アカエビ- Metapenaeopsis barbata -:生態や特徴と産地や旬
●アカエビの生態や特徴
◆アカエビとは
分類:ホンエビ上目 > 十脚目 > 根鰓亜目 > クルマエビ上科 > クルマエビ科 > アカエビ属(日本海洋データセンターより)
学名:Metapenaeopsis barbata (De Haan, 1844)
和名:あかえび/赤海老、赤蝦
英名:whiskered velvet shrimp、Red rice prawn
別名:(トラエビなどと共に)アカシャエビ、単に小エビ
アカエビは一緒に混獲されることも多い近縁種のトラエビやキシエビなどと同じクルマエビ科アカエビ属の一種で、「アカエビ」はそれらの総称にもなっている。いずれも小さなエビなので単に「小エビ」として扱われたりもする。
高級食材というより、手ごろな価格で買える惣菜向きのエビで、伊勢湾周辺ではトラエビなどと共に「アカシャエビ」と呼ばれ、煎餅の原料にもなっている。
◆アカエビの生態
アカエビは「原色日本大型甲殻類図鑑(三宅貞祥著)」によると日本近海での分布は相模湾以南の太平洋沿岸に分布するとされ、主に内湾や内海の水深5~30mの砂泥底に多いが、生息域によっては60~70mの深いところにもいるようだ。日本では三河湾・伊勢湾・瀬戸内海・有明海・八代海に多い。
また、海外においては南シナ海からインドネシア海域、オーストラリア東岸に至る西部太平洋の温暖域に広く分布しているとされる。
アカエビは根鰓亜目のエビでクルマエビと同じように産卵しても抱卵せず、海中に卵を放出する。産卵盛期は7~8月の夏で、孵化した稚エビは浮遊期を経て水深10~20mの浅海砂泥域に着底し、成長に伴って深場へと移動し、翌年の6月頃から産卵に向けて急激に成長し、産卵後は死んでしまうため寿命はおよそ1年となる。(兵庫県立農林水産技術総合センター 水産技術センターホームページより)
◆アカエビの特徴
アカエビは体長10cm程の小エビでオスよりもメスの方がやや大きくなる。
サルエビと同じように体表全体が短毛で覆われており艶はなく、触った感じはざらついている。
体色は全体に赤褐色の斑があり、中でも頭胸甲の側面には不規則で大きな斑紋があるのが特徴。
額角には上縁に6~7個の鋸歯と胃上歯があるが下縁には無い。
頭胸甲の後縁に発音器となる小さな粒状突起が18~25個並び、トラエビ(13~18個)と判別するポイントの一つとなっている。
●アカエビの主な産地と旬
◆主な産地と漁獲量
アカエビの主な産地は三河湾から伊勢湾にかけてと瀬戸内海、有明海、八代海。
生鮮品としても出回るが、干しエビに加工されたものも多く、また、煎餅などへの加工用としても重要。
◆アカエビの漁獲時期と旬
アカエビは産卵に向け6月頃から急激に成長し、7~8月には産卵し、その後死んでしまうため、身が充実し美味しい旬の時期は初夏から夏、6~8月にかけてとなる。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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アカエビ |
●アカエビの目利きと調理のポイント
◆目利きのポイント
活け物に越したことはないのだが、アカエビは生命力があまり強くはないため活け物で流通することは少なく、通常は死んでしまっている。
買う際には、体表の色が鮮やかで、頭の部分が赤い斑紋とは別に黒ずんでいないものが新鮮。鮮度が落ちてくると頭の部分が黒ずんできて、黒いドリップが出てくる。
◆他のエビと混じっている
アカエビは通常トラエビかサルエビなど他のエビと混獲され、それらをまとめて「小エビ」や「アカシャエビ」「アカエビ」として扱われているため、パック売りされているものもほとんど混じった状態である。
◆調理のポイント
アカエビもトラエビ、キシエビなど、いずれも小エビとして同じ料理に使える。殻は比較的柔らかく、加熱調理すると頭の先以外は食べることができる。
鮮度が良いものは生食もできるが、生の状態で殻を剥くのは結構面倒である。
●アカエビの美味しい食べ方と料理
◆アカエビとトラエビの塩ゆで
アカエビとトラエビが混じったものをさっと塩ゆでにしたもの。小さいエビなので、沸騰させている中に投入し、再び沸騰したら火を止めてざるに上げ、バットなどに広げて粗熱をとる。
茹で海老にしておけば炒め物や椀物、サラダなど色々な料理にも使いやすい。
◆小エビ(アカエビとトラエビ)のチャーハン
塩ゆでして殻を剥いた小エビ(アカエビとトラエビ)を使いチャーハンにしたもの。プリッとした食感とエビの香りが引き立ち、彩もいい。
◆小エビ(アカエビとトラエビ)の素揚げや唐揚げ
殻つきのままカラッと素揚げして、軽く塩を振るだけでとても美味しいつまみになる。もちろん、粉をまぶして唐揚げにしてもいい。
◆小エビ(アカエビとトラエビ)のかき揚げ
かき揚げにする場合は、面倒だが生のむき身にして衣を付けて揚げる方が食感が上品で美味しい。とはいえ、殻を剥くのが面倒なら、殻つきのままかき揚げにしても殻ごと食べることは出来る。