オニアジ(鬼鯵):美味しい食べ方と料理
旬のオニアジ(鬼鯵)は鮮度が良いと刺身や握りで美味しく食べられます。ただ、血合いが多く赤味なので見栄えはあまりいいとは言えません。アジフライや煮付け、塩焼きなど加熱調理でも美味しいです。ここではオニアジの主な料理、レシピなどを写真と共に紹介します。
◆調理のポイント
オニアジはとても固いゼンゴ(稜鱗)で覆われているためさばきにくい魚だが、それをつけたまま塩を振ってもなかなか身に味が入らないのでなるべく三枚におろすか開いて調理することをお勧めする。
身質は血合いが多く、身も赤味を帯びていて見た目はカツオなどに近いが、カツオほど鉄臭さは感じない。旬のオニアジは皮下脂肪が付き生食の他、加熱調理でも美味しい。
●オニアジを生で美味しく食べる料理
◆オニアジの刺身
全長40cm足らずのオニアジを刺身にしたもの。10月中旬だが皮下脂肪が付いている。
やはり血合いの割合が多く、見た目はあまり美味しそうではないが、食べてみると臭みがなく脂の甘みがありなかなかの美味しさだった。
ただ、下処理をして2日ほど寝かせたものは、脂がしっかりとあることもあってか、ねっとりとした食感になり、色合いも悪くなった。
◆オニアジの握り
三枚におろし、皮を引いたオニアジを握りにしたもの。
写真でもわかるように血合いがとても多い。しかし口に放り込んでしまうとマアジとは違った脂のある濃厚な旨味がシャリと絡み血合いは気にならず、大葉が良い具合に効いてくどさもなく、美味しい握りとなった。とはいえ、やはりこの見た目は抵抗あるかも。
◆オニアジのなめろう
マアジと同じように、オニアジを三枚におろし、皮を引いた身を細かく叩き、刻んだショウガとネギ、ミョウガ、それに味噌と醤油をよく混ぜて舐めロウにしたもの。
これは酒のあてにもご飯のおかずにもなりマアジに負けずと劣らずの旨さだった。
●オニアジの焼きもの料理
◆オニアジの塩焼き
オニアジを皮付きのまま開いて塩を振り、しばらく馴染ませてから染み出した水分をキッチンペーパーでふき取り、酒を吹き付けてグリルで焼き上げたもの。
マアジとは少し違った味わいだが、これはこれで十分に美味しい塩焼きとしていただけた。
身は脂もあり、とてもジューシーで身をほぐすと皮の上に透明な汁が溜まるほどだった。血合いの多さはほとんど気にならなかった。
◆オニアジのさんが焼
オニアジのなめろを焼き上げたもの。そのまま焼いたものと大葉を張り付けて焼いたものを作ってみた。
結果、どちらもとても美味しく食べられた。強いて言うなら大葉を張り付けた方が香りがプラスされてより美味しい。
見た目はほとんどハンバーグだ。ショウガやネギが効いており、魚が苦手な子供でも食べやすいと思う。
●オニアジの揚げ物料理
◆オニアジのフライ
いわゆるアジフライだ。ゼンゴはとても固いので、三枚におろして皮を引いてから衣をつけて揚げている。
外はサクサク、中はとてもジューシーにふっくらと上がり、美味しいアジフライとしていただけた。
◆オニアジの唐揚げ
三枚におろし、皮を引いたオニアジを小口に切って酒、醤油、ショウガ、卵、片栗粉を合わせた種をしっかりと絡むように混ぜ、しばらく馴染ませてから揚げたもの。
ビールのつまみでもご飯のおかずにもなる。ご飯が進むおかずになった。
◆オニアジのエスカベッシュ(南蛮漬け)
三枚におろし、皮を引いたオニアジを小口に切って塩胡椒を振り、小麦粉をまぶして油でカラッと揚げたものに、ワインビネガー、砂糖、レモン汁、ガーリックオリーブ油、刻んだ野菜を合わせた漬け汁をかけたもの。
揚げたてにかけることで身に味が入りやすくなる。
温かいままでも美味しく頂けたが、残ったものを冷蔵庫で一晩冷やしておいたものもまた違った美味しさが楽しめた。
●オニアジの煮物料理
◆オニアジの味噌煮 煮付け
今回のオニアジは脂ものっていたので、酒と醤油ではなく、味噌で煮付けてみた。
ゼンゴをそぎ落としたオニアジを筒切りにし、酒、味噌、砂糖、みりん、醤油で煮ている。通常の煮付けのように一気に煮上げるのではなく、40分ほどじっくりと煮た。
身はしっとりと炊き上がり身離れもよく、アジとサバを足して割ったような食感と味わいだった。
◆オニアジのアヒージョ(コンフィ)
たっぷりのオリーブ油に潰したニンニクやミニパプリカと共にゼンゴをそぎ落とし、筒切りにしたオニアジを入れ、ぐつぐつと低温でじっくりと火を通したもの。
いわゆるアヒージョだが、フレンチではコンフィという。こうした調理法では下味がとても大切だ。オイルに漬けてからでは塩味が身に入りにくくなるからだ。
身は柔らかくほぐれ、パンにもよく合う。
この切り身だけを取り出し、フライパンでこんがりと焼き上げてもまた美味しい。