シマイサキ:生態や特徴と産地や旬
●シマイサキの生態や特徴
◆シマイサキとは
分類:魚類 > 条鰭綱 > スズキ目 > スズキ亜目 > シマイサキ科 > Rhynchopelates(シマイサキ属)(日本海洋データセンターより)
学名:Rhynchopelates oxyrhynchus (Temminck & Schlegel, 1842)
和名:しまいさき/縞伊佐木/縞鶏魚
英名:Sharpbeak terapon
別名:シャミセン、ウタウタイ、イノコ、イソイサキ、シマイオ、フエフキ、ホラフキ
シマイサキはシマイサキ科の一種で「イサキ」と名につくがイサキ科ではなく良く知られる「イサキ」とは系統が異なる。
名前の由来は外見がイサキに似ていることと明瞭な縦縞があることに由来するというが実はあまり似ていない。
シマイサキは本州の中央あたりから南の沿岸各地の産地ではよく目にする魚で、釣りの対象にもなるのだが、漁獲量が少なく雑魚としてそのほとんどが産地で安い総菜魚となっている。
価格は安いがそこそこ美味しい魚だ。ただ、本種は汽水域にも多く、獲れた場所によっては臭みがあり、これも安く扱われる要因の一つだろう。
学名の属名部分”Rhynchopelates”は『くちばし』や『鼻ずら』を意味するギリシャ語”rhynchos”と、『近づく者』という意味のギリシャ語”pelatēs”からなり、種小名”oxyrhynchus”は『鋭いくちばしの』というギリシャ語からつけられている。(「日本産魚類全種の学名 中坊徹次・平嶋義宏著」より)
◆シマイサキの生態
シマイサキは東北地方以南の沿岸や内湾、河川との汽水域などに生息し小さな甲殻類やゴカイなどの多毛類、小魚などを捕食する。体内のウキブクロを使いグゥグゥと鳴き、こうしてなく様子が「シャミセン」や「ウタウタイ」という地方での呼び名の由来となっている。
「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は津軽海峡〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、岩手県〜九州南岸の太平洋沿岸、瀬戸内海、久米島となっており、海外においては 朝鮮半島南岸・東岸南部、済州島、厦門〜トンキン湾の中国沿岸、海南島、台湾、ルソン島、スラウェシ島北部で分布が確認されている。
◆シマイサキの特徴
シマイサキは標準体長30cmほどになる。体形は側扁し頭部から吻の先まで直線になっており口の先がとがった形になってる。これが学名や英名”Sharpbeak”(鋭いくちばし)の由来になっている。
背ビレは棘条12、軟条9~11本からなり、臀(しり)ビレは棘条3、軟条7~9本からなる。
体色は幼魚のうちは黄色っぽい淡褐色の地にくっきりとした4本の縦縞が入っている。成長するにつれ地色は黄色味が抜けて銀に近くなり明瞭な4本の縞の間にそれぞれ薄い縞が出てくる。
よく似た近縁種のヨスジシマイサキとはシマイサキの後側頭骨の後縁はのこぎり歯条に少し張り出しているが、ヨスジシマイサキはのこぎり歯がなくウロコに覆われていることと背ビレ棘部に暗色班が付いているものが多いことで見分けられる。
●シマイサキの主な産地と旬
◆主な産地と漁獲量
シマイサキは本種を目的とした漁はなく、定置網などで混獲されるにすぎず各地の漁獲量の資料は見つからなかった。
比較的多く獲れるのは北陸から南の日本海沿岸各地と東京湾から南の沿岸で内湾のある所で多く漁獲される。
漁獲されたものはほとんど産地で消費され、大きな市場にはあまり出荷されない。
◆シマイサキの漁獲時期と旬
シマイサキの産卵期は初夏から夏にかけてで、釣りでもその時期に良く釣れるようだ。
旬の時期は産地や書籍によって幅があり、三重県漁連のサイトでは秋と紹介されているほか、「食材魚貝大百科(平凡社)」では6~8月、「旬の食材(講談社)」でも夏が旬の魚となっている。
おそらく、夏の時期に産卵のため浅い所にあつまり、沢山獲れるのではないだろうか。そのため多く出回る夏が旬とされていると思われる。
食べて美味しい旬の時期という点では産卵前後は避けた方が良いと思うのだが、まだ夏以外に目にしたことがなく、当然食べていないので確かめられていない。という事で、ここでは一般的に多く出回る6~8月を旬としておく。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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シマイサキ |