オキアジ/沖鯵/おきあじ:生態や特徴と産地や旬
●生態や特徴
◆オキアジとは
分類:魚類 > 条鰭綱 > スズキ目 > スズキ亜目 > アジ科 > Caranginae(アジ亜科) > オキアジ属(日本海洋データセンターより)
学名:Uraspis helvola(Forster, 1801)
和名:おきあじ/沖鯵
英名:Whitemouth Jack、Whitetongue Jack
別名:モクアジ(神奈川)、ドロアジ(静岡)、ダイコクメッキ(徳島)、ダイコクまたはダイコクエバ(高知)、ヨシデン(和歌山)、モアジ(三重)
オキアジはアジ科の一種で、よく似たインドオキアジと共にオキアジ属に分類されている。ゼンゴがあることでアジ科の魚だということが分かる。形はシマアジに似るが見た目が黒っぽいことや味的にシマアジに敵わないことや漁獲量が安定しないことなどからか産地でも安く、一般の認知度は低い。しかし実はとても美味しい魚、歩留まりも良く非常にコストパフォーマンスに優れた魚である。
◆オキアジの生態
オキアジは太平洋沿岸から日本海、東シナ海、更にはインド洋やアラビア海、紅海、南大西洋などの沿岸部に広く分布する魚で、暖かい海を好むが、暖流に乗って東北沿岸まで回遊している。沖合の低層に多く、甲殻類や小魚類などを捕食し生息しているが時期によっては比較的沿岸に近いところまで寄ってくる。
産卵期は春から夏にかけてとみられる。
「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は伊豆-小笠原諸島、北海道太平洋沿岸、青森県〜九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋沿岸、瀬戸内海(稀)、東シナ海大陸棚縁辺域、沖縄那覇、南大東島となっており、海外においては千島列島南部の太平洋沿岸、朝鮮半島南岸、済州島、台湾、紅海、アラビア海、オマーン沖、スリランカ、ハワイ諸島、アセンション島、セントヘレナ島に分布する。
◆オキアジの特徴
オキアジは全長50cmほどになり、体は強く側扁し横から見ると楕円形で口元も丸みがある受け口になっている。
尾の付け根から続くゼンゴは側線が直線のところまでしかない。
背ビレや胸ビレ、尾びれなどの付き方や形状はシマアジなどとよく似ているが、シマアジよりも体高があり、体色が全体に黒みを帯びている。
若いオキアジにはインドオキアジのように体側に黒い横帯が7~8本あるが、成魚になると薄れ、全体にいぶし銀のような色合いになる物が多い。
オキアジの胸ビレ付け根と胸部には鱗のない部分があるが、その間には体側から続く有鱗部があり分かれている。インドオキアジはこの無鱗の部分が繋がっており判別できる。
●オキアジの主な産地と旬
◆主な産地と漁獲量
オキアジは定置網や底曳網、釣りなどで漁獲されるが、暖海性の魚で九州や高知県など西日本で多く漁獲されている。
漁獲量は不安定で、まとまって獲れる時もあれば全く獲れなかったりするようで市場にも常にあるという魚ではない。
◆オキアジの漁獲時期と旬
沢山穫れる時期は産地や年によっても違うようで、西日本では季節を問わず不定期に、関東近海では夏から秋にかけて漁獲される。
食べて美味しい旬は産卵後、身に脂が戻る秋から冬にかけてと思われる。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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オキアジ |
< 出 典 >
※「日本産魚類全種の学名」中坊徹次・平嶋義宏著 東海大出版部
※「日本産魚類検索全種の同定第三版」中坊徹次編 東海大出版会 p.892
※「食材魚貝大百科③」平凡社 p.073
※「旬の食材- 夏の食材」 -講談社 p.29
※ Uraspis helvola FishBase