アカザラガイ:特徴と産地や旬の時期
●アカザラガイとは
◆カキ目イタヤガイ科アズマニシキ属(学名)Chlamys (Azumapecten) farreri akazara
これはアカザラガイと言いますが、あまり見慣れない貝ですよね。ホタテとよく似た感じですが、ホタテよりも小さく、殻の色も左右どちらも赤茶色をしています。アカザラガイはホタテとは同じイタヤガイ科アズマニシキ属の二枚貝で、北海道南部から東北にかけての潮間帯から水深水深20mの岩礁や砂礫地に生息し、体から伸びた糸を絡めて付着しています。
東京湾から南、九州などに生息するアズマニシキガイの北方系とされています。
◆漁師のまかないだったアカザラガイ
アカザラガイは地域によって「アカジャラ」や「ソデフリ」と呼ばれ、ホタテやカキの養殖の網や縄、更には商品となる牡蠣やホタテの殻にまで張り付く厄介者だそうです。獲れる量にもムラがあったため市場に出荷されることもなく、主に漁師さんたちの間で消費されるローカルな貝でした。
ところが、この貝、見た目がホタテに似ていることや、加熱調理すると旨みがぐっと増して美味しいということで宮城県の気仙沼では養殖も行われるようになり、数は少ないですが関東や関西の市場へも出荷されるようになりました。
◆アカザラガイの特徴
アカザラガイの大きさはホタテより小さく殻長6.5~8cm程で、厚みも2.5cm程です。
アカザラガイの殻の表面は右殻左殻ともにほぼ同じ色で、濃い茶色から明るい赤まで個体差はありますが、全体に赤茶色をしています。殻の表面には放射肋と呼ばれる起伏線があり、比較的太いものと細いものが放射状に並んでいます。
アズマニシキの北方系とされておりそっくりですが、アズマニシキはこの起伏線の上に鱗片と呼ばれるうろこ状の突起がたくさん付いているのに対し、アカザラガイのもの少し膨らむ程度です。
●アカザラガイの主な産地と旬
◆牡蠣やホタテ養殖の副産物
アカザラガイは北海道南部から東北にかけてに生息していますが、これを目的とした漁はほとんどされていません。牡蠣やホタテの養殖において、それらの収穫時に一緒に付いてくるものを選別され、地元消費されてきたにすぎません。そういう事から、産地としては生息域で牡蠣やホタテの養殖をしているところということになります。
◆都市部への出荷も始まっています
近年、そのおまけ的なアカザラガイを商品として出荷するところがいくつか出てきて市場にもたまに並ぶようになりました。岩手県の山田町では生鮮の貝だけでなく、それを使った加工食品の開発も行われています。
また、宮城県気仙沼ではアカザラガイの養殖も行われているようです。今回入手したものも宮城県気仙沼のものでした。
とはいってもまだまだ知名度も低く、出荷量も少ないローカル色の濃い食材です。
◆アカザラガイの漁獲時期と旬
産卵期は夏とされ、美味しい旬の時期は、気仙沼をはじめ三陸では冬から春となっていました。また青森県の産地では10月から6月にかけてと少しずれています。市場に出される産地からすると冬12月から産卵前に栄養を蓄える5月頃までが美味しい時期と言えそうです。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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アカザラガイ |