ハモ(鱧/はも):生態や特徴と産地や旬

ハモ(鱧/はも)

●ハモの分類や概要

◆ハモとは

分類:魚類 >条鰭綱 > 真骨下綱 > カライワシ上目 > ウナギ目 > アナゴ亜目 > ハモ科 - ハモ属

学名:Muraenesox cinereus (Forsskål, 1775)

英名:Daggertooth pike conger

仏名:Murénésoce-dague

和名:はも(鱧)

別名:はみ、はむ(広島県、高知県)、ハモウナギ

 ハモはウナギやアナゴと同じウナギ目に分類され、その中でハモ科ハモ属を構成する一種である。世界では8種ほどがいるとされ、国内では本種の他、スズハモとハシナガハモが分布するが、食用となるのは本種とスズハモの2種だけである。

 主に関西で珍重される魚で、ハモ料理は京都や大阪の夏を印象付ける風物詩となっている。

◆京都の祇園祭とハモ料理

 京都の夏といえば祇園祭が全国的に知られていますが、観光にその時期京都に行かれた方も多いのではないでしょうか?そしてその時期旅館などで出されるのがこのハモ料理。

 京都の中央卸売市場では一年でこの祇園祭のある7月16日、17日が一番高騰する時期です。2009年では、大きいものでキロ当たり4000円以上もの値が付いていました。

 京都の文化とまで言われるようになった理由は、かつてその昔鮮魚を京都まで運ぶ技術が無かった頃、生きたまま京都まで運ぶことが出来た数少ない魚だったからだそうです。その為、他の地方ではそこまでして食べようともされなかったハモを、京都の料理人たちがどうすれば美味しく食べられるようになるのか研究し、今の技術が編み出されたそうです。

◆大阪の天神祭とハモ料理

 7月24日、25日に行われる天神祭においてもハモ料理が欠かせないと言われています。ハモは「梅雨の水を飲んで旨くなる」と言われ、この時期が最も美味しい魚として「祭り魚」として家庭でも食べます。

●ハモの生態や特徴

◆ハモの生態

 ハモは比較的暖海性の魚で、本州紀伊半島以南に多く、日本海側ではほとんど見られない。ハモの産卵期は初夏から夏で、数回に分けて浮遊性卵を産む。詳しい生態はまだまだ不明な魚で、その夏の産卵期に外洋から瀬戸内海など沿岸に寄って来ると考えられている。

 水深120m以浅の砂泥底に多く生息し、鋭い歯で魚類、エビやカニなどの甲殻類、イカ・タコなどの頭足類といった動物を捕食している。

ハモ(鱧/はも)の大きな口と鋭い歯

 「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は青森県深浦・川内・牛滝(稀)、新潟県佐渡~・福島県〜九州南岸の各地沿岸(瀬戸内海含む)、東シナ海海陸棚とされ、海外においては朝鮮半島西岸・南岸、遼寧省〜広西省の中国沿岸、海南島、台湾、ピーター大帝湾(稀)、インド-西太平洋、マリアナ諸島(稀)となっている。

◆ハモの特徴

 ハモは全長2.2mにもなる細長く大きな魚だが、一般に流通してるのは80cm位までのものが多い。ウナギに似た細長い体形だが、口が大きく、細長い上下のアゴには鋭い歯が並んでいるのが特徴。

 体表にウロコはない。

ハモ(鱧/はも)

 近縁種のスズハモとは外見がよく似ているが、見分けるポイントは肛門直上から頭部にかけての側線孔の数と背ビレ軟条数で、ハモが側線孔数40~47、背ビレ軟条数66~78なのに対し、スズハモは側線孔数33~39、背ビレ軟条数47~59といずれもハモの方が顕著に多い。

●ハモの主な産地と旬

ハモ(鱧/はも)

◆ハモの主な産地と漁獲量

 ハモの主な産地は西日本各地で、農林水産省の漁業・養殖業生産統計は2006年を最後に項目がなくなっているので、その2006年の記録で見るしかないが、最も多いのは兵庫県、次いで徳島県となっている。淡路島周辺が産地としてだ。また、豊後水道を挟む大分県と愛媛県も産地として知られている。

ハモの主な産地と漁獲量

 近年は韓国、中国からも大量に輸入されており、国産物より手ごろな値段で入っている。

◆ハモの美味しい旬

 ハモは「梅雨の水を飲んでおいしくなる」と言われ、産卵を控えた暖かくなってからの6月から7月あたりまでが最も美味しい旬である。8月には産卵が始まってしまいます。漁の最盛期はそれより少しずれ、9月頃にピークを迎えるので、8月から9月にかけては価格が一気に下がり手頃となりますが、産卵後の物は子も持っていないうえに身が痩せています。

 また、晩秋あたりに獲れる物は、産卵後に旺盛な食欲を満たし身が肥え、脂が乗ったものとなり、体表が金色を帯びてきます。「金ハモ」や「落ちハモ」と呼ばれ、こちらも別の旬となります。

旬のカレンダー
旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
ハモ(鱧)                        

< 出 典 >

 ※「日本産魚類全種の学名」中坊徹次・平嶋義宏著 東海大出版部 

 ※「日本産魚類検索全種の同定第三版」中坊徹次編 東海大出版会

 ※「食材魚貝大百科」平凡社

 ※「旬の食材- 夏の食材」 -講談社

 ※ Muraenesox cinereus (Forsskål, 1775) FishBase


 
 

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