クロメジナ/オナガグレ:目利きと料理
クロメジナ/オナガグレを選ぶ際のポイント、目利きや見分け方、さばき方をはじめ、美味しい食べ方と調理方法、主な料理、料理レシピなどを沢山の写真と共に紹介します。
●クロメジナの目利きと調理のポイント
◆出来れば活け締めされたもの
活け物がベストだが、刺し身で食べる場合はせめて活〆物を選びたい。そうでなければ、腹を触った時にしっかりと固く感じる物、死後硬直が解ける前までのものにしたい。
◆体表に艶があり目が澄んでいるもの
全体に黒く艶があり、目が澄んでいてふっくらとしているものが新鮮。全体に乾いた感じで、目が白濁しているものや窪んでいるものは鮮度が落ちていることが多い。
◆エラが鮮紅色のもの
エラ蓋を持ち上げてみて、中のエラが綺麗な赤い色をしているかチェックする。
◆調理のポイント
クロメジナもメジナ同様、夏の物と冬の物とでは、磯の臭みが全然違うばあいもあり、夏場は臭みが強いものもいるので注意が必要。匂いが感じられる場合は腹の中を十分に洗い、調理の際に香草やショウガ、ニンニクなど、香りの強い物で臭みを隠すような工夫をしよう。
冬のものは脂がのり臭みもなく生食でもとても美味しい。
写真は1月中旬に仕入れた旬で脂がのった全長43cm1.47kgのクロメジナを三枚におろしたもの。
●クロメジナの美味しい食べ方と料理
◆クロメジナの刺身
旬のクロメジナを刺身にしたもの。奥が腹身で手前が背身。
臭みは全くなく、脂がのっていてしっかりとした食感があり実に美味しい。
◆クロメジナの焼き切り
上の刺身に下のと同じクロメジナを、こちらは皮を引かず、皮目をバーナーでしっかりと焼いてから急速冷凍の中に短時間入れて一気に冷まし、それを刺身にしたもの。冷水に落として冷ます焼き霜という方法もある。
焦げた皮の香ばしさと食感がプラスされ、皮を引いた刺身とはまた違った味わいで、皮と身の間にある旨味となる脂も余すことなく味わえる。
◆クロメジナのカルパッチョ風マリネ
クロメジナの背の身を薄くスライスし、皿に敷き詰めておろしたニンニクを少量全体に塗り付けてから塩胡椒を振り、オリーブ油を塗る。
黄河紅丸大根のケンをトッピングし、ピンクペッパーを散らす。食べる時にレモンなどの柑橘を絞る。
刺身とは違った味わいで次々と手が伸びてしまう。
◆クロメジナの塩焼き
旬の脂がのったクロメジナの切り身を塩焼きにしたもの。
塩を振ってしばらく馴染ませ、染み出た水分をしっかりとふき取ってから焼き始める。やや強火で一気に焼き上げることで中がふっくらと仕上がる。
脂がのっていることもあり、焼いても硬くなり過ぎず、程よい繊維感が楽しめる。自らの脂で皮は香ばしく焼き上がりとても美味しい。
◆クロメジナのポワレ
クロメジナの切り身に塩を振り、しばらく馴染ませて余分な水分をふき取ってから胡椒を振り、ニンニクとローズマリーを効かせながらオリーブ油で皮目をカリッとなるまで焼き上げる。
今回の付け合わせはタルティーボのソテー。生では苦みが持ち味のイタリア野菜だが、加熱調理することで苦みが収まり甘く感じる。
肝心のクロメジナも程よい身の食感とカリッと焼きあがった香ばしい皮の風味、白身魚らしい旨味が相まってこれもなかなかのもの。
◆クロメジナの唐揚げ
クロメジナの尾に近い部分の身を唐揚げにしたもの。
シンプルに塩胡椒と片栗粉だけであげるもよし、ニンニクや醤油でしっかりとした味を付けて片栗粉をまぶして揚げるのもよし。
◆クロメジナのかぶと煮 煮付け
クロメジナの頭とカマの部分を、酒、醤油、みりん、砂糖で煮付けたもの。
この頭やその近くの身は脂がたっぷりと含まれていて、また旨味も強く煮付けるととても贅沢な味わいが楽しめる。
◆クロメジナのアラ汁 味噌汁
三枚にさばいた時に出る中骨や縁側、削ぎ取った腹骨に付いている身などアラを味噌汁にしたもの。
アラはそのまま煮ず、臭みをとるために一度沸騰させている湯にくぐらせて流水でサッとすすいでから昆布と共に鍋に入れ水を加えて火にかける。