タカアシガニ(高足蟹):目利きと食べ方
タカアシガニ(高足蟹)を選ぶ際のポイント、目利きや見分け方、さばき方をはじめ、美味しい食べ方と調理方法、主な料理、料理レシピなどを沢山の写真と共に紹介します。
●タカアシガニの目利きと調理のポイント
◆活きていること
タカアシガニは身に水分が多く、死ぬと自己消化酵素によって身が早く溶けていき、著しく味が損なわれてしまうため、生鮮物であれば活きているという事が前提となる。
そうでなければ、ボイルされた状態のものとなる。
◆卵(外子)を持っていないもの
メスの場合は産卵のために浅場に来たところを漁獲されたものが多く、中には腹に外子を持っているものもある。外子は食べても美味しくなく、また、その状態のものは身も痩せていて美味しくない。
◆調理のポイント
タカアシガニの身は生食もできるが、やや水分が多く、一般的には加熱調理されることが多い。水分が多いため、茹でる<蒸す<焼くの順に水分を飛ばす方が美味しく頂ける。
また、死んでしまうと自己消化酵素によって身がどんどん溶けてしまうので生きているうちに調理しよう。
脚は細長いとはいえ、一本一本が大きいので身はそれなりにボリュームがある。甲羅が大きい分ミソは大量にあるが、これも水っぽいのである程度煮詰めるなどした方が良いだろう。
●タカアシガニの美味しい食べ方と料理
◆タカアシガニの刺身
生の脚の殻をキッチンバサミで剥き、身の真ん中の薄い軟骨を引き抜いてからいくつかに切り分けて氷水に落として締めたもの。
食感は柔らかく、柑橘の紅マドンナのような柔らかい粒粒感が舌に感じられ濃厚さは感じられないにしても甘みがあって美味しい。
◆蒸したタカアシガニ
蒸し蟹にしたもの。身は比較的殻から外れやすく、一本一本が大きいので食べ応えも十分である。煮詰めた蟹ミソに浸けて食べても美味しい。ただやはり少し水分が多くしっとりとした食感となる。また、デカいカニなのにカニの風味はとてもおとなしい。茹でるとさらに水っぽくなるのではないだろうか。
◆タカアシガニのホイル焼き
肩の部分ごと切り分けた生の脚を、ホイルに包んでグリルで焼き上げたもの。最後にホイルを開いて表面に焦げ目をつけている。
蒸したものよりもカニの風味が強く、身も適度に水分が抜けて締りがあり、甘みも強く感じられる。蒸すよりも断然こちらの方がお勧めだ。
◆タカアシガニのフライ
蒸した脚の殻をむき、小麦粉、卵、パン粉をまぶしてフライにしたもの。たっぷりの身を口いっぱいに頬張れる醍醐味が楽しめるが、カニの風味はやはり弱い。身にカニミソをまぶしてから衣をつけて揚げると風味がプラスされていいかもしれない。
◆タカアシガニのクリームソーススパゲッティ
みじん切りにしたエシャロットか玉ねぎをフライパンで炒め、蒸したカニの身とカニミソ、白ワインを加え水分を飛ばし、生クリームを注いでソースに仕上げる。茹でたパスタとスナップエンドウを加えしっかりとソースを絡め、塩コショウで整える。
カニの身自体にカニの風味が弱いので、カニミソをしっかりと加えるのがポイント。
◆タカアシガニのサラダ
蒸したタカアシガニの脚の身をほぐしてサラダに加えたもの。見た目が豪華になる。
◆タカアシガニのかき揚げ
写真は蒸したタカアシガニの肩の部分の身をかき揚げにしたもの。
◆タカアシガニのカニ飯
甲羅の中に詰まっていたカニ水と刻んだショウガ、酒、白出汁を加えて炊き上げたご飯に、蒸したカニ身と刻んだ三つ葉をまぶしたもの。
カニ水を加えないとカニ身だけではカニらしい風味があまり感じられないだろう。
◆タカアシガニのしゃぶしゃぶ
生の脚の殻をむき、昆布を敷いて沸騰させている鍋でしゃぶしゃぶしていただく。程よく表面に火が通ったくらいが食べごろ。太くて長い身を口いっぱいに頬張れる。
●生のタカアシガニをさばく
タカアシガニはとても大きく、丸ごと茹でたり蒸せる大きさではないので、家庭では脚などをばらして調理する。
◆甲羅の境目に包丁を入れる
脚の付け根と甲羅の間に包丁を差し込み、甲羅との接点を切り離していく。はかまの部分も切り落とす。
◆甲羅をはがしミソをかき出す
体液が甲羅に残るように甲羅を下にして胴をはがす。この時甲羅を上にはがすと大量の体液が流出するので注意する。
この体液は捨ててもいいが、カニの風味があるので出汁として使うことができる。
体液を別の容器に移し、空いた甲羅の中にミソを移していく。脚の付け根までしっかりと詰まっているのでスプーンなどを使って全部取り出す。
えらの部分を包丁かキッチンバサミを使い取り除く。
真ん中で左右に切り分ける。
◆脚を外す
脚の外し方には二通りあり、包丁を使って付け根から切断する方法と、肩の部分から切り分ける方法がある。
包丁で脚の付け根の部分から切り離す。
肩の部分も脚に合わせて切り分ける方法。写真のように包丁を使わず脚の付け根を持ち、肩の部分から肩の身ごと引きはがしてもいい。
●タカアシガニを蒸す
◆蒸す
なべ底に酒または水を少しだけ張り、カニ味噌が入った甲羅と脚を入れ、フタをして加熱し、沸騰してから10分程蒸す。
脚はこれで美味しく食べられる。
今回使用した鍋は直径32cmの蓋つきの大きなフライパンだったが、脚は片方の4本しか入らなかった。
◆蟹みそを煮詰める
蟹みそは10分蒸しただけでは足りず、思い切って甲羅を直接直火にかけて煮詰めてみた。写真の通り甲羅鍋だ。ミソがぐつぐつと煮詰まっていく・・・が、甲羅の表面が焦げる匂いがきつく、この後鍋に移して煮詰めることにした。よく見ると甲羅の何か所かが透明になっていたので、あのまま煮詰めていたら甲羅に穴が開いて大変な惨状になっていたかもしれない。