オオスダレガイ:生態や特徴と産地や旬
オオスダレガイ(大簾貝/おおすだれがい)の生態や特徴と主な産地と美味しい旬の時期、また、選び方やさばき方、美味しい食べ方と調理方法、主な料理、料理レシピなどを沢山の写真と共に紹介します。
●オオスダレガイの生態や特徴
◆オオスダレガイとは
分類:二枚貝綱 > 異歯亜綱 > マルスダレガイ目 > Veneroidea(マルスダレガイ超科) > マルスダレガイ科 > Paphia(BISMaLより)
学名:Paphia schnelliana (Dunker, 1866)
和名:おおすだれがい/大簾貝
中国名:大橫簾蛤 、靚巴非蛤
別名:単にスダレガイ
オオスダレガイはマルスダレガイ科Paphia(スダレガイ属?)の二枚貝で、近縁種のスダレガイとよく似ています。Paphia(スダレガイ属?)には本種をはじめ、スダレガイ、サツマアカガイ、ヒメスダレガイ、イヨスダレ、そしてアケガイの6種が含まれている。
和名の「オオスダレガイ」は「スダレガイ」よりも少し大きくなることに因む。獲れる数も少なく市場ではあまり区別されず単にスダレガイとして扱われることが多いようだ。
食味的にはスダレガイをはじめアケガイなどとあまり変わらず、肉質はやや硬いが美味しく食べられ、本種は大きめなので食べ応えもある。
◆オオスダレガイの生態
オオスダレガイは水深10~100mの細かい砂の海底に生息する二枚貝で、「日本近海産貝類図鑑第二版」によると日本近海での分布は能登半島、房総半島から九州、東シナ海となっている。
◆オオスダレガイの特徴
オオスダレガイは殻長10cmほど、撮影したものは11.5cmあった。長楕円形で、殻はやや薄く膨らみがある。殻表には規則的な同心円肋で覆われ、肋間はスダレガイに比べ狭い。套線湾入はやや浅く、丸く、斜め上方を向く。
殻表の模様は放射状に3~5本、暗褐色帯があり、その合間には細い網目模様がみられる。
オオスダレガイは横から見るとふっくらと丸みがあることがわかる。
殻を開くと中の身は、まずアケガイやスダレガイと同じく朱い脚の部分が目に入る。水管はオレンジ色。
殻の内側は白く、左右の貝柱跡をつなぐように湾曲した套線がよくわかる。
●オオスダレガイの主な産地と旬
◆主な産地と漁獲量
オオスダレガイは獲れる数が少なく、西日本で他の魚介類と混獲される程度のようだ。そのため、産地以外の市場に出ることは少ない。
撮影したものは山口県産であった。
◆オオスダレガイの漁獲時期と旬
オオスダレガイの旬は不明。確かではないが、おそらくアケガイと同じと考えられる。そうだとすれば美味しい旬の時期は4~6月。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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オオスダレガイ | ? | ? | ? |
< 出 典 >
※「日本近海産貝類図鑑 第二版」奥谷喬司編著 東海大出版部
※「台湾貝類名禄 Paphia schnelliana」台湾貝類資料庫
●オオスダレガイの目利きと調理のポイント
◆目利きのポイント
貝類は生きていることが前提で、水中のものは水管を伸ばし、触ると素早くひっこめるものを選び、水からあげられているものは殻を閉じ、だらりと殻を開けていないものを選ぶ。
持った時にずっしりと重みを感じるものを選ぶ。
◆調理のポイント
食用となるオオスダレガイの軟体部は色や形状などがアケガイとそっくりで味わいも似ているので、同じ食べ方で楽しめると考えていいだろう。更に本種はサイズが大きいので、ハマグリのような食べ方もできる。
ただ、オオスダレガイの脚の身は加熱調理すると硬く縮みやすいので注意が必要だ。
●オオスダレガイの美味しい食べ方と料理
◆オオスダレガイの刺身
オオスダレガイの身をさっと湯通しする程度に茹でてからワタなどを取り除いたもの。貝自体が大きいのでアケガイの数倍はある。
これだけの大きさがあるので、オオスダレガイの場合、脚一つで十分に一貫分ある。
赤い部分はやや噛み応えがあるくらい弾力があるが味的にはとても美味しい。
◆オオスダレガイの酒焼き
殻を開けたオオスダレガイに酒と醤油を少し垂らしてグリルで焼き上げたもの。
オオスダレガイからも大量の水分が染み出し、身が縮んで締まった。身は硬いがこの出汁が格別にうまかった。とはいえ貝自体が台無しだったので焼き過ぎには注意したい。
◆その他の食べ方
身が大きいのでむき身にして炒め物などにもお勧め。あまり火を通し過ぎない方が食感が良い。