トラエビ- Metapenaeopsis acclivis -:生態や特徴と産地や旬
●トラエビの生態や特徴
◆トラエビとは
分類:ホンエビ上目 > 十脚目 > 根鰓亜目 > クルマエビ上科 > クルマエビ科 > アカエビ属(日本海洋データセンターより)
学名:Metapenaeopsis acclivis (Rathbun, 1902)
和名:とらえび/虎海老、虎蝦
英名:Tora velvet shrimp
別名:(アカエビなどと共に)アカシャエビ、単に小エビ
トラエビは一緒に混獲されることも多い近縁種のアカエビやキシエビなどと同じクルマエビ科アカエビ属の一種で、本種のみで流通することはほとんどなく、通常混獲されたそれらの小エビを区別せず「アカエビ」や「アカシャエビ」、または単に「小エビ」として売買されている。
比較的安い総菜向けのエビだが、愛知県等ではエビせんべいの原料としても重要な他、瀬戸内海周辺では干しエビに加工され足りもしている。
◆トラエビの生態
トラエビは「原色日本大型甲殻類図鑑」によると日本近海での分布は東京湾、三河湾、瀬戸内海、有明海、鹿児島湾に多く、アカエビよりもより内湾性が強いとされる。
トラエビは根鰓亜目のエビでクルマエビと同じように産卵しても抱卵せず、海中に卵を放出する。産卵期は6~9月で、真夏の7~8月にピークとなる。寿命はおよそ1年となる。
◆トラエビの特徴
トラエビは大きくても10cm程の小エビで、形状はアカエビとよく似ており全体に赤いまだら模様がある。色的にはアカエビよりも亜科に近い色合い。
頭胸甲の後縁に発音器となる小さな粒状突起が13~18個並び、アカエビ(18~25個)と判別するポイントの一つとなっている。
●トラエビの主な産地と旬
◆主な産地と漁獲量
主な産地は伊勢湾と瀬戸内海、九州の有明海。
本種もアカエビ同様、生鮮品としてよりも干しエビや煎餅など加工向けとしての方が重要。また、マダイなどの釣り餌にも使われる。
◆トラエビの漁獲時期と旬
トラエビの産卵期は6~9月でその後死んでしまうため、身が充実し美味しい旬の時期は初夏から夏、6~8月にかけてとなる。この時期はアカエビなどと共に各地で盛漁期となる。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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トラエビ |
●トラエビの目利きと調理のポイント
◆目利きのポイント
活け物に越したことはないのだが、トラエビは生命力があまり強くはないため活け物で流通することは少なく、通常は死んでしまっている。
買う際には、体表の色が鮮やかで、頭の部分が赤い斑紋とは別に黒ずんでいないものが新鮮。鮮度が落ちてくると頭の部分が黒ずんできて、黒いドリップが出てくる。
◆他のエビと混じっている
トラエビは通常アカエビかサルエビなど他のエビと混獲され、それらをまとめて「小エビ」や「アカシャエビ」「アカエビ」として扱われているため、パック売りされているものもほとんど混じった状態である。
◆調理のポイント
トラエビもアカエビ、キシエビなど、いずれも小エビとして同じ料理に使える。殻は比較的柔らかく、加熱調理すると頭の先以外は食べることができる。
鮮度が良いものは生食もできるが、生の状態で殻を剥くのは結構面倒である。
●トラエビの美味しい食べ方と料理
◆トラエビとアカエビの塩ゆで
アカエビとトラエビが混じったものをさっと塩ゆでにしたもの。小さいエビなので、沸騰させている中に投入し、再び沸騰したら火を止めてざるに上げ、バットなどに広げて粗熱をとる。
茹で海老にしておけば炒め物や椀物、サラダなど色々な料理にも使いやすい。
◆小エビ(アカエビとトラエビ)のチャーハン
塩ゆでして殻を剥いた小エビ(アカエビとトラエビ)を使いチャーハンにしたもの。プリッとした食感とエビの香りが引き立ち、彩もいい。
◆小エビ(アカエビとトラエビ)の素揚げや唐揚げ
殻つきのままカラッと素揚げして、軽く塩を振るだけでとても美味しいつまみになる。もちろん、粉をまぶして唐揚げにしてもいい。
◆小エビ(アカエビとトラエビ)のかき揚げ
かき揚げにする場合は、面倒だが生のむき身にして衣を付けて揚げる方が食感が上品で美味しい。とはいえ、殻を剥くのが面倒なら、殻つきのままかき揚げにしても殻ごと食べることは出来る。