トラフカラッパ:生態や特徴と産地や旬

トラフカラッパ Calappa lophos

●トラフカラッパの生態や特徴

◆トラフカラッパとは

分類:ホンエビ上目 > 十脚目 > 抱卵亜目 > 短尾下目 > カラッパ上科 > カラッパ科 > カラッパ属(日本海洋データセンターより)

学名:Calappa lophos (Herbst, 1785)

和名:とらふからっぱ/虎斑カラッパ

英名:Box crabs、Shame-faced crabs

 トラフカラッパはカラッパ科カラッパ属のカニで一般的には食用と認識はされていないようだが、三河一色さかな村で他の魚介と同じように活け物が売られていたので買ってみた。店主に名前や食べ方を訪ねたが『名前は忘れた』『どうやって食べるのかわからん』と全くあてにならない返答だった。調べてみると毒はないようなので食べてみたところ、まあまあ美味しく食べることができたので後で実際に食べてみた食味などを紹介する。

 それにしてこのカニ、上から見るとマロングラッセを思わせる形と幅広い左右の腕で顔を隠すような姿はもなんとも可愛らしい。

トラフカラッパ Calappa lophos

 名称の「カラッパ」というのは学名”Calappa”をそのまま音読みしたもので、椰子の実を指すインドネシア語”kelapa(クラパ)”に由来するそうだ。なるほどずんぐりとした丸い形はヤシの実にも見えなくはない。そして「トラフ」は昨今よく耳にする「南海トラフ」を想起させたが関係ないようで、ちなみに南海トラフのトラフとは「舟状海盆」をいう。そして本種の「トラフ」は漢字で「虎班」と書き、ハサミ脚から甲羅の左右縁についている縞模様に由来する。

 カラッパの属には日本海洋データセンターのサイトを見ると他に11種ほどいるとされ、中でもメガネカラッパ、ヤマトカラッパ、ソデカラッパ、マルソデカラッパなどがよく目にされるようだ。

◆トラフカラッパの生態

 トラフカラッパは水深30~200mの砂底に生息し、夜行性で日中は砂に身を半分うずめるように身を潜め、夜間になると貝類やヤドカリ類、魚などの死肉などを食べる。

 トラフカラッパの右手のハサミは缶切りのような形になっており、貝を食べる時はハサミの付け根から突き出ている突起を巻貝の殻に差し込んで割っていきながら食べるそうだ。

トラフカラッパのハサミ脚 Calappa lophos
茹でたトラフカラッパのハサミ脚

 「原色日本大型甲殻類図鑑(三宅貞祥著)」によるとトラフカラッパの分布は東京湾から九州、済州島、中国、台湾、インド西太平洋となっている。

◆トラフカラッパの特徴

 トラフカラッパは甲幅15cmほどで甲羅はドーム状に丸く左右後縁部が張り出している。ハサミ脚は大きいが歩脚は小さい。

トラフカラッパ Calappa lophos

 特徴的なのは左右のハサミ脚の形状で、扇状に幅が広くなっており左右をぴったり口元に蓋をするような形状になっている。このハサミ脚は幅があって大きいが、ハサミ自体はその下半分ほどに付いていて腕に比べると小さい。そして、右のハサミには缶切りのように突起があり、この部分で殻を挟むように割りながら中の貝やヤドカリを食べる。

 体色は全体に褐色で下縁はベージュに近い色になっている。甲羅の後縁部の張り出した部分に左右とも4本の褐色の縞があり、ハサミ脚の外側にも同色の縞や斑点が付いていてこれがトラの縞模様=虎班(とらふ)の由来となっている。

●トラフカラッパの主な産地と旬

◆主な産地と漁獲量

 トラフカラッパは食用としての漁獲対象としては認識されておらず、底引き網などで混獲されるにすぎない。また、漁獲されても船上で海に戻されるものも多く、食用として市場に流通することはほとんどない。

 比較的よく漁獲されるのは九州各地の沿岸や愛知県から高知県にかけての太平洋沿岸。写真のものは愛知県産。

◆トラフカラッパの漁獲時期と旬

 漁期が決まっているわけもないが、底引き網にかかることが多く、各地で底引き網が行われている時期に獲れるという事。

 写真のものは8月上旬に仕入れた愛知県産のものだが、メスにはたっぷりと内子が詰まっていて美味しかった。このカニは食べられる筋肉部分が少ないので内子のあるなしは大きく違う。その意味では内子が詰まっている夏から秋口がお勧めかもしれない。

旬のカレンダー
旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
トラフカラッパ                        

 
 

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