イトヒキヒメ - Hime formosana -:生態や特徴と産地や旬
●イトヒキヒメの生態や特徴
◆イトヒキヒメとは
分類:魚類 > 条鰭綱 > ヒメ目 > ヒメ科 - ヒメ属(日本海洋データセンターより)
学名:Hime formosana (Lee & Chao, 1994)
学名(Synonym):Aulopus formosanus Lee & Chao, 1994
和名:いとひきひめ/糸引姫
別名:単にヒメ
イトヒキヒメはヒメ科一種で、分類は少し前まで”Aulopus”=ヒメ属とされていたが、最近では”Hime”とされ、この中にはヒメの他、ハタタテヒメが含まれる。また、これまで同じ”Aulopus”=ヒメ属とされてきたエゾダマシは”Leptaulopus”に分けられている。
和名の「ヒメ」は諸説あるが、この魚の色や姿から「姫」と呼ばれるようになったという説、『新釈 魚名考』による野鳥の名前に由来するとする説がある。ただ、ヒメという魚の中国名は「台灣姬魚」あるいは「台湾仙女魚」と言うそうで、中国名がもとになっているのかもしれない。そして本種、イトヒキヒメはオスの背ビレが糸を引くように長く伸びるヒメという意味である。
学名の属称”Hime”はおそらく和名からと思われ、種小名”formosana”は”Formosa”、つまり台湾を意味する。
イトヒキヒメは漁獲量が少なく知名度はかなり低い。まずい魚ではないが取り立てて美味しくもない上、水分が多くやわらかな身質と小骨の多さから人気はなくとても安い。まとまって獲れた時はすり身用にされることが多いようだ。
◆イトヒキヒメの生態や分布
イトヒキヒメは水深120~230mの大陸棚縁辺の砂底域に生息し、「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は和歌山県沖、土佐湾、鹿児島県指宿、沖縄島、東シナ海とされ、海外では台湾やオーストラリア北西岸にも生息するようだ。
今回入手したものは愛知県で水揚げされたものなので、渥美外海にも分布しているとみられる。
◆イトヒキヒメの特徴
イトヒキヒメは標準体長30cm程になり、よく似た近縁種のヒメやハタタテヒメよりも大きくなる。ヒメ科の特徴として小さな脂鰭が付いている。
体形は紡錘形で背ビレと胸ビレがやや大きく、尾ビレは大きく二叉する。眼が大きいがハタタテヒメほどではなく、背面より突出はしない。
体色は背面から体側にかけてが薄い赤褐色で、暗褐色の斑紋と淡赤色の斑紋が並ぶ。
オスのイトヒキヒメの背ビレは第2軟条が長く伸びているのが特徴で、名前の由来となっているとともに近縁種との見分けるポイントとなっている。
メスの背ビレは近縁種のメスと同じだが、ヒメの背ビレ前端付近には明確な暗色班があるのに対し、イトヒキヒメには顕著な斑紋はないことで見分けられる。
●イトヒキヒメの主な産地と旬
◆主な産地と漁獲量
本種を目的とした漁は行われておらず、底引き網で混獲されることがあるという程度。ほとんど産地で消費されるか、他の雑魚と共に練り物に加工されている。
今回入手したものは愛知県一色町の市場に並んでいた数ケースのトロ箱の一つ。
◆イトヒキヒメの漁獲時期と旬
美味しい旬に関する定説がなく旬は不明。今回入手したのは愛知県で6月中旬で、特に卵巣は目立たなかった。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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イトヒキヒメ |