていたようだが、2003年以降病気の蔓延などで減少し数十トンほどになっているそうだ。※

◆スギの漁獲時期と旬

 スギは通年漁獲はあるようだが、産卵期は4~9月と考えられており、夏にピークを迎える。それを考えると身が充実し美味しい時期は秋以降よく春ごろまでと思われる。

 ただ、もともと脂を多く含む魚で、季節変動はあまりないのかもしれない。むしろ、サイズや個体による差が大きいのではないだろうか。

旬のカレンダー
旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
スギ            

< 出典 >

※ 養殖スギ、再興へ 県内大手、出荷を再開 久米水産(琉球新報2013年12月14日)

※ 沖縄クロカンパチの販路開拓について (国立研究開発法人 水産研究・教育機構 旧中央水産研究所研究情報)

※ 「日本産魚類検索全種の同定第三版」

※ 「食材魚貝大百科(平凡社)」


 
 

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