ダイナンアナゴ:生態や特徴と産地や旬
●ダイナンアナゴの生態や特徴
◆ダイナンアナゴとは
分類:魚類 > 条鰭綱 > 真骨下綱 > カライワシ上目 > ウナギ目 > アナゴ科 > クロアナゴ亜科 > クロアナゴ属(BISMaLより)
学名:Conger erebennus (Jordan & Snyder, 1901)
和名:だいなんあなご/だいなん穴子
別名:クロアナゴ(クロアナゴと混同)、トウヘイ
「ダイナンアナゴ」はアナゴ科クロアナゴ属の一種で、まとまった数がとれないことや「クロアナゴ」とともに混獲され、外見がそっくりなため両者を区別せず「クロアナゴ」として扱われることが多い。
「マアナゴ」に比べ大型で小骨が多く、美味しく食べるには技術や工夫を必要とする魚で、市場での値は安い。
学名の”Conger”は属名を表し、日本では”クロアナゴ属”とされているが、上位のアナゴ科が”Congridae”なので”アナゴ属”としても良さそうに思うのだが・・・。ちなみに、「マアナゴ」も同じクロアナゴ属に含まれる。そして”erebennus”が種名を表すのだが、ギリシャ語の『まっくろの』という意味の言葉からつけられている。
◆ダイナンアナゴの生態
ダイナンアナゴは日本の沿岸の水深100m以浅に生息し、小魚や甲殻類などを捕食する。
ダイナンアナゴもクロアナゴ属の一種で、マアナゴなどと同じように初期の稚魚はレプトケファルスと呼ばれる透明な幼生で、全長5~8cm程の幼生は「ノレソレ」とも呼ばれ、これも食用になる。
「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は北海道奥尻島・知床半島、東京湾、神奈川県三崎、静岡県大瀬崎、新潟県佐渡、福岡県博多とされ、海外では韓国釜山となっている。
◆ダイナンアナゴの特徴
ダイナンアナゴは全長1.2mになる大型のアナゴでウロコはなくマアナゴに比べ胴がやや太くずんぐりとしている。
体色は暗褐色で腹は白い。マアナゴにあるような体側の白い斑点はなく、側線孔が小さな白い点になっているのみ。
近縁種のクロアナゴとよく似るが、クロアナゴの背ビレ起部が胸ビレ後端よりもずっと後方であるのに対し、ダイナンアナゴの起部は胸ビレ後端の直上かわずかに後方である。
クロアナゴ属は前鼻孔は短い円筒形の鼻管になっており、上顎の先端左右にあり、後鼻孔は楕円形で、眼の直前にある。
●ダイナンアナゴの美味しい食べ方と料理
◆ダイナンアナゴの下ごしらえ
ダイナンアナゴは表面のぬめりに臭みがあるので、たっぷりの塩をまぶして表面をこするようにし、流水でぬめりを綺麗に洗い落とすのがポイント。
また、ハモと同じように小骨が非常に多く、取り除くことはできないので細かく包丁で骨切りをしなければならない。
◆ダイナンアナゴの柚庵焼き
細かく骨切りした切り身を、酒、醤油、みりんを合わせた漬け汁に浸し、その上にレモンの輪切りをかぶせて2時間ほど漬け込んだものをグリルで焼き上げた。
柚庵焼きは焦げやすいので火加減は注意が必要。身自体は淡白だが、漬け汁が染みそれが旨味を引き出してそこそこ美味しい。
◆ダイナンアナゴのポワレ
細かく骨切りした切り身に塩を振り、しばらく馴染ませてから染み出た水分をふき取って胡椒を振り、ニンニクを効かせながら皮目をカリッと焼き上げたもの。
これは意外にも悪くない。皮の香ばしさと、ふっくらとした身の食感がいい具合だった。
◆ダイナンアナゴの天ぷら
細かく骨切りした切り身に衣を浸けて揚げたもの。
身がふっくらと揚がり、マアナゴほどの旨味は無いがそれなりに美味しい。
◆ダイナンアナゴの唐揚げ
天ぷらと同じように細かく骨切りした切り身を、酒とほんの少しの醤油をからめてから片栗粉をまぶして揚げたもの。
骨切りは手を抜かず、細かくしっかりと皮まで骨を切るのがポイント。切り損ねた骨が残っていると食べた時に面倒だ。味的には十分に美味しい総菜となる。
◆ダイナンアナゴの煮付け
骨切りした切り身を、酒、醤油、みりんで煮付けたもの。
やはりマアナゴの上品さは無いが、総菜としては十分美味しい。
◆ダイナンアナゴの醤油干し
ダイナンアナゴやクロアナゴは、産地では腹開きして醤油ダレに浸して干物にしたものが売られている。これをグリルで焼いて食べる。
< 出 典 >
※「日本産魚類全種の学名」中坊徹次・平嶋義宏著 東海大出版部 p.73
※「日本産魚類検索全種の同定第三版」中坊徹次編 東海大出版会 p.282
※「食材魚貝大百科 ①」平凡社(掲載なし)
※「旬の食材- 夏の食材」 -講談社(掲載なし)
※ Conger erebennus (Jordan & Snyder, 1901) FishBase