ミシマオコゼ:生態や特徴と産地や旬
●ミシマオコゼの生態や特徴
◆ミシマオコゼとは
分類:魚類 > 条鰭綱 > スズキ目 > ワニギス亜目 > ミシマオコゼ科 > ミシマオコゼ属(日本海洋データセンターより)
学名:Uranoscopus japonicus Houttuyn, 1782
和名:みしまおこぜ/三島虎魚
英名:Japanese stargazer
別名:ミシマジョロウ、ムシマ、ムシマフグ、サカンボなど
ミシマオコゼはミシマオコゼ科を代表する種で、全国各地で主に底引き網で漁獲されているが、産地でなければ目にすることはほとんどないマイナーな魚だ。これは見た目が悪いからだろうか。味は決して悪くはない。が、特に美味と言う訳でもない
学名の”Uranoscopus”は「星を見張る」という意味のギリシャ語”ouranoskopos”に因み、英名の”stargazer”も「星を見つめる者」「天文学者」「占星術者」を指す言葉である。これは海底で空を見上げるように眼だけ砂から出してじっとしている様子からつけられたのかもしれない。顔つきに似合わずロマンチックな名前が付けられたものだ。
◆ミシマオコゼの生態
日本産魚類検索全種の同定第三版によるとミシマオコゼは琉球列島を除くほぼ全国の沿岸に生息し、水深35~263mで確認されているが、その多くは50~100mほどの砂泥底に生息する。
国内での分布は北海道〜九州南岸の太平洋沿岸、小笠原諸島(稀)、青森県〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、瀬戸内海、東シナ海沿岸、瀬戸内海、東シナ海の大陸棚域とされ、海外においては朝鮮半島南岸・西岸、中国東シナ海沿岸、台湾となっている。
ミシマオコゼは海底の砂泥に身を潜め、眼と口の先だけ出して獲物を待ち、底生の小魚や小動物を捕食する。
◆ミシマオコゼの特徴
ミシマオコゼの標準28cmほどの魚で、大きいものだと全長35cmに達するらしい。奇妙な顔つきが印象的である。眼は両眼とも空を見上げるように上方に付き、口は軍の上陸用舟艇の前方ハッチのように上に向けて閉じる。また、エラブタ上部後方には擬鎖骨棘と呼ばれる太くて強い角状の棘が突き出ており、まるで鬼の形相である。
近縁種のキビレミシマとよく似ているが、ミシマオコゼは前鰓蓋骨下縁の棘が3つで、キビレミシマは4つあるので見分けられる。
体色は背側が褐色系で腹は白く、体側上半部に虫食い状の斑紋や小斑点が散在している。
●ミシマオコゼの主な産地と旬
◆主な産地と漁獲量
ミシマオコゼは主に東北から九州にかけての沿岸各地で漁獲されています。しかし、底引き網などで他の魚貝に混じって混獲される程度で、漁獲量はそれほど多くなく、その多くは産地で消費されるかカマボコ等練り製品の原料に加工されている。
比較的耳にする産地としては山形県、新潟県、和歌山県、徳島県、神奈川県、兵庫県など。
◆ミシマオコゼの漁獲時期と旬
美味しい旬の時期は書籍によって秋とされているものや冬と書かれているもの、ネットでは秋から春と色々出てくる。筆者はまだ色々な季節で食べ比べたことがないので正直なところわからないが、夏は避けた方が良さそうだ。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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ミシマオコゼ |
●ミシマオコゼの目利きと調理のポイント
◆なるべく大きいもの、触って硬い物がいい
ミシマオコゼは頭が大きく歩留まりが悪い魚なので、なるべく大きいものの方が食べられる部分が多くお勧めです。
また、活けものでなければ、触ったときにしっかりとした張りのある硬さが感じられるものが新鮮です。
◆体側の模様が鮮やかで、眼が澄んでいるもの
全体に艶があり体側の模様が鮮明なものが新鮮。また、眼は小さいですが、澄んでいてしぼんだりしていないものが新鮮。
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◆調理のポイント
ミシマオコゼの頭の後ろに突き出ている棘はとても強いので、さばく際に怪我をしないように注意すること。
身はクセがなくたんぱくな白身で、鮮度が良いものは弾力がある。
●ミシマオコゼの美味しい食べ方と料理
◆ミシマオコゼの刺身
鮮度が良いものは刺身でも食べられる。身はやや透明感のある白身で潰れにくく、薄造りに向いている。味自体はたんぱくでインパクトに欠けるが食感は良い。
◆ミシマオコゼの塩焼き
シンプルに塩を振ってグリルで焼き上げたもの。
焼くと縮みやすく、骨と身の離れはあまり良くないが味はそこそこ。もう一味何か加えたい感じ。
◆ミシマオコゼの煮付け
酒、醤油、みりん、砂糖で煮付けたもの。 身はプリッとしていて食感が良い。
◆ミシマオコゼの天ぷら
ミシマオコゼを三枚におろし、小骨を処理して皮を引いてから衣を付けてカラッと揚げたもの。
食感はふっくらと言う訳ではないが、味はまあまあってところ。
◆ミシマオコゼのポワレ
三枚におろした身をニンニクを効かせながらオリーブ油で焼き上げたもの。この調理法だと大概の魚は美味しくなる。これもそうだった。
◆ミシマオコゼとスジウズラガイ、エンコウガニのブイヤベース
ミシマオコゼ、スジウズラガイ、それにエンコウガニ、いずれも港で二束三文の魚貝だ。これらを美味しく食べるためにアサリを加えブイヤベースに仕立ててみた。実際にはエンコウガニはいくつか丸ごと鍋に入れていたのだが写真に撮るのを忘れていた。
出来上がってみるとそれぞれからとてもいい出汁が出ていて抜群だった。それぞれの身もそうだが、スープがとにかく旨い。ミシマオコゼはしっかりと煮込んだ方が美味しくなる。
◆ミシマオコゼの唐揚げ
下味をつけてから片栗粉をまぶして唐揚げにしたもの。なかなか美味しい。しっかり二度揚げしても中骨は硬くて食べられない。